豊かな暮らし方の新しい選択肢「ReHOPE(リホープ)」
暮らしや家を自分らしくアレンジするという考え方は、リノベーションやDIYなどの普及によって、ここ10年ほどでかなり一般化してきた。家づくりをする際に、どんなまちに暮らしたいかについて、考えたことはあるだろうか。
「”あなたらしい家に住もうよ”という提案にプラスして、”あなたらしいまちに住もうよ”という提案です」と話すのは、9株式会社の代表取締役・久田 一男氏だ。2021年4月に立ち上げた企画「ReHOPE(リホープ)」は、「あなたらしい街で、あなたらしい生き方を」をテーマに、自分らしい暮らしを実現するための新しい流れをつくる活動だ。第一拠点となる本社ビルの1階にオープンした「ReHOPE 大阪靭公園」は、まちに関する情報交換を通して人と人が交流するまちづくりサロンとして機能する。
「リホープ」の拠点を運営しコミュニティを育てていくのは、そのまちで住んで働く「リホーパー」という役割の人だ。家や店づくりの相談や不動産情報の紹介、まちづくりや暮らしに関する勉強会などを行っていく予定だ。
DIYはまちづくりへの第一歩
「日本は戦後以降、皆が平等に共通のサービスを受けられるようにインフラが整い、便利なまちをつくってきました。ただこの状況を別の角度から見てみると、どのまちも同じような風景になって、まちの個性が失われてしまったともいえます。リノベーションやDIYを通して、建物の中では自分らしい暮らしを実現しやすくなったにもかかわらず、一歩外に出るとまちは画一的なまま。
家のように、まちを自分らしくするのは簡単なことではないですが、家の外1メートルでも“自分らしさ”がにじみ出れば、まちが少しずつ変わっていくのではないでしょうか。そんな状況をつくっていきたいと考えています」
9株式会社はこれまでにも、自分の家はDIYで作ろうという文化の普及活動に力を入れてきた。リノベーションの折に建物の躯体だけを用意して、あとは施主自身がDIYを行って建物を完成させる「DIY工務店」への参画などがそれだ。「ReHOPE(リホープ) 大阪靭公園」で生まれた商品「プラモ家具 3×6」は、まさにその活動を代表した商品だろう。ベニヤ板の切り込みをのこぎりで切ると、プラモデルのパーツのように分かれる。それを組み立てるとテーブルとイスのセットが完成するというものだ。
「ものづくりとまちづくりのマインドは、深いところで共通しています。まちづくりと合わせて、ものづくりをするワークショップなどの機会も広げていきたいです。最初はテーブルづくりからのスタートでいい。自分で作ると愛着が湧いてくるものです。そのうち家やお店作りにも積極的に関わりだしたりと、次第にものづくりのマインドがまちづくりにつながっていけばいいですね。自分でまず作ってみること、できることから少しずつ始めることが、まちづくりの第一歩ではないでしょうか」
住むまちを、価値観の合うコミュニティから選ぶ
リホープの拠点は、まちづくりのノウハウを共有するボランタリーチェーンとして全国に展開する予定だ。今年の8月には、岐阜県の西岐阜や奈良の大和郡山市、岡山県の牛窓などの拠点の誕生も控えている。リホープの拠点でまちの情報に触れられたり、同じまちに住む仲間ができたりと、今後増え得る地方移住者にとって、移住に対するハードルを一気に下げてくれる効能もありそうだ。
「自分で住みたいまちを選ぶ感覚です。リホープのコミュニティがあるから移住がしやすかった、お店を始めやすかったなどの状況が生まれるとうれしいですね。まちに仲間が増えることは暮らしの豊かさにもつながります。駅近や建物の状態などの条件だけではなく、まちの魅力やコミュニティから住む場所を選ぶというような新しい選択肢も広がったらいいですね。拠点はこれからも増やしていきたいです」
自分の好きな場所がたくさんあるまち
リホープが目指すのは、民間主体のまちづくりだ。行政や大手企業が主体となるトップダウン形式ではなく、そこに住む人が主体的に始めたことが、自然にまちに溶け込むようなまちづくりだ。
「個性あふれる建物や店が、例えば5つ増えるとまちの風景も少し変わりますよね。自分のものであれば自由にアレンジできますが、まちを変えることは簡単には叶わないことです。けれど何人か集まってやれば、案外できることもあります。リホープの拠点でコミュニティを育みながら、価値観の合う仲間たちと魅力的な場所をまちに一つひとつ増やしていきたいです」
手作りをするように自分の暮らしをつくる。価値観の合う仲間と、自分の好きな店をつくる。好きな拠点が増えるにつれて、日々の暮らしも豊かになっていく。自分が好きだと思える場所がまちの中に増えると、自分のまちを大切にしたいという思いも深まるのかもしれない。
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