京都、大阪、宝塚、神戸へ。十三駅は阪急最大のハブステーション
阪急電鉄のターミナル駅である大阪梅田駅から“1駅”行くと、十三駅に着く。
十三と書いて「じゅうそう」と読むこの地は、歓楽街として知られるほか、飲食店も多くにぎわっている。大阪市のデータ(大阪市商店街地図・2024年4月現在)によると、淀川区に20ある商店街のうち13が「十三○○商店街」とあり、商店街の多さからもどこか庶民的な様子のある街であることが伝わるだろう。
冒頭で「大阪梅田駅から“1駅”」としたのは阪急京都線の話だ。阪急神戸線、阪急宝塚線には、大阪梅田駅と十三駅の間に中津駅がある。しかし中津駅に停車する列車種別は限られるため、神戸線や宝塚線を利用する人でも、大阪梅田駅から十三駅まで“1駅”という感覚の人が多いのではないだろうか。いずれにしても、都心からすぐの交通至便なエリアだということがわかると思う。
十三駅は阪急電鉄の主要路線である京都線、宝塚線、神戸線の3路線が乗り入れる結節点であり、1日の乗降人員は6万4,132人(2023年)と、阪急全線で6位を誇る主要駅だ。通勤時間帯の十三駅は、乗り換えのためにホームからホームへと移動する人でごったがえす。
にもかかわらず、駅自体はそう大きくはないうえに、阪急沿線の住民でさえ「乗り換え駅」としての利用にとどまるケースが多く、十三を目的地として出かけるニーズは決して多くないのが現状だろう。
そんな十三駅とその周辺が、大きく変わろうとしている。
大阪府と大阪市は、「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域 まちづくり方針の骨格」(2020年3月)を基に、2022年6月に「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域まちづくり方針2022」をとりまとめた。これは、リニア中央新幹線の全線開業などで、今以上に広域交通の拠点となる新大阪駅とその周辺地域の「20年から30年先を見据えた新しいまちづくりを官民が共有して進めていくため」(大阪府ホームページ)のもの。この方針の中で、十三エリアは新大阪に近い「周辺地域」として、広域からの回遊を図る拠点として整備されることが検討されている。
十三からつながる、阪急なにわ筋連絡線・新大阪連絡線とは?
十三エリアは「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域まちづくり方針2022」で、そのまちづくりを「官民が共有して進めていく」地域として取り上げられている。その中に、十三駅からの新たな鉄道路線の整備が盛り込まれている。「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワークに関する調査」(国土交通省)によると、その新路線とは次の2つ。
① 阪急なにわ筋連絡線
そもそもなにわ筋線は、JR大阪駅に新しく開業した地下ホーム(うめきたエリア)から、大阪市を南北に走る道路「なにわ筋」の地下を通ってJR難波駅と南海新今宮駅をつなぐ路線で、2031年度に開業を予定。なにわ筋線にはJRと南海が乗り入れる予定で、新大阪駅から大阪・ミナミや大阪府南部地域、関西空港へのアクセス向上が期待されている。その、なにわ筋線の大阪駅(うめきたエリア)と、十三駅とを連絡する路線が、阪急なにわ筋連絡線だ。レールの幅の関係で乗り換えは必須だが、実現すれば阪急沿線(京都・神戸・宝塚方面)からも大阪・ミナミや関西空港へのアクセス改善が期待できる。
② 阪急新大阪連絡線
十三駅から新大阪駅をつなぐ路線。これが実現すると、阪急沿線から東海道・山陽新幹線が発着する新大阪駅へのアクセスが良くなるだけでなく、①のなにわ筋連絡線と一体的に運用することで、なにわ筋線を介して、新大阪駅から大阪・ミナミや大阪府南部地域、関西空港へのアクセスが改善されることになる。
阪急の3つの本線の結節駅である十三駅に、さらに2つの新たな路線が接続することが計画されているのだ。
現在は、阪急沿線から大阪府南部へのアクセスはあまり良いとはいえないだろう。
阪急の2つの新路線ができれば、北摂・京阪神地区と、大阪府南部間の人流も活発になることが期待される。新幹線駅と国際空港、これらのアクセス結節となる十三駅も、これまでにはなかった他地域からの利用客が増加することになり、より存在感を増すことになるだろう。
阪急十三駅付近の淀川区役所跡地等を活用。暮らしと地域交流の場づくりが進行中
