日本の利上げ到達点は2%程度がひとつの目安
日本銀行の政策金利引き上げが続く中、利上げの到達点(ターミナルレート)は「2%程度」が一つの目安と見られています。ただし実際の金利は今後の物価や景気動向で変動するため、決めつけずに注視することが重要です。
詳しくは、「日本の金利はどこまで上がる?」をご覧ください。
変動金利は政策金利上昇が反映されやすい環境へ移行
これまでは金融機関の競争により住宅ローンの変動金利の上昇が抑えられるケースもありましたが、現在は預金金利上昇等による銀行側の負担増に伴い、政策金利の上昇分が住宅ローン金利へ直接反映されやすくなっています。
詳しくは、「金利上昇で住宅ローンはどうなる?」をご覧ください。
住宅ローンは金利上昇を見据えたシミュレーションが不可欠
金利上昇局面での住宅購入では「いくら借りられるか」ではなく「金利が上がっても無理なく返せるか」を重視する必要があります。予算オーバーを防ぐため、立地条件の良い中古物件+リフォームなども有効な選択肢となります。
詳しくは、「金利上昇を見据え、中古住宅も選択肢に」をご覧ください。

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日本銀行は2026年9月に政策金利を1.25%に引き上げました。同月、米FRBも0.25%の引き上げをしています。今後、日本の金利はどこまで上がるのでしょうか。

 

国内最大級の不動産・情報サービスを主事業とするLIFULL HOME’S総合研究所フェローの中山 登志朗(なかやま としあき)氏に話をうかがい、主要国の金利動向と比較しつつ解説します。

 

LIFULL HOME’S総合研究所 フェロー 出版社を経て、1998年よりシンクタンクにて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間数多くの不動産市況セミナーで講演。2014年9月にHOME’S総研(現:LIFULL HOME’S総研)副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。2026年8月より現職。

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日本銀行は2026年9月の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度とすることを決定しました。日銀は、基調的な物価上昇率が2%に近づいていることなどを踏まえ、今後も経済・物価・金融情勢を鑑みながら、政策金利を引き上げていく考えを示しています。

 

中山氏は、日本の利上げには、物価上昇を抑えるだけでなく、行き過ぎた円安を修正する狙いもあると説明します。

 

「これまでの日本は、ゼロ金利やマイナス金利など、金利が低すぎる状態が長く続いてきました。今は、景気を大きく冷やさない範囲で、金利のある正常な状態に戻していく段階にあります」

 

ただし、利上げを急ぐと、今度は家計や企業の負担が増します。

 

「政策金利が上がれば、住宅ローンの返済負担が増えるだけでなく、企業の借入金利も上がります。そうなれば、消費や企業の投資が抑えられ、景気を冷やすことにもなりかねません。だからこそ、物価や円安を抑えながら、景気への影響も見極めて、慎重に金利を引き上げていくことが重要です」

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米国では、FRBが2026年9月16日のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.00%としました。FRBはインフレがなお高い水準にあるとして、2%の物価上昇率に戻すことを目指しています。

 

一方、日本銀行は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度とすることを決定しました。図版を見ると、米国と日本では政策金利の水準に大きな差があることが分かります。

 

各国の政策金利推移

 

この日米の金利差は、円相場を考えるうえでも重要です。中山氏は、日銀が利上げを続けても、米国との金利差が大きいままでは円安が修正されにくいと指摘します。

 

「日本が0.25%ずつ利上げしても、米国の金利がそれ以上に高ければ、日米の金利差はなかなか縮まりません。日本が利上げしたからといって、すぐに円高になるわけではないのです」

 

実際、9月はFRB、日銀が相次いで利上げしました。日本が金利を引き上げても、米国との金利差が残る状況は続いています。

欧州中央銀行(ECB)も9月10日の理事会で主要政策金利を0.25%引き上げ、預金ファシリティ金利は2.50%となりました。ECBはインフレ率を中期的に2%で安定させることを目標とし、今後の政策は経済・金融情勢などを見ながら判断するとしています。

 

米国、欧州、日本はいずれも足元では利上げ方向に動いていますが、金融政策が同じになるわけではありません。

 

「各国の中央銀行は、それぞれの国や地域の物価、景気、為替などを見ながら判断しています。米国の金利が動いたから、日本も同じように動くという単純な話ではありません」

 

各国の金融政策は連動する部分がある一方、それぞれ独立して決められます。中山氏も、金融政策は各国が自国の経済情勢に応じて判断するものだと説明しています。

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今後、日本の政策金利がどこまで上がるかについては、さまざまな見方があります。

中山氏によると、これまで日銀のターミナルレート、つまり利上げの最終的な到達点は2%程度という見方が中心でしたが、最近では2.5%程度まで上がる可能性を指摘する声も出ています。

 

ただし、2.5%という見方は少数派で、中山氏自身は2%程度を一つの目安としています。「以前は1.5%程度という見方もありましたが、利上げのペースが速くなったことで、2%、さらに2.5%という声も出てきました。ただ、現時点では2%程度を想定するのが一つの目安でしょう」

 

といっても、これは将来の金利水準を確約するものではありません。実際の政策金利は、今後の物価や景気、為替などによって変わります。

では、なぜ政策金利をどんどん引き上げればよい、とはならないのでしょうか。

 

金利が上がれば、住宅ローンなど個人の借り入れだけでなく、企業の借入金利も上昇します。特に借り入れに依存して事業を行う企業にとっては、金利上昇が負担になります。

 

また、金利上昇によって住宅ローンの返済負担が増えれば、家計が住宅以外に使えるお金も減ります。企業と家計の双方で支出が抑えられれば、景気を下押しする可能性があります。つまり、金利を上げれば物価を抑える方向に働く一方、上げすぎれば景気を冷やすことにもなります。

