国土交通省が年末に公表している渋滞ランキング

ゴールデンウィークやお盆、年末年始などは、数十kmにも及ぶ交通渋滞。一日の大半を車内で過ごしてしまった方も少なくないのではないだろうかゴールデンウィークやお盆、年末年始などは、数十kmにも及ぶ交通渋滞。一日の大半を車内で過ごしてしまった方も少なくないのではないだろうか

2017年も残すところあとわずか…。年末年始に自動車を利用して帰省や旅行の計画を立てている人にとっての心配事のひとつが、道路の渋滞ではないだろうか。長い場合には数十kmにも及ぶ場合もあり、渋滞は極力避けたいものである。
その際の参考にしたいデータとして、平成29年11月28日に発表された「年末年始の渋滞ランキングのとりまとめ(平成28年)」を見てみたい。このランキングでは、渋滞によって余計にかかる時間を示す「渋滞損失時間」という指標が用いられており、NEXCO3社(東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路)および、本州四国高速道路における平成28年年末年始期間の渋滞損失時間の合計は、約496万人・時間(※)で、高速道路を利用した1台あたり9分となる。
※『万人・時間』・・・渋滞によって1時間無駄にした人が年間何万人だったかを示す指標

今回は、公表された高速道路、都市高速道路、直轄国道(1~20号)の3つの対象道路のうち、特に渋滞規模が大きい傾向にある高速道路、都市高速道路を紹介する。なお、今回の対象期間は、平成28年の年末年始(平成28年12月28日~平成29年1月4日)で、7時から19時までの12時間を対象としている。

ワースト10区間中、6区間を東名高速道路が占める

まずは、高速道路のインターチェンジ区間別の渋滞損失時間ランキングのワースト10位を見てみる。
1位は、昨年の同調査で2位だった東名高速道路(上り)御殿場~大井松田間で、渋滞損失時間が「8.5万人・時間」となった。2位は同3位だった東名阪自動車道(下り)四日市~鈴鹿で「5.4万人・時間」。そして、3位は同1位だった東名高速道(上り)海老名JCT(ジャンクション)~横浜町田の「4.9万人・時間」となり、順位の入れ替わりがあるものの、上位3位は昨年と同じ3区間が占める結果となった。また、ワースト10位中6区間を東名高速道路が占めており、こちらについても昨年の同調査では7区間と大きく状況は変わっていない。

これらワースト10位の渋滞損失時間の内訳を見てみると、全体の約70%以上で40km/h以下となる渋滞が発生しており、その要因のほとんどは交通集中と事故によるものである。ただ、東名高速道路は、事故による渋滞が11.8%、交通集中による渋滞が7.3%なのに対し、東名阪自動車道は、事故が2.4%、交通集中が9.0%と、それぞれの特徴が現れる結果となった。
なお、同調査では「交通集中」による40km/h以下となる渋滞損失時間要因の内訳も公表されている。交通集中を原因とする渋滞損失時間が最も多かった「東名阪自動車動(下り)四日市~鈴鹿」では、渋滞損失時間3.4万人・時間のうち、約60%にあたる2.0万人・時間が「サグ部及び上り坂など(※)」、残りの約40%の1.4万人・時間が「接続道路からの渋滞など」となっている。

※サグ・・・下り坂から上り坂に変わるV字の部分のこと。上り坂に差しかかりで、気が付かないうちに速度が落ちてしまう車がいた場合、後続の車が車間距離を保とうと連鎖的に速度を落としてしまうことで渋滞が発生する。

渋滞損失時間要因別内訳(※国土交通省『年末年始の渋滞ランキングのとりまとめ』を元に作成)渋滞損失時間要因別内訳(※国土交通省『年末年始の渋滞ランキングのとりまとめ』を元に作成)