阪急十三駅の東口から直線距離にして200mもない場所に、淀川区役所の跡地がある。大阪市はこの地をまちづくりに活用することとし、「もと淀川区役所跡地等の活用事業(市有地不動産の貸付等)」に関する開発事業者を募集。2020年6月に事業者が決定して、現在開発が進行中だ。
この事業により、大阪市は「十三地区のブランド向上」「にぎわいづくりや交流促進」「淀川区政推進への寄与」を期待する。
全体計画としてはこうだ。もと淀川区役所跡地「等」とあるように、開発は隣接した3つの敷地を一体活用して進められる。建物は複合施設棟と学校施設棟からなり、街のランドマークとなるべく計画されている。
敷地西側にある学校施設棟には、医療・スポーツ系の専門学校が入る予定、敷地東側にある複合施設棟には、分譲マンション、保育・学童施設、大阪市立図書館、スーパーマーケットなどが入る予定だ。また市立図書館と連携して、“みんなで育てるライブラリー”「交流型ワイガヤ図書館」も設けられ、多世代が集う“ワイガヤ空間”の実現を目指す。さらに、約2,700m2の公開空地「にぎわい広場」も設けられることが決まっており、地域交流やイベント空間として活用され、新たな交流が生まれる場づくりが進められる。
また、エリアがにぎわい、通行者が増加することが予測されるため、ゆとりある歩行者空間の確保についても計画に盛り込まれている。ヒートアイランド対策、地域環境や安全面への配慮なども計画されており、緑のあるゆとり空間が誕生するというわけだ。阪急の乗り換え駅や、歓楽街のイメージが強かった十三エリアが、暮らしの街、緑のある憩いの場、そして地域交流の場に変化しようとしていることがわかる。
淀川河川敷十三エリアかわまちづくりも進行中。眺望と自然を生かしたエリアが誕生予定
十三を知る人なら、そのイメージを思い浮かべたとき、きっと同時に淀川のことも想起するだろう。淀川とは、琵琶湖を水源とする一級河川で、宇治川の木津川と桂川との合流地点(京都府と大阪府の府境付近)から下流域をいう。阪急電車が十三駅を発車し大阪梅田駅へ向かうとき、この淀川を超えることになるが、一気に視界が開け、梅田のビル群を望む景色は印象的だ。
そんな淀川の河川敷では、いくつかの地域で「かわまちづくり」と称したまちづくりが進められているが、その一つが十三エリアだ。大阪市と淀川河川敷十三エリア魅力向上協議会が推進主体として進める「淀川河川敷十三エリアかわまちづくり」のエリアは、もと淀川区役所跡地等の活用事業地から南東へ直線距離で約300m弱のところにあり、もと淀川区役所跡地からは、このエリアにつながる緑道も設けられる予定だ。
かわまちづくりは、地域資源である川を活用し、新たな地域の顔となる水辺空間の形成を目指すもので、国の支援制度もある取り組みだ。「淀川河川敷十三エリアかわまちづくり計画」では、多世代・多様な人が交流できるよう「まちづくりのための親水空間を整備」(大阪市ホームページ)することを目的とし、2022年にかわまちづくり支援制度に登録されている。
概要は次のとおりだ。
●堤防の裏のり面
オープンカフェなど飲食店がつくられる予定。また自然環境を生かした体験型環境学習プログラムの実施も計画されている。
●多目的空間
イベント開催、バーベキューなどのアウトドアレジャーができる空間が計画されている。
●親水空間
新たに船着場が整備され、2025年開催予定の国際博覧会会場となる夢洲や、大阪市中心部、京都方面などとを航路で結ぶことが予定されている。また水上アクティビティも体験できるよう計画されている。
地域内外から多くの人々が集い、くつろいだり、アクティビティを楽しんだりと、にぎわうことになりそうだ。水都・大阪らしいまちづくりとなるか、楽しみだ。
十三のイメージが一新され、アクセスも向上。広域から人が集う明るい街に
前述のとおり、乗り換えのために利用する人も多く、改札を出てゆっくりと街歩きをするイメージは持ちづらかった阪急十三駅とその周辺。しかし、現在進行中の計画では、駅近にできるマンションには図書館や保育施設、淀川沿いにはオープンカフェ、アウトドアで楽しむ水上アクティビティなどが計画されており、阪急沿線どころか、海外からの観光客も集客できる街に変わろうとしている。関空アクセスを担うなにわ筋連絡線の完成もその後押しになるはずだ。再開発後はこれまでの十三からは想像できない光景が広がることになるのだろう。十三のイメージが一新されつつも、古くからの商店街など庶民的な部分も残され、新しくてどこか懐かしさも感じる街へ変化していくのではないだろうか。幅広い世代に親しまれるエリアとなることを期待したい。
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