賃貸物件でもコンセプト・ルームが人気

秋葉原のモデルルーム。「シュタインズ・ゲート」の「未来ガジェット研究所」をイメージしたコンセプト・ルーム秋葉原のモデルルーム。「シュタインズ・ゲート」の「未来ガジェット研究所」をイメージしたコンセプト・ルーム

最近のホテルの客室では、人気デザイナーやアニメのキャラクターとコラボレーションするコンセプト・ルームが増えている。東京ディズニーランドホテルのキャラクター客室は昔から有名なところだが、最近は大人向けにも「機動戦士ガンダム」や「銀河鉄道999」の世界観を再現した客室なども登場している。

こうしたコンセプト・ルームの広がりは、今やホテルだけではない。賃貸物件でも、著名ブランドやアニメとのコラボが進んでいるという。

記憶の新しいところでは、能年玲奈の主演で映画化された人気漫画「海月姫」の賃貸物件も今年のはじめに話題になった。手がけたのはコンセプト・ルームに力を入れる株式会社朝日リビング。

そして今回、同社では新たに株式会社MAGES.が提供する科学アドベンチャーゲーム「シュタインズ・ゲート」とのコラボレーションを発表。東京・秋葉原にモデルルームを公開しているというのでさっそく取材に伺った。

果たして、どのような魅力が今回のコンセプト・ルームにはあるのだろうか?

研究所をオマージュしたワンルーム

「シュタインズ・ゲート」は、2009年に発売された秋葉原を舞台に繰り広げられる科学アドベンチャーゲーム。主人公の大学生がある日偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」をつくり出したことから物語が始まる。シリーズ累計70万本、2011年にはテレビアニメにもなり、今年は最新作の発売も予定されている。長くコアなファンをひきつけている作品だ。

今回のコラボでは、主人公が訪れる「未来ガジェット研究所」をイメージしたコンセプト・ルームを展開する。秋葉原のモデルルームを訪れてみると、まずは入口に「未来ガジェット研究所」の表札がみえる。部屋の中に入るとスッキリとしたワンルームながら、通常の賃貸ルームとはまったく異なる空間が広がっていた。

世界線変動率がおしゃれにデザインされた印象的な壁紙に、研究内容が書かれた「壁面黒板」。そこに、中身が透けてみえる「エジソン電球」が味のある照明として使われ、わざとサビつかせた配管や壁掛け時計が全体的なシブさを演出する。

目玉となるのは、作品中に登場する世界線変動率を7桁の数字で表す計測器「ダイバージェンスメーター」を再現した時計。時計機能のほかにカレンダー機能やβ世界戦数値の標準モードも搭載されているという。主人公が愛飲しているドクターペッパーもさりげなく置かれ、「シュタインズ・ゲート」の世界観を味わうには十分。

とはいえ、全体としては、理系男子のおしゃれな部屋といった雰囲気。このコンセプト・ルームを手がける朝日リビングのディレクター 香月信吾氏によれば、「ゲームのファンならずとも、個性のない画一的な賃貸ルームに飽きた人にも興味を持ってもらえることを想定している」という。

入居後は壁面黒板に研究メモを書く楽しみも。エジソン電球なども味があり、作品を離れてもスタイリッシュな部屋だ。イベントでは特別に「未来ガジェット研究所」の刺繍入りの白衣も着ることができる。写真のモデルは朝日リビング エディター 政岡洋史氏入居後は壁面黒板に研究メモを書く楽しみも。エジソン電球なども味があり、作品を離れてもスタイリッシュな部屋だ。イベントでは特別に「未来ガジェット研究所」の刺繍入りの白衣も着ることができる。写真のモデルは朝日リビング エディター 政岡洋史氏

世界観の表現と住まいとしてのシンプルさを実現

秋葉原のモデルルームでは、ARアプリをつかって壁面を撮るとキャラクターが登場する秋葉原のモデルルームでは、ARアプリをつかって壁面を撮るとキャラクターが登場する

実際秋葉原のモデルルームには、1日約30人が訪れるほど反響も高い。来場者は東京だけでなく仙台や石川からわざわざ訪れている人もいるという。年齢層も10代から50代と幅広い。また、男性のみならず、カップルや女性グループで見学に来る人もいるそうだ。

「来てくれた方にはアンケートを行っていますが、みなさん住んでみたいという意見が圧倒的です。作品の世界観は踏襲していますが、シンプルなデザインに徹していることも高評価につながっているようです。あまり作り込みすぎても住まいとしては落ち着かなかったりしますので、コンセプト・ルームとしては、そのあたりのバランスが重要になってくると思います」(香月氏)

ちなみに秋葉原のモデルルームでは、部屋のある場所にAR(Augmented Reality)のアプリをかざすと作品のキャラクターが登場する仕掛けがある。スマホでキャラクターと一緒に記念写真を撮れるのもイベントを盛り上げている。

空室リスクを抑えたい物件オーナーと入居者ニーズを合致させる

作品に登場する「ダイバージェンスメーター」を再現した時計作品に登場する「ダイバージェンスメーター」を再現した時計

個性ある魅力的な賃貸物件として受け入れられはじめたコンセプト・ルーム。しかし、このメリットは入居者側だけのものではない。物件オーナー側にも賃貸物件の空き室対策としてメリットが高い。

「もちろん、オーナーさんの希望があれば先にリノベーションを行いますが、目指しているのは入居者付きリノベーションの推進です。賃貸物件で入居者が入るかどうか分からない段階でリノベーションを行うのはいわばギャンブルです。先に入居者の希望があればオーナーさんも安心してリノベーションを進めることができるはず。入居者も個性的な部屋を高くない家賃で実現できるとあれば双方にとってメリットがあります」(香月氏)

同社が今回、賃貸物件オーナー向けにコンセプト・ルームのパッケージとして出すのは、以下の4点。
・モデルルームと同じ壁紙
・壁面黒板
・エジソン電球
・ダイバージェンスメーター時計

入居者の想定は単身者で、地域の相場とあまり変わらない家賃価格を実現する予定だ。

まもなく都内で「シュタインズ・ゲート」仕様の物件が登場

モデルルームでは、試験管などの小物も準備し、研究所らしさを演出しているモデルルームでは、試験管などの小物も準備し、研究所らしさを演出している

今回の「シュタインズ・ゲート」仕様の物件は、まもなく都内での展開が決定しているという。

今回はゲームというサブカルチャーとのコラボだったが、朝日リビングでは、今後はファッション雑誌や人気ブランドとのコラボなど、様々な分野でのコンセプト・ルームを考えていきたいという。

DIYを前提にした賃貸物件が登場していることからも、賃貸市場も“個性”を重要視する動きが活発化している。その中でもコアなターゲットへ訴求するコンセプト・ルーム。苦戦物件などの再起を促すと同時に、入居者のニーズを叶える双方にメリットのある取り組みではないだろうか。


取材協力:朝日リビング
8月1日~8月31日まで秋葉原でモデルルーム展示中
http://www.asahiliving.co.jp/topics/7571

2015年 08月21日 11時05分