 

そのため日銀にとっては、物価上昇を抑えながら、景気への影響も見極めることが重要になります。

政策金利が上昇すると、生活に直接影響するものの一つが住宅ローンです。

 

特に変動金利型は、日銀の利上げに伴って金融機関が住宅ローン金利を引き上げる可能性が高いです。そこで知っておきたいのが、「パススルー率」という考え方です。

 

パススルー率とは、日銀が政策金利を引き上げたとき、その上昇分を銀行が住宅ローン金利にどの程度反映させるかを示したものです。

 

たとえば、日銀が0.25%利上げした場合、銀行が住宅ローン金利を0.25%引き上げればパススルー率は100%。0.125%だけ引き上げれば50%となります。

 

中山氏によると、以前は銀行間の競争が激しく、政策金利が0.25%上がっても、住宅ローン金利への反映を0.125%に抑えるケースがありました。

 

「特定の銀行だけ金利を大きく上げると、ほかの銀行に借り手が流れてしまいます。そのため、以前は利上げ分をそのまま住宅ローン金利に反映させず、競争を意識して抑えることがありました」

 

ところが、金利が上昇する環境では、銀行側も預金金利の引き上げなどで負担が増えます。

 

中山氏は「預金金利が上がれば、銀行が預金者に支払う利息も増えます。貸出金利を低く抑えたままでは、銀行の収益が圧迫されます。したがって、今は政策金利の上昇分を住宅ローン金利にも反映させる動きが強まっています」と指摘します。

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住宅ローンを組む際は、現在の金利だけでなく、金利が上昇した場合の返済額も確認しておくことが重要です。

 

「変動金利が2%程度、固定金利なら5%程度になっても返済できるか。将来、実際にその金利になるという予測ではなく、金利上昇に備えたシミュレーションを借入前にしておくことをおすすめしています。金利上昇で毎月の返済額の増加に耐えられず売却するケースが徐々に増えていますから、借入額を決めるうえでも大切なプロセスです」と中山氏は話します。

 

金利が上昇すれば、同じ返済額でも借りられる金額は小さくなります。そのため、「いくら借りられるか」ではなく、「金利が上がっても無理なく返せるか」を基準に、住宅購入の予算を考える必要があります。

 

住宅価格が上昇するなか、新築にこだわらず中古マンションを購入し、リフォームやリノベーションを施す方法もあります。都内から近郊まで視野に入れれば物件の選択肢は広がります。

 

「たとえば、3,500万円で中古物件を購入し、1,000万円をリフォームにかけても総額は4,500万円です。立地のよい中古物件を選ぶことで、新築よりも購入費用を抑えられる場合があります」と中山氏は指摘します。

 

中古物件は築年数だけでなく、建物の状態やリフォーム費用も含めて検討することが大切です。金利上昇を想定して無理のない借入額を決め、その予算内で立地や広さ、新築・中古の別を検討することが、住宅選びのポイントになります。

日本の金利は今後も上昇する可能性がありますが、そのペースや到達点は物価や景気の動向によって変わります。住宅ローンを利用する際は、金利の先行きを決めつけず、上昇した場合の返済額も確認しておくことが大切です。

 

借入額だけでなく、返済期間や物件価格も含めて検討し、将来にわたって無理なく返済できる計画を立てましょう。

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A.必ずしもそうとは限りません。

日米の金融政策には為替などを通じた影響関係がありますが、最終的な政策判断はそれぞれの中央銀行が独自に行います。日本では国内の物価や景気、為替などを踏まえて日銀が判断するため、米国の金利だけを見て決まるわけではありません。

「米国の金利はもちろん重要ですが、日本には日本の経済があります。米国とまったく同じタイミングで利上げや利下げをすることはありません」と中山氏は説明します。「そのことが結果的に日米の政策金利差を広げることにもつながっています」。

A.預金金利が引き上げられる可能性がありますが、上がる時期や幅は金融機関によって異なります。

政策金利が上昇すると、銀行は預金者に支払う利息も引き上げる必要が出てきます。住宅ローンなどの貸出金利だけでなく、銀行が資金を調達するコストも上昇するためです。

中山氏は、「銀行からすれば、預金金利が上がれば支払う利息も増えます。そのため、貸出金利を低く抑え続けるのが難しくなります」と話します。

つまり、金利上昇は住宅ローンの負担増だけでなく、預金を持つ人にとっては受け取る利息が増えるという側面もあります。

A.まず、金利が上昇した場合に毎月の返済額がいくらになるかを確認しましょう。

これから住宅ローンを組む場合だけでなく、すでに借りている人にとっても金利上昇への備えは重要です。

現在の残高や残りの返済期間をもとに、金利が1%上昇した場合など、複数のケースで返済額を確認しておくと、家計への影響を具体的に把握できます。

「長い返済期間の途中では、収入や家族構成の変化など、いろいろなことが起こります。どんな状況になっても返済できる余裕があるかを考えておくことが大切です」と中山氏は指摘します。

A.金融機関によって事情が異なるため、金利だけで判断するのは難しくなっています。

ネット銀行には、店舗や人件費などのコストを抑え、その分を金利の低さに反映させるビジネスモデルがあります。低い金利を設定して借り手を増やし、貸出残高を伸ばすという考え方です。

一方で、金利上昇局面では金融機関側の負担も増えます。中山氏は、これからは単純な金利競争だけでは金融機関の収益を維持することが難しくなるとみています。

「住宅ローンは金利だけで競争する時代から、サービスや販売チャネルなども含めて競う時代へ変わっていくでしょう」

住宅ローンを選ぶときは、表示金利だけでなく、金利の上乗せ条件や団信、手数料なども含めて比較することが重要です。

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