住宅ローン選びは「固定と変動の違い」を正しく理解することが第一歩
変動金利と固定金利は、金利が動く仕組みや基準となる指標が異なります。メリットとデメリットを正しく把握し、自分のライフプランに合った金利タイプを選ぶことが重要です。
金利上昇局面でも過半数の人が「変動金利」を選んでいる
日銀の利上げで金利上昇が懸念される中、依然として変動金利が人気です。固定金利よりも借入時の金利が低く、目の前の返済負担を抑えやすいことが大きな理由となっています。
金利上昇に備えるには「余裕を持った資金計画」が不可欠
変動金利を選ぶ場合は、金利が上がった際の返済額増加に備え、低金利のうちに貯蓄や繰り上げ返済の準備をしておくことが大切です。無理のない借入額を設定しましょう。

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2026年6月の「金融政策決定会合」で日銀は政策金利を1%に引き上げました。これを受け、今後住宅ローン金利はどうなっていくのか、改めて不安に感じている方も多いかもしれません。

 

また、これから家を買う人にとっても、住宅ローンを変動金利型にするのか、固定金利型にするのかは、これまで以上に悩ましい問題になっています。

 

LIFULL HOME’Sは、2023年から半年ごとに、住宅の購入検討者を対象とした「住宅ローンに関する意識調査」を実施しています。この定点調査を時系列で並べてみると、この2〜3年で購入検討者の金利に対する考え方が大きく変化してきたことが垣間見えます。

 

その変化を読み解きながら、これから住宅ローンを組む人、すでに組んでいる人が、それぞれ何を考えておくべきかを整理していきましょう。 住まいの窓口に資金計画を相談する住まいの窓口とは物件を探す

まず注目したいのが、購入検討者が選びたい住宅ローンの金利タイプです。

※調査対象や設問構成は調査回によって一部異なる。 出典:LIFULL HOME’S「住宅ローンに関する意識調査」

2023年4月の調査では、全期間固定金利型(以下、固定金利)を選びたい人が67.9%だったのに対し、変動金利型(以下、変動金利)を選びたい人は23.3%にとどまりました。2024年1月調査でも同じ傾向が続き、固定金利が圧倒的な多数派でした。

 

当時は、日銀総裁の交代をきっかけに、金融政策がこれから大きく変わるのではないかという見方が広がっていた時期です。長く続いた超低金利が終わり、住宅ローン金利も上がっていくのではないか、そんな警戒感が強まっていました。

 

そう考えると、「これ以上金利が上がる前に、固定金利で返済額を固めておきたい」と考える人が多かったのも納得がいきます。

 

ところが、2024年7月には変動金利を選びたい人が34.3%まで増え、2025年1月には57.3%と過半数に達します。ここで、固定金利と変動金利の割合が逆転しました。その後も変動金利は55〜56%程度で推移しており、2026年6月調査でも56.0%を占めています。

 

2023年には固定金利が約7割を占めていたのが、今では変動金利が過半数に。わずか数年で、購入検討者の金利タイプに対する意識は大きく変化したことになります。

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これは一見すると、意外な結果に思えるかもしれません。金利上昇が心配なら、固定金利を選ぶ人が増えそうなものです。というのも、変動金利は、金利情勢が変われば、借り入れ後の適用金利が上昇していく仕組みになっています。

 

固定金利なら、借りた後に市場金利が上がっても、基本的に返済期間中の金利は変わらないからです。にもかかわらず、実際には、購入検討者の選択が固定金利から変動金利へと移ったのは、なぜなのでしょうか。

 

その背景には、まず押さえておきたいのが、固定金利と変動金利では金利が動く仕組みが異なることです。

 

一般的に、固定金利は新発10年国債利回りなどの長期金利を参考に設定されます。長期金利は、市場の思惑で数字が動いていきますので、将来の金利上昇を見越した動きが比較的早い段階で反映されやすいとされています。

 

一方、変動金利は短期金利の影響を受ける基準金利(短期プライムレートなど)をもとに適用金利が決まります。そのため、日銀の政策金利の変更が反映されやすい特徴があります。

つまり、金利上昇局面では、固定金利が先に上がる一方、変動金利はしばらく低い水準にとどまるという「時間差」が生じやすいのです。

 

実際、この数年の金利環境を見ると、その違いが表れています。

※長期金利は新発10年国債利回り、政策金利は日銀の無担保コール翌日物の誘導水準
出典:財務省「国債金利情報」、日本銀行の公表資料をもとに作成

 

上のグラフを見ると、2023年初めごろから2024年にかけて、長期金利は政策金利が本格的に引き上げられる前からじわじわと上昇していたことがわかります。

 

その結果、この時期には固定金利が先に上昇しやすく、変動金利よりも早い段階で借入時の金利や毎月の返済額に差が出やすい状況となっていたのです。

 

