住宅ローン繰り上げ返済の選択肢と効果的な組み合わせ
金利上昇局面では、利息負担を最も減らせる「期間短縮型」と、毎月の家計を楽にする「返済額軽減型」のメリットを比較して選ぶことが大切です。定年までの完済を目指すなら期間短縮型、教育費増加など今後の支出に備えるなら返済額軽減型が適しています。
詳しくは、「繰り上げ返済とはどんな仕組みか?」をご覧ください。
100万円繰り上げ返済時の具体的な利息軽減効果
借入額3,000万円・金利3%のローンで100万円を3年後に返済する場合、期間短縮型なら利息が約154万円減少し返済期間も1年9ヶ月短縮されます。一方、返済額軽減型では毎月の支払いが約4,000円軽くなり、利息は約56万円軽減されます。
詳しくは、「100万円を繰り上げ返済した場合の効果を比較」をご覧ください。
繰り上げ返済を実行する前の重要な注意点
手数料や最低返済額の条件確認に加え、住宅ローン控除の節税効果が減らないか事前の試算が必要です。また、急な出費や生活防衛資金を確保し、手元資金を減らしすぎない計画的な実行が求められます。
詳しくは、「繰り上げ返済の前に確認したい3つのポイント」をご覧ください。

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長らく続いた超低金利時代には、「住宅ローンは無理に早く返さず、余裕資金は運用に回したほうがよい」という考え方が一般的でした。住宅ローンの金利が低いうえ、新NISAなどを活用した長期投資でより高いリターンが期待できたため、その差額分が得だったからです。

 

しかし、近年状況は変わりつつあります。日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に利上げを進め、2026年6月には政策金利の誘導目標を1.0%程度に引き上げました。住宅価格の上昇によって借入額も大きくなるなか、住宅ローンは「借りたら終わり」ではなく、金利環境や家計、ライフプランの変化に応じて見直すことが大切になっています。

 

その方法の一つが「繰り上げ返済」です。毎月の返済とは別に元金の一部を前倒しして返すことで、繰り上げ返済した元金にかかるはずだった将来の利息を減らせます。低金利時代が続いてきたため、長らく「繰り上げ返済するより、その資金を運用に回したほうがよい」のが常識でしたが、その常識に陰りが見えます。

 

今回は、住宅ローンの負担軽減に効果的な「繰り上げ返済」について考えます。

まず押さえておきたいのは、繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があるという点です。

 

期間短縮型は、毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする方法です。同じ金額を返済しても、「期間短縮型」のほうが元金を減らせるため、利息の軽減効果が大きいのが特徴です。定年までに完済したい人や、できるだけ総返済額を減らしたい人に向いています。ただし、毎月の返済額は変わらないため、当面の家計負担を軽くする効果はありません。

 

返済額軽減型は、返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす方法です。利息軽減効果は期間短縮型より小さくなりますが、毎月の家計負担を軽くできます。教育費の増加など、今後の支出増に備えたい場合に利用しやすい方法です。

全期間固定金利3%、元利均等返済、返済期間35年、借入額3000万円のローンを、借り入れから3年後に100万円繰り上げ返済するパターンで、2つのタイプの利息軽減額を試算してみましょう。

 

期間短縮型の場合、返済期間が約1年9ヶ月短くなり、利息は約154万円減ります。一方、返済額軽減型では毎月の返済額が約4000円、利息が約56万円減ります。

 

どちらも総返済額を減らせる点は共通していますが、「利息をできるだけ減らしたい」のか、「毎月の家計を楽にしたい」のかによって選ぶべきタイプは変わります。

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繰り上げ返済はメリットが大きい反面、実際に行う前に確認しておきたい点もあります。

現在はインターネットバンキングからの手続きなら無料としている金融機関も多くありますが、窓口で手続きすると手数料がかかる場合があります。また、最低返済額が設定されていることもあるため、事前に利用している金融機関の条件を確認しておきましょう。

住宅ローン控除を受けている期間中は、借入残高が減ることで控除額も小さくなる可能性があります。繰り上げ返済による利息軽減効果と、控除額への影響を比較したうえで判断すると安心です。

