今後も金利の上昇は続くのか?

住宅ローンの固定金利が上昇基調となっている。昨年末の日銀による金融緩和の修正を受けて上昇した長期金利が、ここへきて再び上昇しているためだ。長引く円安や物価上昇の動きも金利上昇の要因として挙げられよう。住宅ローン金利の上昇傾向は今後も続くのか、2023年9月時点の動きと今後の見通しをまとめた。

住宅ローンの固定金利が上昇しているなか、変動金利への影響も気になるところだ住宅ローンの固定金利が上昇しているなか、変動金利への影響も気になるところだ

変動金利は横ばい、10年固定と35年固定は上昇基調

変動金利

主要銀行の変動金利の動向を見ると、ここ数ヶ月月は各行とも横ばいで推移している。金利引き下げ競争の激化で多くの銀行が0.3%台の最優遇金利を打ち出しているなか、0.4%台を維持する銀行もある。だが、三井住友銀行が不動産会社との提携ローンでは0.3%台の金利を提示するなど、水面下での金利競争は引き続き激しいようだ。

10年固定金利

10年固定金利は上昇傾向が強まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が6月に利上げを一時中断したこともあり、日本でも長期金利が低下して7月に固定金利を引き下げた銀行が多かった。だが、7月に日銀が再び金融緩和の見直しを発表したことで長期金利が上昇に転じ、8月以降は固定金利も上昇に転じている。

35年固定金利

35年固定金利も上昇基調だ。フラット35の最低金利は8月まで低下していたが、9月は前月比0.08%の上昇となった。もともと金利が高めだった三井住友銀行やソニー銀行は2%台となっている。そんななか、SBI新生銀行が1.7%で据え置いているのが目を引く。

主要銀行の住宅ローン金利の動き(2023年7月~2023年9月) オイコス調べ主要銀行の住宅ローン金利の動き(2023年7月~2023年9月) オイコス調べ

7月の日銀による緩和見直しで長期金利が上昇

日銀は金融緩和を徐々に見直してきているものの、短期金利については依然としてマイナス金利政策を維持しており、大きな変動は見られない。そのため、短期金利に連動する変動金利も横ばいで推移している状況だ。

一方、10年固定と35年固定が上昇傾向となっている要因としては、日銀による金融緩和の修正が挙げられる。日銀は7月28日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を見直し、それまで0.5%としていた長期金利の上限を事実上1.0%に引き上げた、これにより長期金利の指標となる10年国債の利回りが0.6%台に上昇し、連動して住宅ローンの固定金利も引き上げられた。

日銀の政策修正に先立って、FRBも7月25・26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。昨年3月から続いてきた利上げが6月にいったん見送られたが、依然として高めの物価上昇率や労働市場の逼迫を背景に、利上げが再開された形だ。そのため、8月以降は日米とも長期金利が上昇しやすい状況になっている。

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マイナス金利の撤廃で変動金利が上昇する可能性も

10年国債の利回りは日銀の政策修正によって急上昇したが、8月下旬以降は0.65%前後で安定している。一方で米国では長期金利の上昇傾向が続いており、日米の金利差が拡大することで円安が進む局面が多く見られる。好調な米国経済を背景にFRBがさらなる利上げに踏み込めば、日米の金利差も拡大して円安が進行することになりそうだ。

円安は輸入物価の上昇に直結する。足元で輸入物価は下落傾向にあったが、主要産油国のサウジアラビアが原油の自主減産を年末まで延長すると表明したこともあり、再び上昇に転じる可能性もある。国内の物価が上昇基調となっている状況に輸入物価の上昇が重なることで、日銀が目標とする2%の物価安定が近づいているとの見方もある。

日銀が次に金融緩和を修正する場合は、長期金利の変動許容幅を撤廃する可能性が高い。そうなると長期金利が一段と上昇し、住宅ローンの固定金利も連動して上昇することになるだろう。さらに2%の物価安定が見通せる段階になると、短期金利の目標水準をマイナス0.1%程度から0.1%に引き上げ、マイナス金利政策の撤廃に踏み切ることも考えられる。その場合は短期金利に連動して変動金利も上昇することになるだろう。今のところ日銀の植田総裁は「粘り強く金融緩和を続ける」としているが、今後の金利動向には注意が必要だ。

今後、日銀の金融政策の変更があった場合は変動金利への影響が懸念される。日銀の政策については今後も注視したい今後、日銀の金融政策の変更があった場合は変動金利への影響が懸念される。日銀の政策については今後も注視したい

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