この「時間差」が、変動金利を選ぶ人が増えた背景のひとつと考えられます。固定金利を選べば、将来の金利上昇リスクは抑えられる一方、すでに上昇した金利が借入時から適用され、毎月の返済負担も大きくなります。

 

これに対して変動型は、将来金利が上がる可能性はあるものの、少なくとも借入時点では固定型より低い金利で借りられるケースが多く、当初の返済額を抑えやすかったのです。

では、実際の住宅ローン金利はどのように動いてきたのでしょうか。具体的な商品を比べると、こうした金利上昇のタイミングの違いが、固定型と変動型の借り入れ時点の金利差となって表れてきたことが見えてきます。

 

2023年から2025年にかけて、PayPay銀行、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行の変動金利はいずれも1%を下回る水準で推移していました。一方、全期間固定型のSBIアルヒ「フラット35」は1.7〜1.9%台で推移しています。

 

同じ時点で比べると、固定型は変動型よりおおむね1ポイント以上高く、借入当初から金利負担に大きな差がつきやすい状況であったと言えます。

 

住宅価格が高止まりし、物価も上がっているなかで、家計に余裕がある人ばかりではありません。固定金利の安心感は魅力ですが、借入時の金利が高くなれば、それだけ毎月の返済額も大きくなります。将来の金利上昇に備えたいと思っていても、目の前の返済負担を考え、変動金利を選ぶ人もいるでしょう。

 

つまり、変動金利が選ばれているのは、必ずしも「金利上昇を楽観しているから」ではありません。むしろ、金利上昇への不安を抱えながらも、目の前の返済額を抑えることを優先した結果、変動金利を選ぶ人が多くなっていると見るべきでしょう。

ただし、目の前の返済額を優先して変動金利を選んでいるからといって、購入検討者が金利上昇を軽視しているわけではありません。むしろ調査からは、今後の金利上昇に対して強い警戒感を抱いていることがわかります。

 

それをよく表しているのが、2026年6月調査で聞いた「現在の水準からどの程度金利が上昇すると、住宅購入に慎重になるか」という質問です。

出典:LIFULL HOME’S「住宅ローンに関する意識調査」(2026年6月)

最も多かった回答は「~1.0%上昇したら」の47.1%でした。「0.5%上昇したら」と答えた11.8%を合わせると、58.9%、つまり約6割が、現在の水準から1.0%までの金利上昇で住宅購入に慎重になると答えています。

 

変動金利を選ぶ人が増えている一方で、金利があと1%上がっても問題ないと考えているわけではないのです。多くの購入検討者にとって、「現在の水準から1.0%の上昇」は、住宅購入の判断を変えかねないひとつの壁になっていると言えるでしょう。

では、金利上昇が一度で終わらず、その後も続いた場合、住宅ローンの返済額はどのように変わっていくのでしょうか。

 

※実際の返済額変化は金融機関の商品条件(5年ルール・125%ルールの有無など)によって異なります。

ここでは、借入金3000万円、返済期間35年とし、一定の条件のもとで、変動金利が5年ごとに1%ずつ3回上昇し、その後は同じ水準で推移するケースを想定して、全期間固定と変動金利を比較しました。

 

まず注目したいのが、借入当初の返済額の差です。毎月の返済額は、全期間固定が約11万9000円なのに対し、変動金利は約8万5000円。月額で約3万4000円の差があります。これだけの差があれば、金利上昇への不安があっても、借入時点では変動金利を選びたくなるのもうなずけます。

 

ただし、この返済額がずっと続くとは限りません。今回の試算では、変動金利の返済額は6年目に約9万8000円、11年目には約10万9000円、16年目以降は約11万9000円まで上がる計算です。

 

11年目には当初より月約2万4000円、年間では約29万円の負担増となり、この試算では、16年目には当初の全期間固定とほぼ同じ返済額になります。

 

毎月8万5000円の返済ですでに家計に余裕がなければ、この増加はかなり重いでしょう。しかも10年後、15年後は、子どもの成長に伴って食費や教育費が増える時期と重なる家庭も少なくありません。

※実際の返済額変化は金融機関の商品条件(5年ルール・125%ルールの有無など)によって異なります。

 

大切なのは、「今なら払えるか」だけで決めないことです。変動金利を選ぶなら、金利が上がった場合に返済額はいくらになるのか、その時期に家計の支出はどうなっているのかまで見通しておく必要があります。

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金利が読みにくい今、大切なのは、「変動か固定か」の二択だけで考えすぎないことです。これから借りる人、すでに借りている人、それぞれに取れる選択肢を整理してみましょう。

 

・固定期間選択型も検討する

変動金利と固定金利の中間的な選択肢となるのが、固定期間選択型です。たとえば最初の10年間だけ金利を固定し、返済額を確定させる。その間に元本を減らしたり、将来の金利上昇に備えて貯蓄したりする方法があります。

