住宅ローン審査に落ちる理由は、勤続年数や年収など本人の問題だけとは限りません。購入しようとしている物件に問題があるケースも少なくないようです。

今回紹介するEさん(35歳女性)も、そんな理由から住宅ローン審査で苦戦したひとり。購入を予定していた中古マンションの土地が「保留地」といわれる、審査に通りにくい土地だったため、銀行2社の審査に落ちてしまったのです。

しかし、あきらめずに借りられそうな銀行の情報をキャッチし、審査にチャレンジしてみたところ、通ることができました。

では、どのようにして、保留地でも住宅ローンOKな銀行を探し出したのでしょう? 秘策を聞いてみました!
無料で住まいの窓口に相談する住まいの窓口とは家計から住宅購入予算を試算する

職業:学校の職員
年収:約400万円(夫は約1000万円)
家族構成:夫36歳(IT企業の営業職)

 

【住宅ローン】
審査を依頼した金融機関:3社(都市銀行2社、ネット銀行1社)
借りることができた金融機関:都市銀行
頭金:ゼロ
借入金額:4780万円
金利タイプ:変動型
返済額(月):11万円
返済年数:35年

 

【購入した住まい】
エリア:東京都板橋区→千葉県千葉市
立地:最寄り駅から徒歩5分
購入した物件:中古マンション
築年数:購入時点で築1年
間取り:3LDK・98m2
物件の名義:Eさんの夫
購入価格:4780万円
購入した時期:2015年3月

家を購入するきっかけは人それぞれですが、結婚・出産や子どもの成長といったライフステージの変化がきっかけになるケースが多いようです。

 

学校職員のEさんの場合も結婚でした。2014年12月、34歳のときに婚約。翌年4月の結婚に向けて新居を探すプロセスのなかで、マンションを買うという一大決心をしたのでした。

 

当初は買うつもりは全然なくて、都内の賃貸マンションに住もうと決めていたのです。私も夫も結婚するまで賃貸で一人暮らしだったし、新居も賃貸で広めの部屋を借りればいいかなと。

 

ところが、住宅情報サイトをチェックしていて気になったのが『家を買うなら消費税が10%に増税になる前がおすすめ』などと書かれた記事です。読んでいて、確かにそうだなと。

 

『ならば、今のうちに買っておくのもありだよね』と夫と意見が一致。私たちが賃貸の家賃として想定していたのが12万円くらい。その家賃と同じくらいの住宅ローン返済で済むのなら、買ってしまおうということになったのです

無料で住まいの窓口に相談する 家計から住宅購入予算を試算する

マンション

仕事と結婚式の準備で多忙ななか、Eさんたち2人はネットで物件情報を調べ、マンションの内覧へ出かけました。新築、中古を問わず、物件を見て回ったEさんたち。

 

都内のみならず、千葉や横浜など東京近郊の物件も見学し、気に入ったのが千葉市内の中古マンションでした。

 

中古とはいえ、建築されてまだ1年しか経過していないうえ、持ち主が住んだことがないというほぼ新築状態の物件。3LDKで98m2、最寄り駅から徒歩5分。

 

「広さも立地も好条件で、価格は5580万円。東京23区内で同様の条件のマンションとなると、価格は1億円以上にもなるでしょうからお得だと思いました。でも、私たちは5000万円以内の物件を希望していたので、いったんは見送ったのです」

 

年が明け、2015年2月、いつものように住宅情報サイトをチェックしていたら、その千葉市の中古マンションがまだ売れずに残っていて、しかも800万円もの大幅なプライスダウンをしていると知ったEさん。夫と相談し、即、購入を決断したのでした。

 

なんとも幸運に恵まれての念願のマイホーム購入。が、しかし、契約に先立って住宅ローンの相談に訪れた不動産会社で、Eさんは思わぬ事実を知らされたのです。それは、「保留地といわれる土地に建つマンションなので、住宅ローン審査に通らない可能性がある」ということでした。

 

「ビックリしたというか、『そんなの聞いてないよー!』って感じです。こんな大事なことなのに、私が不動産会社の人に『住宅ローンが下りないことってあるんですか?』と質問するまで、教えてもらえずにいたのですから…」

住宅ローン

保留地とは、市街地の区画整理事業を行なう目的で、地権者(土地の持ち主)から提供を受けた土地のこと。Eさんが購入しようとした中古マンションが建つ一帯も再開発計画が進行中で、区画整理事業による整備が行なわれている区域でした。

 

この保留地に建つ家を購入するとどんな問題があるのかというと、区画整理事業中なので土地の登記簿がなく、土地の所有権登記や抵当権の設定ができないということ。つまり、銀行にとっては担保にならないので、住宅ローンの融資をしたくないということになるのです。

 

土地の所有権登記ができるのは、区画整理事業がすべて完了し、換地処分の公告により、保留地に新しい地番が付いた後になります。Eさんが購入しようとした中古マンションの場合、換地処分の時期は12年後の設定となっていました。

