お洒落な店舗などで見かけるヴィンテージウッド。独自の風合いが空間を彩るアイテムに

最近ヴィンテージウッドを効果的に使った店舗を見かけることが多くなったと感じないだろうか。例えばカフェやレストラン、アパレルショップなどでよく使われているように思うがいかがだろう。

ヴィンテージウッドは床や壁など大きな面積の場所に用いることで、真新しい店舗なのにどこか懐かしい、何十年も歴史があるような居心地の良い雰囲気をつくり出している。目の粗いハードな木材を使えばワイルドな雰囲気を醸し出せるし、優しい色や板目の木材を使えば、温もりのある空間に仕上がる。

ヴィンテージウッドについて少し調べてみると、床や壁のほかにも、天板やドアの面材、棚板や家具など、様々な場所で使われているようである。レザーやアイアン、ガラス、レンガなどと同様、空間を印象付ける効果的なアイテムのひとつといえるだろう。

ただ、「ヴィンテージウッド」と名前は知っていても一体どのようなものなのか、またどのようにして調達するのかを知っている人はどのくらいいるのだろう。そこで、欧米からの輸入古材の専門店、小山製材木材株式会社の坪野谷修一さんにお話をうかがった。

ヴィンテージウッドの店舗や自宅での施工例。世界にふたつとない材料を使うことで「オンリーワン」を実現する。</br>日本ではほとんどが店舗での使用というが、坪野谷さん曰く「アメリカやカナダでは95%ぐらいが住宅で使用されています」。</br>その多くが超高級住宅での使用とのことヴィンテージウッドの店舗や自宅での施工例。世界にふたつとない材料を使うことで「オンリーワン」を実現する。
日本ではほとんどが店舗での使用というが、坪野谷さん曰く「アメリカやカナダでは95%ぐらいが住宅で使用されています」。
その多くが超高級住宅での使用とのこと

海外の倉庫や納屋を丸ごと1棟買い上げて手作業で解体。現地で加工後、日本に運ぶ

「ヴィンテージウッド」とは何なのか。
小山製材木材では「100年前後以上前の古材」と定義しているという(一部例外商品も扱う)。ちなみに今から100年前の1917年、日本は大正時代である。

ヴィンテージウッドをどのようにして入手し、輸入しているのかについても教えていただいた。
「アメリカやカナダ、ヨーロッパなど、現地の信頼できるエージェントに探してもらっています。それを自分の目で確認し、買い付けるために年に4~5回ほど現地を訪れています」

解体された丸太や板材などを買い付けるのかと想像したのだが、それは違った。
「自分の目で確認していい素材だと納得ができたら、倉庫や納屋を丸ごと1棟買い上げます」と坪野谷さん。なんと、古くなって使われなくなった木造の建物を丸ごと買うのだという。建築後100年以上経過した価値のある木材を手に入れるため、必ず物件のオーナーにいつ建築された建物かを確認している。

解体方法にも驚いた。丸ごと買い上げた建物を重機で解体すると貴重な木材を傷めてしまうため、現地のアーミッシュ(農業や牧畜などで自給自足の生活をしている人々)に依頼をして、解体はすべて手作業で行う。傷めることなく再利用するための古材を確保できるほか、時には現在は伐採できない貴重な古材も入手できるそうだ。釘付きの古材は日本では加工できないため、現地の製材工場で加工してから日本に運んでいる。

小山製材木材の三軒茶屋ショールーム。ヴィンテージウッドの味わいや魅力を体感できるほか、</br>床や壁、ドアの面材などの施工例も見学できる。</br>「こだわる方は素材はもちろんですが、建物のあった場所や築年数などにもトコトンこだわります」(坪野谷さん)小山製材木材の三軒茶屋ショールーム。ヴィンテージウッドの味わいや魅力を体感できるほか、
床や壁、ドアの面材などの施工例も見学できる。
「こだわる方は素材はもちろんですが、建物のあった場所や築年数などにもトコトンこだわります」(坪野谷さん)

年々人気が高まるヴィンテージウッドは価格も上昇中。
自宅で採用すればまたとない個性の演出にも効果的

同じ樹種でも使われていた場所や加工方法で表情も様々。そんなところもヴィンテージウッドの魅力だろう同じ樹種でも使われていた場所や加工方法で表情も様々。そんなところもヴィンテージウッドの魅力だろう

「20~30年前なら、ヴィンテージウッドもタダ同然だったと思います。近年その魅力や価値が認められて人気が高まったことで入手が困難になり、価格がどんどん上昇しています」と坪野谷さん。ヴィンテージウッドの価格は、「素材」と「年数」で決まるそうだ。

