換気が重要なコロナ禍、網戸は重要な建材に

コロナ禍、感染予防対策として、換気は重要なポイントのひとつだ。住宅建材を扱うYKK AP株式会社 では「コロナ禍における生活者の換気に関する意識調査(※1)」を実施。調査結果からは、「自宅での感染予防として、特に換気の大切さが注目されていることがわかりました」と広報室 南雲歩さんは話す。

調査によると、「コロナ禍で、以前に比べて換気に対する意識が高まった」と回答したのは、春は60.0%、夏では58.1%、冬には55.2%。季節を問わず、半数以上がコロナ前と比べて換気に対する意識が高まったと答えている。「健康のため」や「気分転換やリフレッシュのため」に換気は欠かせないという声が季節を問わず多く、コロナ禍によって、人々の換気意識は高まり、定着したといえるようだ。

とはいえ意識は高まっても、窓開けによる換気を実施した人の割合は季節によって違いがみられ、春は89.5%、夏では85.2%、冬は73.0%。気候の穏やかな春は換気をしても、夏と冬は冷暖房効率を優先させる人が多く、特に夏場は、熱中症への懸念や台風なども要因のひとつのようだ。また、換気実施率と同様に、換気に対する満足度は、春は67.3%、夏では約58.8%、冬は約47.2%という結果。暑い夏と寒い冬は、換気に対する満足度も減少している。

満足度が減少する原因のひとつに、換気をする際の困りごとがある。特に、春と夏の換気では、窓開けによる「虫の侵入が気になる」人が70%以上だという。虫の侵入を防ぐために窓に設置する網戸は、換気の重要性が高まる今、注目すべきアイテムだろう。実際に新築やリフォームを進める中では、網戸はあまり意識しない建材かもしれない。しかし、使用する時になって、その使い勝手の良し悪しが気になるアイテムでもあるだろう。

(※1)調査概要
インターネット調査/2020年5月(春)、9月(夏)、2021年1月(冬) 計3回/各5,000人(延べ15,000人)

「コロナ禍における生活者の換気に関する意識調査」 (上グラフ)コロナ禍の中で、以前に比べて換気に対する意識が高まっている (下グラフ)ご自宅の換気について、あなたはどれくらい満足しましたか? YKK AP「コロナ禍における生活者の換気に関する意識調査」 (上グラフ)コロナ禍の中で、以前に比べて換気に対する意識が高まっている (下グラフ)ご自宅の換気について、あなたはどれくらい満足しましたか? YKK AP

網戸のスタイルの種類と特徴

網戸とは、昆虫(蠅や蚊など)が室内に侵入するのを防ぐために、開口部(窓や出入口など)に設置する樹脂製の網(ネット)を張った戸のこと。日本では、昭和30年代、アルミサッシの普及とともに一般的な建材(工業製品)となったと言われている。

建材商品である網戸には、さまざまな種類がみられる。大きく分けると、可動タイプと固定タイプ、パネル式やロール式。取り付ける場所によって、室外設置と室内設置にも分類できる。設置する開口部(窓サッシや扉)の種類や使い勝手を考慮して、適したタイプを取り入れることになる。

■可動タイプ/パネル式(スライド)
一般的に馴染のある引違い窓などに用いる網戸。窓と同様に横にスライドするタイプで室外に設置するものがほとんど。
■固定タイプ/パネル式
室内側に設置する固定式のタイプ。室内から網戸を取付け・取り外しできるので掃除が楽。電動や高窓用オペレータで窓の開閉を行う高所用すべり出し窓やオペレーターハンドルで窓の開閉操作を行う縦すべり出し窓やすべり出し窓などに用いられる。
■可動タイプ/ロール式
網をロール状に巻き取る構造の室内側に設置する網戸。窓を開けていない時、網戸を収納できるのが特徴。横引きタイプや上げ下げタイプもある。
■可動タイプ/ジャバラ(蛇腹)折り(アコーディオン)
アコーディオンのように折り畳むことができるタイプ。室内側に設置する。玄関や勝手口などに設置するケースが多くみられる。

