マイホームを購入する際に比べた住まいの種類は?

2017年4月2日、国土交通省は「平成28年度住宅市場動向調査」を発表した。この調査は、同省が住宅の建設や購入、リフォーム等の実態把握・分析したもので、調査内容は多岐にわたる。
今回はその中から、住宅を購入した世帯が検討時にどのようなタイプの住宅と比べていたのかがわかる「住み替えに関する意思決定」の項目を見ていきたい。

住宅の種類を、注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンションの5つに分けたうち、住宅の購入にあたっては、どのような住宅を購入するか検討する際、新築マンションなら新築マンションだけ、戸建なら戸建だけを検討する傾向が強いのだが、今回の調査でも同様の結果が示されている。特に、中古マンションの購入を検討した世帯は、同じ中古マンションを比較検討する傾向が強く、その割合は85.2%に達している。「リフォームして自由度を高めて住みたいとか、少しでも安く手に入れたいとか、中古マンション購入検討者はそういった意向が比較的強いので、新築マンションや新築戸建を並行して検討する、というケースはどうやらかなり少ないようだ。

また、同じ住宅の種類との比較検討を除いた場合、注文住宅を購入した世帯は「分譲戸建住宅」(22.3%)、分譲戸建を購入した世帯は「注文住宅」(39.0%)、中古戸建住宅を購入した世帯は「分譲戸建住宅」(39.9%)、分譲マンションを購入した世帯は「中古マンション」(31.8%)、中古マンションを購入した世帯は「分譲マンション」(35.2%)と続いており、家を比較する場合に、まずは「一戸建てかマンションか」を優先して比べている事がうかがえる結果となった。

<B>『比較検討した住宅』</B>※複数回答<BR />国土交通省「平成28年度住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 比較検討した住宅」を元に作成『比較検討した住宅』※複数回答
国土交通省「平成28年度住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 比較検討した住宅」を元に作成

新築マンションの購入世帯で増えつつある、中古マンションの比較検討

その中でも今回特に注目したいのが、分譲マンションを購入した世帯が比較検討した、中古マンションの割合の推移だ。
分譲マンションを購入した世帯が「中古マンション」を比較検討した割合は、昨年から7.1ポイント増の31.8%と過去5年の調査結果としては最も高い割合になっており、平成24年の18.6%と比べると13.2ポイントの大幅なプラスになっている。
また、分譲マンションを購入した世帯による同じ「分譲マンション」を比較検討した割合が78.8%と、前年の85.7%から6.9ポイントのマイナスになっており、分譲マンション検討者は、中古マンション購入も視野に入れて比較検討するケースが増えていることがわかる。

国土交通省 平成24年度~平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 比較検討した住宅」を元に作成国土交通省 平成24年度~平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 比較検討した住宅」を元に作成

新築を購入した世帯は、何故中古を選ばなかったのか?

では、注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンションといった新築を購入した世帯が、中古住宅を選ばなかった理由は何であろうか。

3タイプとも、上位から「新築の方が気持ち良いから」、「リフォーム費用などで出費が割高になる」、「隠れた不具合が心配だった」が並んでいる。特に「新築の方が気持ち良いから」については、「分譲戸建取得世帯」68.6%、「分譲マンション取得世帯」65.3%、「注文住宅取得世帯」57.8%と、いずれも6割前後を占めており、新築を購入した世帯の多くが、"新しさ"に魅力を感じて新築を選んでいることがわかる。

「リフォーム費用などで出費が割高になる」という理由については、分譲住宅を購入した世帯が38.7%、分譲マンションを購入した世帯が30.1%、注文住宅を購入した世帯が29.2%と、住宅に"追加でかかる費用がネック"という回答が最も多い割合を占めている。
その他、「隠れた不具合が心配だった」、「耐震性や断熱性など品質が低そう」など、中古住宅の状態や性能に対する懸念が挙がる中、「給排水管などの設備の老朽化が懸念」については、注文住宅を購入した世帯(17.9%)、分譲戸建住宅を購入した世帯(19.2%)、分譲マンションを購入した世帯(26.7%)と、分譲マンションの購入世帯が約8ポイント高い結果となっており、共用設備の老朽化に対する修繕費などへの懸念が反映されているものと考えられる。

<B>『新築(注文住宅・一戸建て・マンション)取得世帯が中古住宅を選ばなかった理由』</B>※複数回答<BR />国土交通省 平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 新築か中古かの選択理由」を元に作成『新築(注文住宅・一戸建て・マンション)取得世帯が中古住宅を選ばなかった理由』※複数回答
国土交通省 平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 新築か中古かの選択理由」を元に作成

中古住宅購入世帯が中古を選んだ理由は?

反対に、中古住宅購入世帯が中古住宅を選んだ理由を見てみると、戸建、マンション共に「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」が75%と、新しさや立地環境で選ばれる割合が多い新築と比べ、価格の優先度が高い傾向がうかがえる。また、新築を購入した世帯が中古住宅を選択しなかった理由のうち、「保証やアフターサービスが無いと思った」(分譲戸建住宅12.5%、分譲マンション6.4%)に対し、中古住宅の取得世帯のうち、「保証やアフターサービスがついていたから」が、中古戸建住宅18.1%、中古マンション20.0%と、ギャップのある結果になっている点は面白い。新築の購入を主に検討している世帯と中古住宅の購入を検討している世帯とで、保証やアフターサービスに関する情報格差があるのかもしれない。

新築を購入した世帯のうち、中古住宅を比較検討する割合が増加している一因には、首都圏の新築分譲マンションのここ数年の価格の高騰が考えられる。国土交通省「平成28年度 住宅経済関連データ」によれば、首都圏のマンション平均価格は平成28年で5,490万円となっており、5年前の平成23年の4,578万円と比べて約20%も上昇している。加えて、住宅支援機構のフラット35や、リノベーション費用を住宅ローン金額に含めることができる新しい商品が登場するなど、以前に比べてリフォームやリノベーションの認知が進んだことで、中古住宅への抵抗が減ってきたことも考えられる。

少子高齢化がますます進む中、人口減少や世帯数の減少によって住宅の新設着工戸数は徐々に減少していくだろう。そうなれば、これまでのようなスクラップ&ビルドを繰り返すことは好ましいことではない。
日本人には元々、「もったいない」という文化があるのだから、今あるストックを上手に活用し、安価に且つ快適に生活するための器を手に入れる一つの方法として、「中古住宅」を積極的に選択する時代がやってくるかもしれない。

<B>『中古住宅(一戸建て・マンション)取得世帯が中古マンションを選んだ理由』</B>※複数回答<BR />
国土交通省 平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 新築か中古かの選択理由」を元に作成『中古住宅(一戸建て・マンション)取得世帯が中古マンションを選んだ理由』※複数回答
国土交通省 平成28年度「住宅市場動向調査 住み替えに関する意思決定 新築か中古かの選択理由」を元に作成

調査概要

調査実施:国土交通省
調査対象:平成27年4月~平成28年3月に住み替え・建替え・リフォームを
   行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
   その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、
   訪問留め置き調査により実施

※詳細は国土交通省のページを確認してください

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2017年 07月04日 11時06分