 

全期間固定より当初の金利を抑えられる場合もあり、一定期間は返済額を確定させたい人にとって、選択肢のひとつになります。

 

ただし、固定期間が終わった後の金利によっては、返済額が大きく増える可能性があります。選ぶ際は、「最初の10年間」だけでなく、固定期間終了後の金利や返済額まで試算しておきましょう。

 

・ミックスローンも選択肢に

借入額の一部を固定金利、残りを変動金利にする「ミックスローン」という方法もあります。全額を変動金利にするより金利上昇の影響を抑えられ、全額を固定金利にするより当初の返済額を抑えられる可能性があります。

 

変動金利の低さは活かしたいけれど、すべてを変動にするのは不安という人には、両方のメリットを活かす選択肢になります。

 

ただし、住宅ローンを複数に分けるため、金融機関によっては手数料などの諸費用が増えることがあります。金利だけでなく、費用を含めて比較しましょう。

 

・変動金利なら、返済額が低いうちを「備えの期間」に

変動金利を選ぶ場合は、返済額が比較的低いうちに、将来の金利上昇への備えを進めておくことも大切です。先ほどの試算では借入当初の返済額に月3万円以上の差がありましたが、たとえば、その差額のうち毎月2万円を貯蓄に回せば、5年間で120万円になります。

 

金利が上がったときの返済増に備えることもできますし、家計に余裕があれば、繰り上げ返済に回して元本を減らす方法もあります。

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・教育費のピーク時まで家計を試算する

まず確認したいのが、今の返済ペースを続けた場合、将来の住宅ローン残高がどうなるかです。子どもが高校や大学に進学するころ、住宅ローンはいくら残っているのか。その時期に金利が0.5%、1.0%上がった場合、毎月返済額はいくらになるのか。こうした将来の家計を、今のうちに試算しておきましょう。

 

大切なのは、住宅ローンだけを単独で見るのではなく、教育費などの支出と重ねて確認することです。今は余裕があっても、10年後、15年後には家計の状況が大きく変わっている可能性があります。

 

余裕のある時期に貯蓄を増やしたり、無理のない範囲で繰り上げ返済を進めたりしておけば、返済額の上昇と教育費のピークが重なる時期にも備えやすくなります。

 

・借り換えも一度は検討する

借入時から時間が経てば、家族の状況も、市場の金利環境も変わります。現在利用している住宅ローンが、今の自分にとって最も合ったものとは限りません。条件によっては、ほかの住宅ローンに借り換えることで、固定金利へ変更するなど、リスクの取り方を見直せる可能性があります。

 

特に、借入残高が多く、残りの返済期間が長い場合は、借り換えによる効果が大きくなることがあります。

 

ただし、借り換えには事務手数料や登記費用などの諸費用がかかります。「金利が低くなるか」だけでなく、費用を含めた総額でメリットがあるかを確認しましょう。

金利上昇局面でも変動金利が選ばれている背景には、固定金利と変動金利で適用金利の元となる基準金利が違い、動くタイミングが異なる点がありました。これによって、現状、借入時の金利や返済額に大きな差が生じています。

 

将来の安心を優先したくても、目の前の返済負担を考えると、変動金利のほうが現実的な選択肢になる、今回の調査からは、そんな購入検討者の事情が見えてきます。

 

とはいえ大切なのは、「今なら払える」だけで決めないことです。将来金利が上がっても返済を続けられるかを家計全体で考え、自分に合った金利タイプを選ぶことが、これからの住宅ローン選びではこれまで以上に重要になるでしょう。住まいの窓口に資金計画を相談する住まいの窓口とは【無料】住まいの窓口の講座を探す

A1.どちらが一律に有利とは言えません。変動金利は借入時の返済額を抑えやすい一方、将来の金利上昇で負担が増える可能性があります。固定金利は返済額を確定できる安心感がありますが、借入時の金利は高めです。現在の返済額だけでなく、金利が上がった場合にも無理なく返せるかを基準に考えましょう。

A2.必ずしもすぐに増えるとは限りません。多くの金融機関では、金利が上がっても毎月返済額を5年間据え置く「5年ルール」を採用していますが、採用していない金融機関もあります。「5年ルール」は、返済額が変わらなくても、適用金利は上がっているので、利息に回る割合が増えて元本が減りにくくなっている可能性があります。

A3.繰り上げ返済は、元本を減らして将来の利息負担を抑える方法のひとつです。ただし、手元の貯蓄を減らしすぎると、教育費や急な出費に対応しにくくなります。金利上昇への備えを考える際は、繰り上げ返済だけでなく、当面必要な生活資金を残せるかも合わせて検討ことが大切です。

 

参考:【26年6月】日銀利上げ発表後、住宅購入検討者の『住宅ローンに関する定期意識調査』をLIFULL HOME’Sが実施

公開日: