ドローン産業の一大集積地を目指す千葉市

東京圏国家戦略特別区域会議の下に設置された千葉市ドローン宅配等分科会の様子(出典:千葉市HP)東京圏国家戦略特別区域会議の下に設置された千葉市ドローン宅配等分科会の様子(出典:千葉市HP)

産業の国際競争力の強化と国際的な経済活動の拠点形成を促進するため国が定める国家戦略特区。ここでは大幅な規制緩和が認められる。2015年12月、千葉市が国家戦略特区に選ばれた。航空法の規制を緩和してドローンを活用した様々な宅配サービスをできるようにする。

ご存じの人も多いと思うが、ドローンとは遠隔操作や自動運転で飛行できる無人の小型航空機だ。千葉市はこれで生活必需品や医薬品の宅配を行い、子育て世代やシルバー世代に新しいライフスタイルを提案したいとしている。

2016年4月11日と11月22日には、品物を実際に運ぶ実証実験が行われた。これは千葉市、内閣府に加え、イオンリテール株式会社や楽天株式会社、NTTドコモ株式会社など民間企業も参加する千葉市ドローン宅配等分科会の主導によるものだ。

4月の分科会で同市の熊谷俊人市長は次のように語った(一部抜粋)。
「空の産業革命と言われているドローンにおいて、都市部での宅配、実用可能性について千葉市を実証実験のフィールドとしてご活用いただきたいと考えております。本市の幕張新都心は、東京湾に近接し、周辺の臨海部には物流倉庫が点在しています。また、電線地中化の整備もされています。このような幕張新都心の立地特性を生かして本市としては先陣を切ってこれまでにない都市部におけるドローン宅配等の実証実験に果敢に挑んでいきたいと考えております。これによって空の産業革命の実現とともに、ドローン産業を一大成長市場へ成長させ、国内外を代表するドローン産業の一大集積地“千葉市”を目指してまいりたいと考えております」

スマホアプリによる注文や遠隔操作を実証実験

4月11日の実証実験では、都市部初となる2つのドローンのデモンストレーションが行われた。

【デモ飛行①】
イオンモール幕張新都心の屋上(高さ23.4m)から約150m離れた豊砂公園へワインボトル(720ml)を空輸。

【デモ飛行②】
打瀬3丁目公園から約120m離れた高層マンション「ミラマール」の屋上(高さ31.2m)へ市販薬を空輸。

11月22日の実証実験では、稲毛海浜公園のいなげの浜から海上を約700m飛んで荷物を配送するデモンストレーションを実施した。これは千葉市が計画している市川塩浜周辺の物流倉庫からの海上飛行による配送をイメージしたものだ。

同実験のポイントは以下になる。
①都市部における海上飛行
第三者上空飛行が許可されていないことから、海上保安庁や所轄警察署、消防署、漁協など約20機関・団体との協議の末、海上飛行が実現。

②ドローン配送専用のショッピングアプリ
スマホアプリを利用して簡単に商品注文。重量インジケーターで注文商品の総重量を確認。

③携帯電話LTE網を活用した遠隔制御
約40km離れた楽天本社(世田谷区二子玉川)から携帯電話LTE電波を用いて離陸を遠隔指示。離陸から到着の様子を遠隔監視。

④性能を向上させた機体を使用
安全性の向上(パラシュートを搭載)。長距離飛行性能・メンテナンス性の向上。防滴性能を追加。

上記実験はいずれも成功したようだ。

11月22日の実証実験では、稲毛海浜公園のいなげの浜から海上を約700m飛んで荷物を配送するデモンストレーションを実施した(出典:千葉市HP)11月22日の実証実験では、稲毛海浜公園のいなげの浜から海上を約700m飛んで荷物を配送するデモンストレーションを実施した(出典:千葉市HP)

ドローン宅配を想定してマンション建設を計画

千葉市はこうした実験を繰り返し、2019年にはドローン宅配を実用化したいとしている。具体的には以下のようなイメージだ。

・幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、ドローンにより海上(約10km)や花見川(1級河川)の上空を飛行し新都心内の集積所まで運び、住宅地区内のマンション各戸への宅配を行う。
・幕張新都心若葉住宅地区内の店舗からも、ドローンにより超高層マンションの各戸へ薬品など生活必需品の宅配を行う。
・ドローンによる不審者・侵入者に対するセキュリティサービスを行う。
・幕張新都心内において遠隔で診療および服薬指導を行い、地区内の薬局から処方箋を必要とする医薬や薬剤師の指導が必要な医薬品の配達をドローンで行う。

また、幕張新都心では今後も超高層マンションの建築予定がある。そのため、設計段階からドローンによる宅配を想定したマンションや住宅エリアの計画ができるのではないか、という声もあがっている。
このような期待を実現するため、同市では2016年度からドローン産業専用に企業立地促進事業補助金制度も用意した。

千葉市は幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、ドローンにより海上(約10km)や花見川(1級河川)の上空を飛行し新都心内の集積所まで運び、住宅地区内のマンション各戸への宅配を行いたいとしている(出典:千葉市HP)千葉市は幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、ドローンにより海上(約10km)や花見川(1級河川)の上空を飛行し新都心内の集積所まで運び、住宅地区内のマンション各戸への宅配を行いたいとしている(出典:千葉市HP)

周辺住民対策や法整備などけっして低くない実現へのハードル

なんだかワクワクすることばかりのドローン宅配。しかし、実現までには数多くのハードルがある。たとえば、飛行エリア周辺住民への安全や騒音対策。さらにスマホを使用する際の電波や飛行経路などの法整備などだ。これらは前例のないものなので、けっして低いハードルではない。

つい最近まで通販で注文した商品が翌日届くと驚いたものだ。それが2019年にはドローンによって注文後1~2時間で届くことになるかもしれない。

人は物が必要になった瞬間が、一番その物を欲しいと思うときであろう。ドローン宅配が実現すれば私たちの生活は便利に、そして豊かになると思う。たとえ、高いハードルがいくつかあったとしても、一つひとつ乗り越え、ぜひ実現してほしい。

ドローン宅配によって私たちの生活は間違いなく便利に、そして豊かになるはずだ。ぜひ実現してほしい(出典:千葉市HP)ドローン宅配によって私たちの生活は間違いなく便利に、そして豊かになるはずだ。ぜひ実現してほしい(出典:千葉市HP)

2017年 01月09日 11時05分