2050年までにカーボンニュートラルを目指す日本

世界の平均気温は2020年現在で、工業化(1850~1900年)以前と比べて約1.1℃上昇したといわれている。日本の平均気温も上昇しており、100年で約1.3℃上昇した。このような気候変動は、豪雨や猛暑などのリスクを高める。

そこで政府は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から森林管理などによる吸収量を差し引いて実質的にゼロにすることだ。

このカーボンニュートラルの実現に向け、2025年度に実施されるのが「子育てグリーン住宅支援事業」である。新築住宅については、物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに対してZEH基準を大きく上回る省エネ住宅の導入支援などを行う。また、既存住宅についても省エネ改修等への支援を行う。同事業は、2024年度に実施された「子育てエコホーム支援事業」の2025年度版といえる。

日本の平均気温の推移。100年間でおよそ1.3℃上昇している(出典:環境省「脱炭素ポータル」)日本の平均気温の推移。100年間でおよそ1.3℃上昇している(出典:環境省「脱炭素ポータル」)

子育てグリーン住宅支援事業の概要

子育てグリーン住宅支援事業のおもな内容は、以下のようになっている。

補助対象

2024年11月22日以降に行う新築の基礎工事より後の工事と既存住宅のリフォーム工事。ただし、交付申請までに事業者登録が必要。

補助対象となる新築住宅(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)

●GX志向型住宅
対象世帯:すべての世帯
補助額:160万円/戸

GX志向型住宅とは、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)政策に基づいて高レベルの省エネ性能と再生可能エネルギー活用を実現する住宅だ。具体的には以下3つの要件を満たすことが求められる。

1. 断熱等性能等級「6以上」
2. 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
3. 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」

これらは後述するZEH基準を大幅に上回る性能だ。ただし、寒冷地等、都市部狭小住宅等、共同住宅は、緩和された別要件が設けられている。

●長期優良住宅
対象世帯:子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯または夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)
補助額:100万円/戸(建替前住宅等の除却を行う場合。行わない場合は80万円/戸)
長期優良住宅とは、耐震等級「2以上」や再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「20%以上」などの要件をクリアすることで、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅だ。所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受ける必要がある。

●ZEH水準住宅
対象世帯:子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯または夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)
補助額:60万円/戸(建替前住宅等の除却を行う場合。行わない場合は40万円/戸)
ZEH水準住宅とは、「高断熱」「省エネ設備」「太陽光発電による創エネ」によって断熱等性能等級「5以上」かつ再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「20%以上」などの要件をクリアし、生み出すエネルギーが消費エネルギーを上回る住宅だ。

なお、断熱等性能等級とは、国が定める住宅の断熱性能の指標である。等級は1から7まであり、数字が大きいほど断熱性能が高いことになる。

等級7:「平成28年省エネ基準」よりも一次エネルギー消費量を概ね40%削減できる
等級6:「平成28年省エネ基準」よりも一次エネルギー消費量を概ね30%削減できる
等級5:「ZEH水準」の断熱基準と同等
等級4:「平成28年省エネ基準」と同等
等級3:「平成4年省エネ基準」と同等
等級2:「昭和55年省エネ基準」と同等
等級1:「昭和55年省エネ基準」未満

また、対象となる住戸の床面積は50m2以上240m2以下とし、次の住宅は、原則対象外となる。
・「土砂災害特別警戒区域」に立地する住宅
・「災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限る)」に立地する住宅
・「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」かつ「災害レッドゾーン内」で建設されたもののうち、3戸以上の開発または1戸もしくは2戸で規模1000m2超の開発によるもので、市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅
・「市街化調整区域」かつ「土砂災害警戒区域または浸水想定区域(洪水浸水想定区域または高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る)」に該当する区域に立地する住宅

2025年度子育てグリーン住宅支援事業の内容(出典:国土交通省)2025年度子育てグリーン住宅支援事業の内容(出典:国土交通省)

リフォームに対しても上限60万円を補助

既存住宅のリフォームに対しても、要件を満たせば補助を受けることができる。補助対象となる工事は以下の通り。

必須工事:①開口部の断熱改修、②躯体の断熱改修、③エコ住宅設備の設置
付帯工事:子育て対応改修、バリアフリー改修等

補助はSタイプ・Aタイプの2つの区分に分けられていて、それぞれ要件や補助金額が異なる。

・Sタイプ
補助要件:上記の必須工事3種のすべてを実施
補助上限額:60万円/戸

・Aタイプ
補助要件:上記の必須工事3種のうち、いずれか2種を実施
補助上限額:40万円/戸

付帯工事で対象となるのは、同時に必須工事を行う場合に限る。なお、新築の場合の補助金額は一律だが、リフォームの場合は工事内容ごとに決められた補助額を合算した額が交付される。そのため、必ずしも上限額が交付されるわけではない。また、2025年1月現在、具体的な工事内容は決定していない。今後、ホームページ等で公表されるので注意してほしい。

子育てグリーン住宅支援事業では、新築だけでなく既存住宅の省エネリフォームに対しても補助金を交付する子育てグリーン住宅支援事業では、新築だけでなく既存住宅の省エネリフォームに対しても補助金を交付する

申請方法・申請開始日は今後公開予定

2025年1月現在、申請方法と申請開始日は確定していない。決定しているのは事業を行うことと、申請を行うのは事前に登録を済ませた住宅の建築依頼先の事業者、販売事業者、リフォーム工事事業者のいずれかであることだ。これらのことから考えると、申請方法は2024年度の「子育てエコホーム支援事業」とほぼ同様になることが予想できる。同事業の場合も各事業者が申請を行うので、工事発注者や購入者が申請することはできない。したがって、基本的に事業者に任せていれば問題ない。ただし、補助金については、事業者から全額還元してもらう必要がある。おもな還元方法は、「工事代金に充当する」「現金で支払う」のいずれかになるはずだ。どちらにするのかは、必ず申請時に双方で合意しておかなければならない。
くわしくはこちらの記事を確認してほしい↓
https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01614/

カーボンニュートラル達成により近づく事業

2024年度の「子育てエコホーム支援事業」と2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」の大きな違いは、ZEH水準住宅よりも省エネ性能が高い「GX志向型住宅」への補助が追加されたことだろう。つまり、よりカーボンニュートラル達成に近づくための事業といえる。省エネ性能の高い住宅は、CO2 の排出量や光熱費の負担を軽減するだけでなく、ヒートショックの予防など健康維持にも有効だ。この機会にぜひ検討してみてはいかがだろう。

●国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業」報道発表資料
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001249.html

省エネ住宅は「地球」「お財布」「健康」に優しい住まいだ省エネ住宅は「地球」「お財布」「健康」に優しい住まいだ

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