空家はなぜ発生するのか?

駐車場に残された首都圏の空家駐車場に残された首都圏の空家

空家の何が問題なのか?
それに答える前に、空家がなぜ発生するかを考えてみよう。

前回非三大都市圏において、市場からはじかれた「その他空家」が大きく増加していることを指摘した。このことから容易に想像がつくように、「その他空家」の発生の最も大きな原因は、人口減少、経済成長率の低下等を背景とした都市の縮退である。

この二つの要因は、都市において生活環境、ビジネス環境が相対的に劣る地域において、人々が支払ってもいいと考える対価を低下させ、地域に居住するコストを下回ることとなる。この場合、オフィスや住宅といういわゆる都市的土地利用の範囲は縮むこととなる。

空家の発生は仕方のないことだろうか?

それでは人口減少、経済成長率の低下が進む日本においては、空家の発生は仕方のないことなのだろうか。
確かに、環境変化に伴って都市が縮小するのはやむを得ない。

しかし、その地域に住むことが、住宅を新築するということを通じてしか実現できない場合と、既存住宅の購入という既存ストックを活用することが可能な場合では、支払うコストは大きく異なるだろう。

都市内で、または都市外から移転してくる場合に、その都市で住宅を獲得するコストが高い場合は、必要以上に都市が縮退してしまう可能性が高いだろう。
中古住宅市場の未発達は、過剰な地方都市の縮退をもたらしている可能性が高く、それが、地方都市における空家の激増、という現象として表れていると考えることができるだろう。

都市境界(図)都市境界(図)

困難な土地利用転換

しかし、都市的土地利用を行う価値がなくなったとしても、農業的土地利用への転換、オープンスペースへの転換が可能であれば空家は発生しない。この場合問題になるのは、土地利用転換時に発生するコストであろう。
特に、住宅地から他の用途の土地に転換した場合に、固定資産税額が大きく引き上げられるというゆがみが存在したことが広く知られている。
また、都市的土地利用から農業的土地利用への転換は、技術的にも制度的にもサポートされていない。この場合、都市の縁辺部または商業環境が悪化している中心市街地においては、管理されない空家が存在し続けることとなる。

空家問題への対策

以上、見てきたように、日本の空家問題には、
①中古住宅市場の未発達によって、都市が過剰に縮小してしまっていること
②住宅地に対する税負担を減額する制度を背景とした、過剰な空家が発生してしまっていること
という二つの原因があることが指摘できる。

空家問題に対応するために、全国各地の地方自治体は条例を作ったり、空家バンクなどを通じて情報提示を行いつつある。また11月に成立した空家対策推進特別措置法においては、固定資産税のゆがみを取り除く措置が盛り込まれた。このような取り組みは大きく評価ができる。

しかし、空家問題の根底には、中古住宅市場の整備があることを改めて認識すべきであろう。日本全体として所得が上昇し、生活の質が高まることで、二次的住宅に対する需要は上昇している可能性があろう。

もし、地方都市の縁辺部で質の良い住宅が手頃な価格で手に入れることができるとすれば、既存の住民が死去したとしても、二次的住宅として良好な住環境を維持することはそれほど難しいことではないのではないだろうか。

首都圏の空家首都圏の空家

2015年 03月06日 11時07分