平屋の固定資産税は高くなる傾向
同じ延床面積の家を建てる場合、平屋は広い土地や多くの建材が必要になるため、2階建てよりも固定資産税が高くなる傾向があります。土地の広さや、使用する建材の量が評価額に影響し、税額に差が出ます。
詳しくは、「2階建てより平屋の方が固定資産税は高くなりやすい」をご覧ください。
固定資産税の基本的な計算方法
固定資産税は、土地と建物のそれぞれに課税されます。各市町村が決定する固定資産税評価額に、築年数に応じた補正や軽減措置を適用し、税率(標準は1.4%)を掛けて算出します。最後に土地と建物の税額を合算して納税額が決定します。
詳しくは、「固定資産税の計算方法」をご覧ください。
固定資産税を抑えるための工夫
固定資産税を抑えるには、土地と建物の評価額を低くすることが重要です。土地は地価の安いエリアを選んだり、建物は木造でシンプルな形状にしたりすることで、評価額を抑えやすくなります。
詳しくは、「固定資産税を抑えるポイント」をご覧ください。

無料で住まいの窓口に相談する平屋住宅の住宅カタログを探す

住宅を取得した際には、さまざまな税金がかかります。なかでも、固定資産税は毎年発生する税金のため、なるべく事前に大まかな金額を把握しておきたいところです。

 

今回は平屋の固定資産税について、2階建てと比較して高くなるのか安くなるのか説明するとともに、いくつかのパターンに分けて実際にシミュレーションします。

平屋

 

結論から言うと、同じ立地で同じ延床面積の家を建てるのであれば、平屋の方が2階建てよりも固定資産税の負担額が大きくなるでしょう。

 

なぜなら、平屋の方が2階建てよりも広い土地を必要とするためです。そして、もうひとつの理由は、建てるのに必要な建材の分量です。同じ延床面積を実現しようとする場合、2階建てよりも平屋の方が屋根や壁の面積が広くなります。

 

建物の固定資産税評価額は、立地や広さだけでなく、建材の量や施工の度合い、設備などによっても細かく変動するため、同じ広さであれば平屋の方が高く評価されやすいです。

固定資産税の計算方法

 

それでは、実際に固定資産税はどのように計算されるのでしょうか。ここでは、以下の手順に沿って解説します。

手順

  1. 土地、建物それぞれの固定資産税評価額を調べる
  2. 建物の評価額には経年減価補正率を掛ける
  3. 固定資産税評価額に税率を掛ける
  4. 条件に当てはまっていれば軽減措置を適用させる
  5. 土地と建物の固定資産税額を合算する

 

固定資産税は土地と建物のそれぞれに発生するため、両者を別々に計算し、最後に合計しましょう。そこで、まずは土地、建物それぞれの固定資産税評価額を調べる必要があります。

 

固定資産税評価額は、各市町村が一軒ずつ調査し、個別に決めることになっています。そのため、新築の場合は建ててから調査が行われるまで、実際の金額を知ることはできません

 

ただし、その不動産を購入した金額から、大まかな評価額を予測することは可能です。

  • 建物の評価額:再調達原価(※)の50~60%程度
  • 土地の評価額:公示価格の70%程度

 

※その建物を再び建てたときにかかる費用の目安

 

土地とは違い、建物は年月の経過とともに劣化していく性質を持っています。そのため、固定資産税評価額に対して、築年数に応じた減価補正率を掛けることで、調整を行う必要があります。

 

経年減価補正率は構造(木造または非木造)、地域などによっても異なりますが、経過年数を重ねるたびに大きくなり、数十年単位で0.2にまで下がります。

 

固定資産税は地方税のため、市区町村によって税率が異なります。自治体によって1.5%や1.6%といったケースもありますが、標準税率は「1.4%」となっており、大きく外れることはありません。

 

固定資産税には一定の軽減措置が設けられており、一定の要件を満たすマイホームを建てた場合には適用させることができます。

■土地の固定資産税の軽減措置

土地の固定資産税については、次のように広さに応じた軽減措置が設けられています。

 

軽減率

小規模住宅用地

(200平米以下)

評価額×1/6

一般住宅用地

(200平米を超える部分)

評価額×1/3

たとえば、300平米の住宅用地を持っている場合は、以下のように計算します。

  • 200平米分までの評価額は1/6
  • 残りの100平米分の評価額は1/3

■建物の固定資産税の軽減措置

新築の場合、次のような軽減措置を適用することができます。

  • 新築から3年間にわたり、建物部分の120平米までの税額が1/2になる
  • 長期優良住宅なら5年間に延長
  • マンションなどの中高層耐火建築物ならさらに2年間の延長
  • 床面積50平米以上280平米以下

 

※ただし、土砂災害特別警戒区域などに建てられる場合は適用対象外

 

軽減措置を適用したうえで、土地と建物の固定資産税額を合算すると、最終的な合計額を求めることができます。

 

ここからは、具体例を用いて実際に平屋と2階建ての固定資産税をシミュレーションしてみましょう。

 