繰り上げ返済に充てたお金は、基本的に自由に引き出すことはできません。病気や転職、教育費など急な支出にも対応できるよう、生活防衛資金は十分に残しておくことが大切です。

同じ総額を返すにしても、まとまった資金ができるたびに少額ずつ繰り上げ返済するのと、ある程度貯めてからまとめて返済するのでは、どちらがお得なのでしょうか。

 

たとえば金利3%、2500万円を借り入れた場合で比較すると、毎年こまめに100万円ずつ5年間返済する場合、5年後に500万円をまとめて返す場合よりも、この時点での総返済額がこまめに返すほうが、約58万円少なくなります。

 

元金を早く減らすほど、その分の利息負担を抑えられます。 まとまった資金ができるのを待つより、少額でも早めに動いたほうが利息軽減効果は高くなります。

 

とはいえ、だからといって手元資金をほとんど残さず返済に回すのはおすすめできません。教育費や住宅修繕費など将来必要になる資金とのバランスを考えながら、無理のない範囲で少額でも早めに実行するのが、利息軽減効果を得るコツです。

 

繰り上げ返済は、すべての人に必要というわけではありません。ライフステージに合わせて活用することが大切です。

子どもの高校・大学進学が近づき、教育費の負担が大きくなりそうな家庭なら、返済額軽減型を利用して毎月の返済負担を減らすことで、家計に余裕を持たせることができます。

定年までに住宅ローンを完済したい人や、早期退職・FIREを視野に入れている人には、期間短縮型が向いています。返済期間を短縮できれば、老後までローンを持ち越すリスクを減らせます。

近年は返済期間が40年や50年といった長期ローンも増えています。借入当初は返済額を抑えられる反面、将来まで返済が続くため、家計に余裕ができたタイミングで繰り上げ返済を行い、返済期間を短縮するという選択肢も考えられるでしょう。

現状、今、住宅ローンを組もうとしている人も、既に借りている人も、変動金利型を選択する人が多い状況です。固定型の適用金利が3%超なのに対し、変動型は1%超といったところですから、変動型を選ぶ人が多いのも納得できます。
※住宅ローンの適用金利は、金融機関や借入条件、金利タイプなどによって異なります。上記は一定の条件における金利水準の一例です。

 

超低金利時代しか知らない皆さんには信じられないかもしれませんが、住宅ローン金利は1度上がりだすと、1年で1%どころか1.5%など、大きく上昇していく場合があります。

 

変動金利型の一部では、返済額の見直しを5年ごととするルールがありますが、その時にちょうど教育費負担が最大であったり、夫婦どちらかが働けない状態になっていたりしたら、家計に大きな負担がかかります。そういった家計の変化が予測できる場合は、住宅ローンの繰り上げ返済をして、将来のリスクを回避することができることを覚えておくといいでしょう。

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これまでの低金利時代は、「余裕資金は運用し、住宅ローンはゆっくり返す」という考え方が有力でした。しかし、住宅価格や住宅ローン金利が上昇している現在は、その考え方がすべての人に当てはまるとは限りません。

 

繰り上げ返済には、総返済額を減らしたり、毎月の家計負担を軽くしたりする効果があります。一方で、住宅ローン控除への影響や手元資金とのバランスにも配慮が必要です。

 

「早く返したほうがよいか」ではなく、「自分の家計やライフプランに合っているか」という視点で検討することが、後悔しない住宅ローン返済につながるでしょう。

A.一概にはいえません。繰り上げ返済で借入残高が減ると控除額が小さくなる可能性がある一方、将来支払う利息は減らせます。繰り上げ返済による利息軽減効果と、住宅ローン控除への影響を比較したうえで判断しましょう。

 

A.同じ総額を返すのであれば、元金を早く減らすほど利息軽減効果は大きくなります。ただし、手数料や最低返済額など金融機関の条件を確認し、生活防衛資金や教育費、住宅修繕費など近い将来に必要な資金を確保したうえで行うことが大切です。

 

A.利息をできるだけ減らし、返済期間を短くしたい場合は期間短縮型、毎月の返済負担を軽くしたい場合は返済額軽減型が基本です。定年までの完済を優先するのか、教育費など今後の支出増に備えるのかといったライフプランに合わせて選びましょう。

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