頻発する地震は、火山噴火の予兆?

「最近地震が頻発している」。そう感じている人は多いのではないだろうか。実際に12月1日~8日の1週間、全国で震度1以上の地震は257回、そのうち震度3以上の地震は23回も発生している(※)。そのなかでも、12月3日に発生した山梨県の富士五湖を震源とした最大震度5弱の地震に「富士山噴火の予兆では」と肝を冷やした人も少なくないはずだ。政府は、現時点で富士山の火山活動との関連性はない、としている。しかし、10月20日には熊本県の阿蘇山が、12月6日には鹿児島県の御岳(諏訪之瀬島)が立て続けに噴火している。地震の頻発から火山の噴火を関連づけてしまうのも無理はないだろう。そこで本記事では、火山噴火によって起こりうる災害や避難方法などを解説する。

※出典:日本気象協会 https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2021/12/08/15182.html

火山噴火ではどのような災害が起こる?

さまざまな火山災害

一言で噴火といっても、そこから発生する災害は以下のようにさまざまだ。

噴石

噴火によって吹き飛んでくる岩石を噴石という。そのなかでも大体20㎝以上のものは風の影響を受けずに飛散し、当たれば生命の危険もある。2014年の御嶽山(長野県・岐阜県)の噴火では63名が犠牲となり、そのうちの多くが噴石によって亡くなった。

火砕流

噴火によって破片状の物質と火山ガスなどが地表に沿って流れる現象。速度は時速100㎞以上、温度は数百度に達する。1991年に発生した雲仙岳(長崎県)噴火の犠牲者(43名)の多くは火砕流によるものだ。

火山泥流

噴出物と水が混ざって地表を流れる現象。速度は時速数十㎞に達する。火山を覆う雪や氷が解かされる、火口湖があふれ出す、降雨などが原因となる。

溶岩流

溶けた岩石が地表を流れる現象。比較的ゆっくり流れるので、走って避難することが可能な場合もある。

火山灰

噴火によって放出される固形物のうち、直径2mm未満のものを火山灰という。細かいゆえに広範囲に拡散し、健康や農作物、交通機関などに影響を与える。

火山ガス

噴火によって噴出する高温のガス。主成分は水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素など。火山ガスを吸引すると気管支の障害や嘔吐、窒息などの可能性がある。

浅間山(長野県・群馬県)の噴石。火山が噴火するとこれほど大きな岩が飛んでくることもあり得る(出典:気象庁「火山噴出物に関する用語」)浅間山(長野県・群馬県)の噴石。火山が噴火するとこれほど大きな岩が飛んでくることもあり得る(出典:気象庁「火山噴出物に関する用語」)

避難のタイミングを知る方法

噴火警戒レベルを知る

気象庁は火山噴火予知連絡会によって選定された火山に観測施設を設置し、24時間体制で監視している。そのうえで5段階の噴火警戒レベルを設定し、それぞれの状況と避難のタイミング、行動を示している。

レベル1:活火山であることに留意

火山活動は静穏。周辺住民は通常の生活をしていて問題ない。

レベル2:火口周辺規制

火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生、または発生すると予想される。周辺住民は通常の生活をしていて問題ない。

レベル3:入山規制

居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生、または発生すると予想される。周辺住民は通常の生活をできるが、状況に応じて要配慮者(高齢者、障がい者、妊産婦など)の避難準備等をする。

レベル4:避難準備

居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される。警戒が必要な居住地域にいる人は避難の準備、要配慮者は避難等が必要。

レベル5:避難

居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、または切迫している状態。危険な居住地域にいる人から避難等が必要。状況に応じて対象地域や避難方法を判断。

噴火警報・噴火速報を知るには

各火山の噴火警報・噴火速報は気象庁ホームページのほか、テレビ、ラジオ、携帯端末などで知ることができる。

身を守るための避難方法

火山が噴火したらすぐに…

火山の噴火は、発生してから避難するまでの時間が十分にない場合が多い。そのため避難方法は、とにかく近くにあるRC(鉄筋コンクリート)造などの頑丈な建物や大きな岩陰に入ることだ。その際、できれば噴石から頭を守るためにヘルメットを着用し、火山灰を吸い込まないためにマスクやタオルで口や鼻を覆いたい。

