変動金利、固定金利ともここ3ヶ月は小幅な動き

コロナ禍が続く中でも住宅市場は比較的堅調な動きとなっており、購入や借り換えに伴う住宅ローンのニーズも根強いものがある。そんな中、住宅ローン金利は低水準での推移が続いているが、若干の変化も見られる。2021年1月時点の動向と、今後の見通しをまとめた。

主な銀行の直近の住宅ローン金利を見ると、まず変動金利は小幅な動きとなっている。2020年11月時点では住信SBIネット銀行と新生銀行が0.45%で並んでいたが、12月に住信SBIネット銀行が0.44%に引き下げ、主要銀行で最低水準となった。変動金利は市場の短期金利に連動しており、短期金利は日銀のマイナス金利政策でマイナス圏での推移となっているため、引き続き大きな変動はなさそうだ。

10年固定は2020年11月時点ではりそな銀行が0.595%で最も低かったが、12月に三井住友信託銀行が0.55%に引き下げて逆転した。またみずほ銀行は直近で2ヶ月連続の引き下げを実施しており、2021年1月の金利は0.60%とランキングの上位に食い込んでいる。10年固定の基準となる長期金利はこのところ0%近辺で推移しており、各行とも大幅な動きは見られない。

35年固定も小幅な動きだが、みずほ銀行が2ヶ月連続で金利を引き下げ、2021年1月時点で0.98%と主要銀行では唯一1%を切る水準となった。また1月にはフラット35最低金利が3ヶ月ぶりに低下するなど、このところ金利引き下げの動きが目立っている。

主要銀行の住宅ローン金利の動き(2020年11月~2121年1月)オイコス調べ主要銀行の住宅ローン金利の動き(2020年11月~2121年1月)オイコス調べ

ネット上での金利引き下げ競争に都市銀行なども参戦

変動金利は市場の短期金利に連動して変動する。短期金利の指標となる無担保コール翌日物金利は日銀がマイナス金利政策を導入した2016年2月以来、マイナス圏で推移しており、住宅ローンの変動金利も超低水準が続いている。特に近年はネット銀行などWEB上で手続きできる住宅ローンを中心に低金利競争が激化しており、都市銀行などもWEB専用商品として金利の引き下げ幅を拡大する動きが目立つ。変動型の店頭表示金利は2%台が一般的だが、金利引き下げ後の適用金利は0.4%台が主流となっているのが現状だ。

10年固定や35年固定の基準になるのは、10年物国債金利に代表される長期金利だ。長期金利はこれまで、日銀がマイナス金利を導入した2016年前半と、米中貿易摩擦の影響などにより世界経済の減速懸念が広がった2019年半ばに大きくマイナス圏に落ち込んだ。直近では新型コロナウイルス感染症の拡大による先行き不安が強まった2020年2月から3月にかけてマイナスに低下したが、その後は回復し、2021年1月現在では0.02%〜0.03%前後で推移している。

このところ10年固定や35年固定を引き下げる銀行が目立つのは、2020年11月初旬から12月中旬にかけて長期金利が小幅ながら低下傾向となったためと見られる。背景にはコロナ禍による景気の先行き懸念と、日米欧の中央銀行による大規模な金融緩和が継続するとの見通しがあるようだ。

長期金利、フラット35金利、10年固定金利の推移 オイコス調べ長期金利、フラット35金利、10年固定金利の推移 オイコス調べ

米国の長期金利上昇が日本の住宅ローン金利にも波及!?

新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、経済の先行きは予断を許さない状況にある。住宅ローン金利の上昇幅は限られるだろう新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、経済の先行きは予断を許さない状況にある。住宅ローン金利の上昇幅は限られるだろう

新型コロナウイルス感染症の拡大への対策として、日米欧では金融緩和の強化が打ち出された。米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年3月に利下げを実施し、量的緩和を再開。欧州中央銀行(ECB)も同月に量的緩和を拡大した。日銀も同月に上場投資信託(ETF)の購入倍増を決め、4月には国債購入の制限を撤廃するなど矢継ぎ早に金融緩和の拡大を決定している。

こうした金融緩和の強化策によって長期金利は2020年後半、大きな変動なく推移していたが、ここへきて変化の兆しが表れつつある。米国での長期金利の上昇傾向だ。米国の10年物国債金利は2020年7月下旬を底に徐々に上昇しつつあるが、要因としてはワクチン開発による感染収束への期待などから米国株式が上昇していることが挙げられる。投資マネーが債券市場から株式市場へシフトすることで、国債相場が下がって長期金利が上昇するという構図だ。

さらに米国大統領選で民主党のバイデン候補が勝利し、ジョージア州での上院決選投票で民主党が2議席を確保したことも、長期金利の上昇に拍車をかけている。バイデン次期政権のもとで財政出動が拡大し、国債が増発されるとの観測が広がったためだ。2021年年明けからの1週間で米長期金利の上昇幅は0.2%を超えた。

日本でも年明け以降、日経平均株価がバブル期以来の高値を更新するなど株価の上昇が続いており、長期金利が上昇基調に転じるとの見方もある。一方で新型コロナウイルス感染症の拡大で1都3県に緊急事態宣言が再び発令され、対象となる都道府県が拡大しているなど、経済の先行きは予断を許さない状況だ。日銀も金融緩和を続ける姿勢を変えておらず、住宅ローン金利が上昇する局面があったとしても上昇幅は限られるだろう。

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