ワースト10位中8位を首都高が占めるものの、1・2位は神戸線の同区間の上下線に

続いて、首都高速道路や阪神高速道路など「都市高速道路」におけるJCT区間別の渋滞遅延時間ワースト10位を見てみる。都市高速道路における2016年年末年始期間の渋滞損失時間の合計は99万人時間で、都市高速道路を利用した1台あたりの5分に相当するという。

都市高速道路の渋滞損失時間ワースト1位は、兵庫 神戸線(上り)第二神明接続部~西宮JCTで「5.5万人・時間」、2位が当区間、兵庫 神戸線(下り)西宮JCT~第二神明接続部で「5.3万人・時間」、3位が東京 渋谷線(上り)東名高速接続部~大橋JCTの「3.0万人・時間」という結果となった。ワースト10位中、8位が首都高速道路が占めているものの、上位の2位については、大阪~兵庫を結ぶ神戸線「第二神明接続部~西宮JCT」の上下線が占める結果となった。
ちなみに、この「第二神明接続部~西宮 JCT」間は、同省が公表している平成28年年間ランキングにおいてもワースト1位2位となっており、慢性的に渋滞が発生しやすい箇所である事がうかがえる。

都市高速道路の交通状況ワースト10位<BR />
(※国土交通省『年末年始の渋滞ランキングのとりまとめ』を元に作成)都市高速道路の交通状況ワースト10位
(※国土交通省『年末年始の渋滞ランキングのとりまとめ』を元に作成)

新たな高速道路料金導入、その効果とは?

こうした状況に対し、政府も渋滞の緩和に向け、環状道路の新設やETCの普及といったネットワーク整備など、様々な策を講じている。その中でも、一定の効果が現れたとされているのが、平成28年4月から導入された「新たな高速道路料金」だ。各高速道路の整備の経緯によって異なっていた料金体系を統一したり、起終点を基本とした継ぎ目のない料金にするなどで、高速道路の料金をシンプルするものだ。

平成29年11月21日に国土交通省が公表した資料によると、上記のネットワーク整備と新しい料金体系の実施によって、下記のような効果が見られたという。

1)都心通過から外側の環状道路へ交通が転換し、首都高速の渋滞が緩和
⇒都心通過交通は約1割減少(東名⇔東北道間は約4割、大型車は約6割減少)

2)首都高速の短距離移動利用が増加し、一般道の交通が円滑化
⇒首都高速全体での短距離利用は2~11%増加、長距離利用は1~6%減少。港区青山付近で首都高速の交通量は約2%増加し、並行一般道で約7%減少した。

3)ネットワーク整備進展と料金水準引下げで、圏央道利用が促進
⇒圏央道の交通量が約3割増(東北道と連絡後でも約5~8%増加)。

国土交通省では、これらの結果を踏まえ、各地の渋滞対策協議会などで引き続き要因の分析、対策の検討を行っていくとしている。

渋滞緩和の課題に対しては、渋滞が多く発生する観光地を中心に、ICT(情報技術)・AI(人工知能)を活用した渋滞対策の実験を実施する動きもあらわれている。AIカメラによる交通量調査や従来のETCに渋滞回避支援や安全運転支援の機能が付加された「ETC2.0」などが導入されている。将来的には、AIの分析や予測結果に基づいて人や車の流れを最適化、渋滞発生の予測データによって、信号制御や交通規制をすることも実現に向かっている。

ただ、現時点では渋滞情報を知ることはできても、目的地までのルート選択や走行する時間の決定は、まだドライバーの判断に委ねられる部分が大きいだろう。年末年始に車での移動を検討している方は、今一度、走行するルートや日時を再確認してみてはいかがだろうか。

ICT・AIを活用した観光渋滞対策の例<BR />引用:国土交通省『ICT・AIを活用したエリア観光渋滞対策について』ICT・AIを活用した観光渋滞対策の例
引用:国土交通省『ICT・AIを活用したエリア観光渋滞対策について』

2017年 12月14日 11時05分