火山灰から身を守るには

火山灰に関しては非常に広範囲に被害が及ぶこともある。例えば富士山が噴火した場合、富士山火山防災協議会によると約144㎞離れた千葉県勝浦市でも2㎝以上火山灰が積もると推測している。細かい火山灰は肺や目などにさまざまな影響を及ぼす。例えば呼吸によって肺に入ってしまうと、咳や鼻水の原因になりうる。特に気管支炎や心臓に疾患がある人は症状が重くなる可能性があるので要注意だ。対策としては上記のマスクやタオルのほか、目を守るためにゴーグルをする、コンタクトレンズを外すといったことが考えられる。

なお、少ししか火山灰が降っていないと思っても、道路は横断歩道などの表示が見えにくくなっていることもある。さらに積もった火山灰によって滑りやすくなっているかもしれないので自動車や自転車の運転は控えたほうが無難だ。

富士山噴火時の火山灰の到達範囲シミュレーション。富士山周辺は50㎝以上積もり、約144㎞離れた千葉県勝浦市周辺でも2㎝以上積もると予測されている(出典:「富士山火山防災マップ」)富士山噴火時の火山灰の到達範囲シミュレーション。富士山周辺は50㎝以上積もり、約144㎞離れた千葉県勝浦市周辺でも2㎝以上積もると予測されている(出典:「富士山火山防災マップ」)

火山ハザードマップを活用しよう

全国の活火山を網羅した「火山ハザードマップデータベース」

自宅周辺や旅行先の火山にどのような危険があるのかを知りたければ、「火山ハザードマップデータベース」が便利だ。これは日本で公表されている活火山のハザードマップや防災マップを網羅的に収録したサイト。例えば同サイトから富士山火山防災マップを確認すると、「火口ができる可能性が高い範囲」「過去に火口ができた箇所」「降灰の予想範囲」などが分かる。
火山ハザードマップデータベース
http://vivaweb2.bosai.go.jp/v-hazard/HMlist.html

噴火後に作成される「火山噴火リアルタイムハザードマップ」

しかしながら実際に噴火が起こると、新たな火口からの噴火など想定外の現象が発生することもある。そこで国土交通省では、さまざまな噴火現象に臨機応変に対応するために、噴火後の土砂災害の範囲を緊急に計算する「火山噴火リアルタイムハザードマップシステム」を開発した。噴火後に同システムによって作成されたハザードマップは、危険地域の市町村等に提供され、住民の迅速な避難誘導などに活用される。

「火山噴火リアルタイムハザードマップシステム」が有効な例。噴火後に計算することで、被害範囲を新たに想定することができる(出典:国土交通省「噴火後の迅速で精度の高い避難誘導を可能にします!」)「火山噴火リアルタイムハザードマップシステム」が有効な例。噴火後に計算することで、被害範囲を新たに想定することができる(出典:国土交通省「噴火後の迅速で精度の高い避難誘導を可能にします!」)

火山登山時の備え

登山者の努力事項とは

多くの人にとって、火山に最も近づくのは登山時だろう。国は2014年の御嶽山噴火を教訓に「登山者の努力事項」を法律で定めている。具体的には登山者に対して以下の4つを求めている。

1.火山情報を集める

まずは登る山が火山かどうかを調べる。そして火山ならば気象庁のホームページなどから噴火警戒レベルなどを把握する。

2.登山届を提出する

日本山岳ガイド協会「Compass(コンパス)」などを通じて登山届(登山計画書)を作成、提出する。

3.必要なものを装備する

火山防災マップ(山小屋やシェルターなど避難場所を確認)、携帯電話、ゴーグル、タオル、ヘルメット、非常食、登山地図などを準備する。

4.登山中も常に注意する

噴気孔など危険な場所には絶対に立ち入らない、登山中も気象庁のホームページなどからの情報収集を怠らないなど。

火山の噴火を体験することは地震以上にまれだ。それゆえ、心構えや準備ができていない人がほとんどだろう。しかし、富士山をはじめ噴火の可能性がある火山は日本中にある。本記事などを参考にぜひ備えてほしい。

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