(左)横引きロール網戸 XMY (中)上げ下げロール網戸 XMW (右)横引き収納網戸フラット XMA 片引きタイプ  YKK AP(左)横引きロール網戸 XMY (中)上げ下げロール網戸 XMW (右)横引き収納網戸フラット XMA 片引きタイプ  YKK AP

網(ネット)の種類と特徴

網戸に用いられる網(ネット)にもいくつかの種類がある。

網目の大きさ(細かさ)は、「数字+メッシュ(網目)」で表される。「1インチ(2.54センチ)あたりの網目の数」のことで、数字が大きいほど網目が細かくなる。多く用いられるのは、18メッシュもしくは20メッシュのタイプ。通気性があり、一般的なハエよりも網目が小さいものだ。より細かいタイプの24メッシュや30メッシュであれば、網の太さがより細くなるので、クリアな眺望性が得られ、小さな虫の侵入も抑えることが可能だ。200メッシュのタイプを用いた花粉対策用の網戸もみられる。

また、素材の種類では、多く普及しているのが化学繊維であるポリプロピレン。比較的安価なのが特徴。合成繊維のポリエステルは、強度がありポリプロピレンに比べ耐久性も期待できる。犬・猫等、ペットが引っ掻いても破れにくい素材だ。また、グラスファイバー(ガラス繊維)は、熱に強く耐久性にも優れる。その他、強度が高い金属製(ステンレスなど)タイプもある。高価だが、耐久性を求めたり、ペットがいる場合などに用いるケースがみられる。

その他、主な色には、グレーとブラック。ブラックタイプの方が眺望性を得ることができる。外から室内が見えにくい外側がシルバーで内側がブラックのタイプなどもある。

多くみられる引違い窓に用いるスライドタイプ。広い面積の窓の場合、眺望性や通気性に配慮したい。[スライド網戸XMH クリアネット] YKK AP多くみられる引違い窓に用いるスライドタイプ。広い面積の窓の場合、眺望性や通気性に配慮したい。[スライド網戸XMH クリアネット] YKK AP

性能を高めたタイプも揃ってきた

最近では、特殊加工を施すなどして、より快適に使いやすい網を用いた製品も各メーカーから提案されており、防虫や換気効率、眺望性などを高めたタイプもみられる。

最近の人気のタイプはどのようなものだろうか。南雲さんによると「当社の場合、一般的に使用されているブラックネットに比べて、網目の小さいタイプ(クリアネット)が人気です。網目が小さいことで虫が入りにくくなっています。また、ネットの太さが約4割細くなったことで、単位面積あたりの開口率が高まり換気効率が約20%アップするとともに、視界を妨げず景色がクリアに見え、部屋に開放感が生まれるのも特徴です」。

その他、各メーカーから、虫が嫌がる薬剤を含んだ防虫効果を持つタイプ、水をかけることで汚れが落ちるタイプ、ホコリやゴミがつきにくいもの、ペットの爪が引っ掛かりにくいように樹脂コーティングしたタイプなども提案されている。

ペットを室内飼いしている場合、網戸を触っているうちに開いてしまい外に出てしまうというケースも。南雲さんは、「スライド網戸を固定する部品を装備すれば、外に出てしまうことを防ぐという効果が期待できます。商品によっては標準装備されているので、事前に確認を」と話す。

