新しい収納ビジネスは生まれるのか?
“住まいと収納”切っても切り離せない存在だが、業界的には住宅業界と、トランクルーム・倉庫業界は別の存在だった。しかし最近、ハウスメーカーが空きビルなどを活用するなど他業界からトランクルーム業界への参入が目立っている。矢野経済研究所が公表しているデータによると、レンタル収納、コンテナ収納、トランクルームといった国内収納サービス市場は2012年で489.2億円。市場自体は右肩上がりで、成長市場。アメリカでは2兆円規模の市場というが、その数字を見ても今後「収納ビジネス」について拡がりが期待できる分野だ。
そうした成長市場の中で、トランクルームの先駆者でもある寺田倉庫は自社のクラウド収納サービス「minikura(ミニクラ)※」を使用した新しい収納ビジネスに取り組む動きを始めた。
今回このサービスを利用して、どんなビジネスが出来るのかを寺田倉庫が今年9月にビジネスコンテストとして公募した。応募総数220件。その中から最終選考として5名が選ばれ、11月13日に日本アカルミー賞2014の最終選考と授賞式が行われた。今回、その選考と受賞式の様子をレポートして、どんなアイデアが生まれたのかをお届けする。
※minikuraとは、本や洋服などを専用のダンボールに荷物をいれて宅急便で送ると寺田倉庫で預かってくれるクラウド収納サービス。温度、湿度、セキュリティなどがしっかりした環境で保管できる。月々の保管料のみで出し入れの郵送代は無料。預けたものは写真またはリストでWEB上のマイページを通して管理ができ出し入れ可能。
日本アカルミー賞2014の最終選考の模様
寺田倉庫本社で行われた最終選考。審査員には、寺田倉庫代表取締役の寺田保信氏、作家・演出家の大宮エリー氏、編集者の渡辺祐氏、幻冬舎GOETHE編集長の館野晴彦氏、BDashVentures代表取締役社長の渡辺洋行氏、ビットアイルの寺田航平氏という顔ぶれ。新規性、事業性、共感性の3つをポイントに、各項目4点満点で審査して、グランプリを獲った企画には事業家支援サポート1000万円相当と副賞の賞金がもらえる。
式典の冒頭で寺田保信氏から「minikuraのサービスを使ったエンドユーザー向けの会社が出てきたと聞き、面白いと感じた。それがきっかけに作ったのがアカルミー賞です」とのこと。
新しいクラウド収納サービスの企画としてどんなものが提案されたか?今回、グランプリと特別賞を受賞した3企画について紹介したい。
受賞した企画を紹介
まずは特別賞から。今回、2名が受賞した。
株式会社Fooの内山修一氏が企画したのは「happy Birthday BOX」。minikuraを利用して、物に想いを乗せて世代をつなぐサービスだという。シニア世代がサービスを申込み、何年後かの子供や孫に想いやプレゼントを残すというもの。受賞理由として、大宮氏は「夢がある、情熱がある企画だなと思いました」とのコメント。
もう一つがカナリー合同会社の會田昌史氏が企画した「クラウドストーリーミングメディアBOX」。版権ビジネスを守りつつの書籍やメディアのクラウド化サービスだという。プレゼン時の質疑応答で館野氏と激しい議論が交わされていたが、そうした熱い思いと刺激的な提案が受賞理由だということだ。
そして今回グランプリを受賞したのが無職ディレクターという谷本直人氏が企画した「こどもふくの箱」。子供の成長によって、どんどん購入してはいらなくなる子供服。そこに着眼した子供服のシェアリングサービスということだ。預けたものの“見える化”を利用して、他の人と子供服のシェアをするというものだ。受賞理由として寺田保信氏は「寺田倉庫は夢をうる会社であるので、その夢を実現するチカラを感じたため」とコメント。
プレゼンの中でもあったが、こうした子供服のシェアリングサービスはアメリカでは既に始まっているという。住まい、乗り物、エネルギー。様々なところで“シェア”が息づき始めているが、収納でもシェアが根付くのか、興味深いところだ。
収納ビジネスの今後は?
グランプリを受賞した「こどもふくの箱」は企画自体のブラッシュアップを寺田倉庫のサポートのもと行い、実用化に向けて動き出すという。
今回、グランプリと優秀賞を受賞した3作品はいずれも、minikuraの収納の“見える化”と“いつでも出し入れ可能な環境”の利点をいかした企画だ。しかし、審査員からの質疑応答の中でも、どう実際にビジネスとして成立するかややイメージできない感があったのが否めない。これからブラッシュアップして、どうなるか楽しみだ。
置き場所を確保するというだけでなく、物をシェアしたり、想いを残したり、新たな物流の仕組み構築の可能性も秘めた「収納ビジネス」。まだまだ発展途上の日本の市場で、今後どういったサービスが出てくるのだろうか。私たちの暮らしにも影響がある収納ビジネスについて今後も目が離せない。
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