東京駅周辺で最大!敷地面積3.1haの大規模複合再開発が進行中
▲JR『東京』駅日本橋口は、目の前にJRバスのロータリーがあり、団体ツアー客の集合場所としても知られている。同じ『東京』駅の八重洲口や丸の内口に比べるとどうしても存在感が薄い印象があるが、今回発表されたプロジェクトの進捗によって人の流れも変わり、日本橋口のイメージが華やかに変化しそうだ2015年8月31日、大手デベロッパーの三菱地所が2003年より取り組んでいる『大手町連鎖型都市再生プロジェクト』の第4次事業、『常盤橋街区再開発プロジェクト』についての概要が発表された。
大阪の『あべのハルカス』を超え、日本一の高さとなる地上390m・61階建ての超高層ビルがJR『東京』駅前に登場するとして世間の注目を集めたが、実はこのプロジェクトは“日本一の超高層ビル建設”以外にも、老朽化が指摘されてきた銭瓶町ポンプ所(主に大手町・丸の内エリアの汚水排除を担う下水ポンプ場)の再構築など、重要なインフラ整備の役割も担っている。
築40年~50年、日本の高度経済成長期を支えた老朽化ビル4棟を建て替え
『常盤橋街区再開発プロジェクト』は、千代田区大手町2丁目と中央区八重洲1丁目にまたがる敷地面積約3.1haの街区で進められている。現地は、JR『東京』駅日本橋口から永代通りを挟んですぐ目の前で、徒歩なら駅から1分ほど。また、地下からは地下鉄『大手町』駅にも直結し、東西線・丸ノ内線・半蔵門線・千代田線・都営三田線を利用できる好立地だ。
現在の『常盤橋街区』に目を向けてみると、日本ビル(昭和37年竣工)・朝日生命大手町ビル(昭和46年竣工)・JXビル(昭和45年竣工)・大和呉服橋ビル(昭和31年竣工)の4つのビルが建ち並んでいる。筆者が素人目に見れば、どのビルもまだまだ立派で十分にオフィスビルとしての機能を果たすようにも思われるのだが、日本の高度経済成長期を支え続けてきた“老ビル”たちは、竣工から約50年の時を経てその役割を終えることになった。
都市機能を支える重要インフラが大手町の地下にあった!その再構築も課題に
4つのオフィスビルの建て替えという壮大なプロジェクトの影で、やや目立ちにくい存在ながら注目したいのは、現在日本ビルの地下にある『銭瓶町ポンプ所』の再構築について。
『銭瓶町ポンプ所』は、東京都の中でも最も古い下水ポンプ場のひとつで昭和5年に運転を開始。その後、昭和41年に現在の場所に移転して、現在は千代田区・中央区・文京区・新宿区の一部の汚水等を下水処理場(芝浦水再生センター)へ送る重要な役割を果たしている。
移転稼動から約50年、老朽化が問題となり再構築計画が浮上した訳だが、建て替えが決まっている民間ビルの地下にある“下水ポンプ場の汚水排除機能をそのまま維持”しつつ、新たなインフラ整備を進めることは、このプロジェクトの大きな課題でもあった。
結果、プロジェクト街区内に、下水ポンプ場棟として地上9階・地下3階建てのビルを建設(東京都下水道局事務所含む)。新ポンプ場が稼動予定の2022年度までの間は現在の地下ポンプ場を継続使用するため、日本ビルの建て替え着工時期は他の棟に遅れて2023年度にずれ込むことになった。
新設される下水ポンプ場ビルの地下には、日本橋川の水質改善を図るために降雨初期の汚れた下水を貯留する施設を整備し、“地域の環境保全を担うビル”として新たな使命を担うことになる。
7000m2の大規模広場は、万一の災害時の災害復旧活動拠点としての役割も
プロジェクト街区内の公共スペースに目を向けてみると、A棟とB棟の間には約7000m2という広大なスペースを持つ『大規模広場』が設置されるほか、隣接する『常盤橋公園』は、江戸五口のひとつとされる常盤橋門(寛永6年築)の存在を生かした史跡公園として再整備される予定になっている。
また、近接する日本橋川沿いには親水公園を設置する計画で、緑豊かな市民の憩いのスペースが誕生することになりそうだ。
「しかし、東京駅の目の前に7000m2もの巨大な広場を作るとは!そのスペースを使って高層ビルをもう1棟建てられそうなものなのに…」とつい思いがちだが、実はこの『大規模広場』には“憩いの場所”以外にもうひとつの存在意義があり、万一の災害時には重要な『災害復旧活動拠点』となる。
帰宅困難者の一時滞在施設として約3300人の収容を想定し、3日分の非常食や水などを保管する防災備蓄倉庫が整備されるほか、日本橋川に近接する立地を生かし水路での支援物資搬入に対応すべく、『常盤橋防災船着場』も再整備される予定だという。
日本の首都・東京を『高度防災都市』へと導く計画もプロジェクトに組み込まれているのだ。
リニア開通に沸く『品川』VS日本一高い超高層ビルが建つ『東京』
この『常盤橋街区再開発プロジェクト』は、2015年度中に『国家戦略特別区域計画』として内閣総理大臣の認定を受ける予定で、下水ポンプ場ビルの2017年度着工を皮切りに順次工事をスタートさせ、2027年度にはプロジェクトの全工程が完了する計画になっている。
2027年度といえば、ちょうどリニア中央新幹線『品川』~『名古屋』間の開業が予定されており、東京の新しい玄関口として『品川』エリアが注目を集めている頃だ。『品川』駅界隈では、現在『東京サウスゲート構想』により国際ビジネス拠点として国内外の企業誘致をおこなっているため、今後『東京』VS『品川』で人(集客)と企業の取り合いになることも想定される。
この『常盤橋街区』の大規模複合再開発は、“元祖・東京の玄関口”である『東京』駅のブランド力を維持するための大きな起爆剤となりうるため、明治の産業近代化以来“日本随一のビジネスタウン・大手町”を創り上げてきた三菱地所渾身のプロジェクトと言えそうである。





