駅前にある「hit 香椎宮前住宅展示場」の、入り口に立つおしゃれなセンターハウス
2022年9月3日、福岡市東区に開業した「hit 香椎宮前住宅展示場」は、西鉄貝塚線・香椎宮前駅の真ん前という、住宅展示場としては珍しい立地だ。駅を出ると正面に、大きな片流れ屋根のセンターハウスが見える。ガラス張りの大きな開口部を持ち、周囲に木製デッキを巡らせた建物だ。木の軒裏と黒い外壁のコントラストに、植栽の緑がよく映える。
一般に、住宅展示場のセンターハウスは、全体の受け付けのような役割を持ち、各ハウスメーカーのパンフレットや場内マップなどを配布し、休憩スペースを設けてモデルハウス来場者の便宜を図る場所である。もちろん「hit香椎宮前住宅展示場」のセンターハウスも同様の機能を備えているが、それだけではない。地域の人々をつなぐ拠点として、“共感の環”を広げる発信源になることを目指している。
「miyamae hut(ミヤマエハット)」という名前を持つ、このセンターハウスの企画・設計を手掛け、運営するのは株式会社ブルースタジオ。クリエイティブディレクターの大島芳彦さんと、福岡オフィスのマネージャー玉手美咲さん、井手大悟さんに話を聞いた。
センターハウスを拠点に、香椎地域に暮らす人々の共感を得る
「hit 香椎宮前住宅展示場」の周辺地域は、近年マンション開発が進み、若い世代・子育て世代の流入が増えている。近接地にはUR香椎団地や公務員宿舎があり、こちらにも子育て世代が多く住む。
大島さんは言う。
「分譲マンションの住人が住宅展示場の顧客になる可能性は低いかもしれませんが、その同世代のネットワークには、必ず『ゆくゆくは家を建てたい』という人たちがいるはずです。URや公務員宿舎の住人は、潜在的なターゲット層でしょう。いっぽうで、こうした若い世代が住んでいるにもかかわらず、この地域には拠りどころとなるコモンスペース、サードプレイスが足りません。せっかくこの場所に新しく住宅展示場をつくるなら、直接的な販売活動だけではもったいない。周辺エリアに住む人々の共感を勝ち取るための工夫をしませんか、と住宅展示場を企画・運営する福岡地所株式会社に提案したわけです」。
「これから家を建てようという世代にとって、住宅とは、単なる生活の場ではなく“生き方を表す器”“自己表現の手段”になっています」と大島さん。提案資料には「住環境ヴィジョンの発信地」を目指しましょう、と書いた。
1日単位のチャレンジショップで、地域の人が住宅展示場の“当事者”になる
センターハウスには集客イベントを開催するためのスペースが必要だが、そこが実際に使われるのは土日祝日に偏りがちだ。その空き時間を、地域の人に日常の活動の場として開くことはできないか。
「カフェやレストランを営業することも考えられますが、それでは地域の人は単なるお客さんでしかありません。そうではなく、自らが当事者となって、1日お店をやってみる、作品を展示してみる、イベントを開いてみる、そんなチャレンジができる場を提供しようと考えました」と大島さん。
ミレニアル世代やZ世代には、余暇やスキマ時間を活用して新しいことにチャレンジしたいニーズがある、と大島さんは言う。そのことは、ブルースタジオが企画・設計を手掛けた神奈川県川崎市の複合施設「ネスティングパーク黒川」でも実証済みだ。ここでは郊外の駅前に「はたらくための小屋」を配置し、デスクワークやチャレンジショップ、ワークショップなど様々な用途に使えるようにしている。2019年の開業以来、順調に稼働しており、平日も人の出入りが絶えないそうだ。「私たちの狙い通り、地域のみなさまが公園のように使ってくださるようになって、地域に根付いた施設に成長しているようです」と前出の玉手さん。
センターハウス「miyamae hut」の一角には、受け渡し用のカウンターを備えた業務用キッチンが整えられている。あらかじめ運営のブルースタジオが飲食業と菓子製造業の営業許可を取得しているので、誰でもすぐに、ここで得意のメニューを提供したり手づくりのお菓子を販売したりできる。お店を出すのは1日単位でOKだ。モデルハウス来訪者とバッティングしない範囲で、お客さんに飲食してもらうこともできる。また、キッチンの外側に展示用のスペースを確保しており、物販にも対応する。ブルースタジオも「miyamae hut」公式Instagramなどを通じてプロモーションに協力してくれるので、一人で始めるより心強そうだ。
グランドオープンイベントには、カレーやオープンサンドなどの店が出店。ブルースタジオも定期的に店を出す
「hit 香椎宮前住宅展示場」のグランドオープンイベントには、創作スパイスカレー『マチルダ ex ケンチャンスマイル』が2日間にわたって出店。大人気を博した。
そのほか、これまでに福岡県朝倉市の自家焙煎スペシャリティーコーヒー『タリル珈琲』、北九州市小倉南区のラウンド食パン専門店『ホッペが落ち’’マ~ス’’』、店舗を持たないスパイス料理創作集団『スパイスマニアックス(仮)』、福岡市西区を拠点とするフードトラック『マツオカマーケット』、福岡市の住宅街にあるカフェ『fuu coffee』などが出店している。
2022年12月からはブルースタジオも自ら週1日、チョコレートショップ『kiitos by bluestudio』を営んでいる。『kiitos』はブルースタジオが企画・運営に携わる鹿児島県鹿屋市の「ユクサおおすみ海の学校」内にある「Bean to Bar(カカオ豆から製造する)」のチョコレート工房だ。
「チョコレートが嫌いな子どもはあまりいないと思うし、冬はホットチョコレート、夏はチョコレートアイスと、季節に合わせた企画ができる有望なコンテンツだと思う」と大島さん。
ブルースタジオ福岡オフィスの井手さんは「今後は、九州内のつながりを活かした企画も考えていきたい」と言う。
玉手さんは「今後は、地域の人たちが開いている会合にも参加する予定です。これからもっと、まちに根ざした活動をしていきたいと思っています」と語った。
miyamae hut ホームページ https://hut.hitweb.co.jp/miyamae/
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