「ヴィンテージウッド」と一括りにしても、素材も様々だ。例えばフローリングに人気のパインでもいくつもの種類がある。
表面のノコ目跡、釘穴、虫食い穴、長年のシミなどが古材の表情を醸し出す「ラスティックパイン」。アメリカ東部で取れた古材のパインで、表面に薄く残る当時の丸ノコ跡が特徴の「ヘリテイジパイン」。古材パインの古い虫穴、釘穴に黒色のパテを埋めた特徴的なフローリングの「ネイリーパイン」。100年以上、丸太の状態で川に沈んでいたパインを引き上げてフローリングとして蘇らせた「リバーパイン」など、素材を見て触って比較するだけでも面白い。

「同じ物がふたつとないので価格は一概には言えないものの、およそ一般的な無垢パインの2~3倍ほどです」と坪野谷さん。

壁などに使う板材にも個性がある。長年納屋の壁材として風雪に耐え、シルバーグレイに表面が風化したことで豊かな表情を見せる板材「バーンボード」。手斧を使い丸太から梁を加工した手斧跡が残った梁の表面を割って板にした、開拓時代の名残を残す「ハンドヒューン」。風化した板材で厚みが1インチ前後と板材の中ではしっかりしており、棚板、テーブルトップ、壁、天井、床板などオールラウンドに使える「アンティークボード」など多種多様だ。

「ヴィンテージウッドを使うなら、実際に見て触ることが何より大切です」

お話をうかがった、株式会社小山製材木材 代表取締役社長の坪野谷修一さん。約90年続く製材会社の4代目。商社に勤務後家業を継ぎ、新規事業としてヴィンテージウッドの販売を開始。「アメリカで見たレストランやバーは、店自体は新しいのにヴィンテージウッドを使うことで歴史ある雰囲気を演出。それをとても魅力的に感じたことから、10数年前からヴィンテージウッドの輸入販売を新規事業として開始しました」お話をうかがった、株式会社小山製材木材 代表取締役社長の坪野谷修一さん。約90年続く製材会社の4代目。商社に勤務後家業を継ぎ、新規事業としてヴィンテージウッドの販売を開始。「アメリカで見たレストランやバーは、店自体は新しいのにヴィンテージウッドを使うことで歴史ある雰囲気を演出。それをとても魅力的に感じたことから、10数年前からヴィンテージウッドの輸入販売を新規事業として開始しました」

店舗オーナーや建築家などからの問い合わせが多く、同社では店舗での使用が販売の9割以上を占める。
ただ、最近では住宅に使用したい一般の人に販売する機会も増えてきたという。

「通信販売で購入できる会社も多いと思いますが、微妙な色や肌触りが確かめられないので、必ず自分の目で見て選ぶことが大切だと思います。当社でもなるべく栃木のショールームに来ていただくようにしています。
一般のお客様ですと、30~40代ぐらいがボリュームゾーンになります。カフェや洋服店でヴィンテージウッドを見た奥様が興味を持っていらっしゃることが多いですね。ご主人が希望される場合は、書斎を兼ねたガレージなどをお考えという話をよくお聞きします」

また、扱う工務店などにも古材に対する知識が必要だと坪野谷さん。
「靴のまま歩く店舗での使用なら不要ですが、住宅の床など裸足で歩く場所に使う場合はサンドペーパーで磨く必要があります。また実際にあった話ですが、節や加工の跡などがあった古材を不良品として捨てられてしまい、建築部材が足りなくなったことがありました。職人さんにそういうものが古材の魅力、味わいだと理解していただくことも必要です」

ヴィンテージウッドを使う場合、日本と海外の木材を混ぜない方が良いとのアドバイスもいただいた。
「日本の古材には『スス』や『木の丸み』など、和の雰囲気があるため、どことなく『民芸』のような雰囲気を醸し出します。どちらを使うかは好みになりますが、和と洋の古材では雰囲気が異なるため、混ぜない方が良いでしょう」

荒々しい見た目にごつごつした感触。ひび割れや節。その一方で、長い年月を経て飴色に変色した優しく深い味わい。ヴィンテージウッドにはひとつとして同じものがないことが魅力。「扱いは難しい」と坪野谷さんはアドバイスするが、もし興味があるなら自宅の新築、リフォームなどに採用しても面白いだろう。

■取材協力/株式会社小山製材木材
http://www.oyamalumber.com/

2017年 04月23日 11時00分