眺望性や開放感だけでなく、糸と糸の交差部を融着する技術により、表面の凹凸も少なくなり掃除も簡単に。[ブラックネット/クリアネット眺望イメージ] YKK AP

眺望性や開放感だけでなく、糸と糸の交差部を融着する技術により、表面の凹凸も少なくなり掃除も簡単に。[ブラックネット/クリアネット眺望イメージ] YKK AP

網戸の正しいお手入れ方法と使い方

換気の意識が高まる中、網戸の正しいお手入れや使い方を理解しておくことも重要だ。

注意したいのは、網戸が汚れていると換気効率が悪くなること。YKK APのWEBコンテンツである「網戸の教科書」によると、網戸の汚れには、はらって取る汚れとふき取る汚れがある。まず、モップやブラシなどでホコリを取り、その後拭き掃除を。雨が降った後に残った網戸の水滴はこまめに掃除をしたい。ほおっておくと水滴にホコリが付着し、換気効率が悪くなるので注意が必要だという。

また、前述の調査によると、「虫の侵入が気になる人が70%以上いらっしゃる中、網戸を閉めているはずなのに、虫はどうして入ってくるのだろう?と悩んでいる方も多いようです」と南雲さん。

虫の侵入を減らすためには、網戸と室外側の窓サッシの位置がポイントだ(※イラスト参照)。一般的な引違いの窓の場合、網戸枠のモヘア部分と窓フレーム部分を重ね、網戸と窓の間に隙間が無いようにすることで、虫の侵入を減らすことができる。

窓を全開状態で使用するか、半開時には室内側の窓を開けるようにして、室外側の窓は閉めた状態で網戸を使用する。室内側の窓を開けて、網戸を使用する方が換気量も調節できる。 YKK AP窓を全開状態で使用するか、半開時には室内側の窓を開けるようにして、室外側の窓は閉めた状態で網戸を使用する。室内側の窓を開けて、網戸を使用する方が換気量も調節できる。 YKK AP

適切な時期に補修・メンテナンスを

網戸の網は、破れたら取り換えることが基本。用いる場所の自然環境や使用状況によって異なるが、一般的に5~10年程度が補修や張り替えを検討する目安だ。

網の取替えや補修は自分で行うこともできるが、状態によってはプロに任せる方がいいだろう。
南雲さんは「自分で修理可能な場合と業者さんに依頼した方がいい場合の見極めは難しいと思いますが、自分で補修する場合は、メーカーが指定または公開している補修方法に則ること、指定のパーツを用意し使用することが大切です」と話す。依頼先は、窓リフォームを取り扱う施工店、ホームセンターなどでも扱っているケースもある。YKK APの場合、全国にパートナーシップを結んでいる「MADOショップ」(窓リフォーム店)があるので、ホームページで自宅近くの店を探すこともできるという。

また、「効率的な換気のためには、空気の⼊⼝・出⼝といった2⽅向を開放することが大切です。窓以外の出入り口、玄関や勝手口など、網戸付の通風部を設けたタイプのドアも好評です。一日で交換可能なタイプも揃っているので、リフォームの際に通風タイプに取り換える方も多くみられます」と南雲さん。

コロナ禍に関わらず、住まいの換気はとても重要だ。気密性に優れる現在の住宅の場合、不十分な換気では湿気による結露が生じやすく、建物の老朽化を早めてしまうケースもある。建物に適した換気計画を確認するとともに、日々の暮らしの中での使用する網戸に関しても、住まい方に適したタイプを意識して選ぶようにしたい。虫の侵入、通風、眺望性、使い勝手など、使用する場所に合わせて優先順位を明確にして選ぶことも必要だろう。

■取材協力:YKK AP

ドアを閉めたまま、内開き通風機構を開くだけで、部屋の中を換気するのに十分な通風面積が得られる。通風部の網戸には「クリアネット」を使用。通風部は侵入防止に有効なサイズとし、防犯にも配慮。[ヴェナートD30] 通風ドア YKK APドアを閉めたまま、内開き通風機構を開くだけで、部屋の中を換気するのに十分な通風面積が得られる。通風部の網戸には「クリアネット」を使用。通風部は侵入防止に有効なサイズとし、防犯にも配慮。[ヴェナートD30] 通風ドア YKK AP

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