平屋住宅の住宅カタログを探す ハウスメーカー・工務店ランキング

シミュレーションで平屋と2階建ての固定資産税を比較してみよう

 

ここでは、同じ建物面積の平屋と2階建てを購入した場合の固定資産税を計算してみましょう。

 

なお、以下のポイントは、どちらにも共通の条件として設定します。

条件

  • 新築の木造一戸建てを購入
  • 建物面積は100平米
  • 再調達原価は平屋3,000万円、2階建て2,500万円とする
  • 建ぺい率50%、容積率100%の土地を購入
  • 土地の価格は10万円/平米と想定
  • 土地の固定資産税評価額は購入価格の70%と想定
  • 建物の固定資産税評価額は再調達原価の60%と想定
  • 固定資産税率は1.4%(標準税率)とする

今回はどちらも新築の一戸建てを購入するとして、広さは建売住宅の平均住宅面積に近い100平米を想定しました。なお、建築費は基礎や屋根、外壁の広さを考慮して、平屋の方を2割ほど高めに設定しています。

 

また、建ぺい率や容積率は一般的な住宅街によくある数値、土地の価格は地方都市(静岡市や仙台市など)の数値を参考にしています。

■土地の固定資産税

まずは、土地の固定資産税評価額について計算してみましょう。今回の条件では、土地の建ぺい率が50%となっているので、100平米の平屋を建てるには、土地の広さが少なくとも200平米は必要です。

 

そこで、次のように計算してみましょう。

土地の固定資産税評価額

  • 土地の購入金額:10万円×200平米=2,000万円
  • 土地の固定資産税評価額:2,000万円×70%=1,400万円

続いて、土地の軽減措置について考えます。今回は200平米のため、ちょうど小規模住宅用地の特例が適用され、すべての評価額が1/6にまで軽減されます。

 

そこで、土地の固定資産税額は次のように計算できます。

土地の固定資産税額

  • 1,400万円×1/6×1.4%=約3.27万円

■建物の固定資産税

建物については、まず次の計算式で固定資産税評価額を割り出します。

建物の固定資産税評価額

  • 建物の固定資産税評価額:3,000万円×60%=1,800万円

続いて、建物の軽減措置について考えましょう。今回は建物の面積が100平米なので、すべての箇所について1/2の軽減措置が適用されます。

 

これをもとに固定資産税額を計算すると、次のようになります。

建物の固定資産税額

  • 1,800万円×1/2×1.4%=12.6万円

そして、土地と建物の固定資産税額を合計すると、最終的には1年目に負担する金額は次のようになります。

固定資産税負担金額

  • 約3.27万円+12.6万円=15.87万円

続いて、2階建てを購入した場合についても見ていきましょう。

■土地の固定資産税

 

2階建ての場合、必要な土地は平屋よりも狭くなります。土地の建ぺい率が50%となっていますが、容積率は100%なので、総二階建て(1階と2階の面積が同じ)であれば最低限必要な広さは100平米で済みます。

 

そこで、先ほどと同じように計算すると、土地の固定資産税評価額は平屋の半分になることが分かります。

土地の固定資産税評価額

  • 土地の購入金額:10万円×100平米=1,000万円
  • 土地の固定資産税評価額:1,000万円×70%=700万円

そのため、今回のケースでは固定資産税額もちょうど半分です。

土地の固定資産税額

  • 700万円×1/6×1.4%=約1.63万円

■建物の固定資産税

建物についても、平屋の場合と同じ手順で計算してみましょう。

建物の固定資産税評価額

  • 建物の固定資産税評価額:2,500万円×60%=1,500万円

これを基に固定資産税額を計算すると、次のようになります。

建物の固定資産税額

  • 1,500万円×1/2×1.4%=10.5万円

そして、土地と建物の固定資産税額を合計すると、最終的には1年目に負担する金額は次のようになります。

固定資産税負担金額

  • 約1.63万円+10.5万円=12.13万円

固定資産税負担金額を比較

  • 平屋を購入した場合:15.87万円
  • 2階建てを購入した場合:12.13万円

今回のケースでは、平屋の方が3万円程度高くなることが分かりました。ただし、計算はあくまで一例であり、再調達原価は設備などの細かなポイントによっても変わってきます。

 

また、土地の価格も購入するエリアによって違いがあるので、今回の方法を参考にしながら実際の条件に当てはめて計算してみるのがおすすめです。

 

なお、今回は新築のケースを想定したため、建物の軽減措置が適用されていますが、一定の歳月が経過した中古物件では適用されない点にも注意が必要です。

 

ほかにも、減価補正率を掛けられるなど、計算方法は新築と中古で大きく異なります。具体的な計算方法の違いは以下の記事に詳しく掲載されているので、気になる人は参考にしてみてください。

一軒家の固定資産税の目安はいくら? 計算方法や軽減措置についても紹介
一軒家の固定資産税の目安はいくら? 計算方法や軽減措置についても紹介
マイホームを購入する際には、取得後にかかる費用にも目を向けておく必要があります。今回は一軒家の固定資…記事を読む

固定資産税を抑えるポイント

 

これまで見てきたように、固定資産税を抑えるためには、固定資産税評価額を抑えるのが基本となります。土地の固定資産税評価額については、広さを抑えたり、地価の安いエリアを選んだりすることが挙げられます。

 

そのうえで、建物については次のポイントを意識することが大切です。

ポイント

  • 木造で建てる
  • 間取りを正方形にしてシンプルな構造にする

一般的に、固定資産税評価額は木造、軽量鉄骨造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に上がっていきます。

 

また、そもそも平均的な建築費も、木造と鉄骨造・鉄筋コンクリート造では大きな違いがあるので、コストを抑えるには木造がベストな選択肢といえるでしょう。

 

そのうえで、間取りについては、なるべく正方形に近いシンプルな形状を目指すのがポイントです。複雑な形状に比べて表面積が少なくなるため、固定資産税評価額を抑えやすくなります。

平屋住宅の事例を探す 平屋住宅が得意な会社を探す

申請手続き

 

固定資産税の軽減措置を受けるためには、住宅を購入した翌年の1月末までに申告手続きをする必要があります。

 

手続き自体はシンプルであり、「固定資産税の住宅用地等申告書」を作成し、住んでいる自治体の担当部署に提出するだけで完了します。

 

申告書には住所・氏名などの基本的な情報とともに、住宅の種類、構造、床面積などを記入する必要があり、認定長期優良住宅の場合は通知書などの書類も必要です。手続きの期限が決められているので、必要書類は早めに準備するといいでしょう。

 

なお、細かな手続き方法は自治体によって異なり、東京都の場合はWebからでも申告手続きが可能になっています。お住まいの地域のルールを確認して、漏れがないように申請しましょう。

同じ延床面積であれば、平屋の方が2階建てよりも固定資産税は高くなります。土地の面積が広くなる点と、屋根や外壁の面積が大きくなる点が主な理由です。

固定資産税は土地と建物を別々に計算し、最後に合算します。それぞれの固定資産税評価額を割り出し、必要な軽減措置を反映させた後に、税率(標準は1.4%)を掛けて求めることができます。

 

無料で住まいの窓口に相談する 平屋住宅の住宅カタログを探す

Q.1:平屋は2階建てよりも固定資産税が高いって本当ですか?

A.1:はい、高くなる傾向にあります。同じ延床面積の場合、平屋は2階建てよりも広い土地が必要になるため土地の税金が、そして屋根や基礎が広くなるため建物の評価額も高くなりやすいからです。結果として、固定資産税の総額は2階建てより高くなるのが一般的です。

Q.2:そもそも固定資産税は、どのように計算されるのでしょうか?

A.2:固定資産税は、所有する「土地」と「建物」それぞれに課税され、その合計額を支払います。計算の基本は「固定資産税評価額 × 税率(標準1.4%)」です。新築住宅などでは、ここから税負担を軽くする「軽減措置」が適用されて最終的な税額が決まります。

Q.3:これから家を建てるのですが、固定資産税がいくらになるか事前に知ることはできますか?

A.3:残念ながら、正確な金額を事前に知ることはできません。固定資産税は、家が完成した後に自治体が行う調査によって評価額が決まるからです。ただし、土地の購入価格や建物の建築費を目安にして、ご自身でおおよその税額をシミュレーションすることは可能です。

Q.4:新築住宅は税金が安くなる「軽減措置」があると聞きました。どのような内容ですか?

A.4:はい、新築住宅には固定資産税を軽くする特例があります。

  • 建物:新築から3年間(長期優良住宅などは5年間)、床面積120㎡までの部分の税額が2分の1に減額されます。
  • 土地:住宅が建っている土地は、広さに応じて評価額が最大で6分の1に減額されます。

Q.5:新築の軽減措置を受けるには、何か手続きが必要ですか?

A.5:はい、原則として申告が必要です。家を建てた翌年の1月31日までに、建物がある市区町村へ「住宅用地等申告書」を提出してください。期限があるため、忘れずに手続きをしましょう。

Q.6:これから家づくりを計画します。設計段階で、固定資産税を少しでも安くする方法はありますか?

A.6:はい、設計段階で建物の評価額を抑える工夫をすることで、税金を安くできる可能性があります。

ポイントは以下のとおりです。

  • 構造:鉄骨造などより評価額が低い傾向にある木造を選ぶ。
  • 間取り:凹凸の多い複雑な形より、総2階や正方形に近いシンプルな形にする。

Q.7:固定資産税の計算に出てくる「固定資産税評価額」とは何ですか?

A.7:固定資産税を計算するもとになる価格のことで、市区町村が決定します。3年に1度見直されます。あくまで目安ですが、土地は時価の70%程度、建物はもう一度同じ家を建てた場合にかかる費用の50~60%程度が評価額となります。

更新日: / 公開日:2023.04.06