 

こうして購入しようとしている中古マンションが、保留地という住宅ローン審査のうえで不利な条件を抱えた物件であることが判明。それでもEさんたちには「なんとかなるのでは?」と、淡い期待があったといいます。不動産会社を頼らず、自力で探した銀行2社へ住宅ローン審査の申し込みをしました。

 

「不動産会社から『提携銀行を紹介します』というような話もなかったし、夫がリサーチ大好き人間で、ネットで銀行の情報を集めていたんです。審査に出したのは、都市銀行A社とネット銀行B社。

 

A社を選んだのは、夫の給与振込の口座があるので、何かと便宜をはかってもらえるかなと思ったからです。B社は低金利で借りられるのが魅力でした」

 

2社とも店舗へ出向き、審査に臨みましたが、結果は玉砕。2社とも保留地であることを理由に審査に通してもらえませんでした。

 

無料で住まいの窓口に相談する 家計から住宅購入予算を試算する

ひらめき

2社のローン審査に落ち、あらためて厳しい現実を思い知らされたEさん。

 

審査に落ちたのは、2月中旬でした。時期的にあせりましたよ。4月の挙式の前には新居に引っ越したいと思っていたのに住む家がないのですから。一人暮らしをしていたマンションも、3月後半には出ることになっていました…

 

でも、マンション購入を諦めなかったEさん。そして、ある考えが浮かんできたのです。

 

「そのマンションには既に多くの人たちが住んでいます。つまり、保留地であっても住宅ローンを借りることができているのです。そこに住んでいる人たちがローンを組んでいる銀行はどこだろう? と。その銀行ならば、私たちも借りられるのではと思ったのです」

思い立ったら即、行動。Eさんは、物件を仲介してくれた不動産会社へ再度出向き、「そのマンションに住んでいる人がどの銀行からローンを借りているのか、調べてほしい」と依頼しました。不動産会社の担当者が調べてくれた結果、都市銀行C社であることがわかったのです。取り扱うのは、そのマンションがある地元の支店でした。

 

早速、C社の支店へ出向き、3社目の住宅ローン審査に臨みました。物件は夫の名義でしたが、Eさんも同席し、「私も学校職員として働いています。夫婦共稼ぎだから収入は安定しています」と、C社の人にアピールしたそうです。

 

そのマンションの住宅ローンを扱っている銀行とあって、保留地であることが問題視されることもなく、スムーズに審査に通ることができました。借りた住宅ローンは、購入価格の4780万円全額で頭金はゼロ。

 

「私の推測ですが、頭金ゼロで住宅ローンを組めた理由は、夫の勤務先はよく知られたIT企業で年収も約1000万円だったからかなと。私の年収は約400万円。夫婦での年収は1400万円になります。

 

それと、私たちは年齢も30代半ばの働き盛り世代なのも大きいような気がします。40代だったら頭金を入れないと借りられなかったと思います」と、Eさん。ちなみに返済額は月11万円で返済年数は35年、金利タイプは変動型。

無料で住まいの窓口に相談する 家計から住宅購入予算を試算する

夫名義

こうして住宅ローン審査に通り、購入したマンションで新婚生活をスタートさせることができたEさん。今後の住宅ローン返済計画については、どう考えているのでしょう。

 

「換地処分があって土地の所有権登記ができるようになったら、金利が低いネット銀行に借り換えをしたいです。借り換えができたら繰上返済をして、50歳になる前のローン完済をめざします」

 

これから家を購入したいと考えている人へのアドバイスも伺ってみました。

 

「わからないことがあればどんなことでも不動産会社の人に聞いてみるといいと思います」と、Eさん。実はこのマンションの名義を夫婦共有にせず、夫の名義にしたのは、Eさんが不動産会社の担当者に意見を求めた結果なのだそうです。

 

「当初は夫の収入だけで住宅ローンを借りられるのかどうか、不安だったんです。夫婦共有名義にしてマンションを買い、住宅ローンも夫婦それぞれの名義で借りるペアローンにするほうがいいのではと思い、不動産会社の人に聞いてみたんです。

 

そしたら、『ご購入を希望しているマンションなら、ご主人の収入だけで住宅ローンは借りられます』と言われて、すごく安心しました。また、夫の単独名義で住宅ローンを借りるケースでは、夫に万一のことがあっても団体信用生命保険でローンを完済できると、教わりました。

 

ところがペアローンを組んでしまうと、夫にもしものことがあった際、夫のローン残債は生命保険で完済されても、私が背負っているローンは払い続けないといけません。一家の大黒柱を失ったのに、私のローン負担が続いていくなんて、最悪ですよね。教えてもらえてよかったです。

 

住宅購入は人生の大きな買い物ですから、『こんなこと、質問するのは恥ずかしいかな?』なんて思わず、不動産会社の人に聞くべきです」

 

「保留地」の壁を超え、住宅ローン審査をクリアしたEさんらしく、力強く語ってくれました。

無料で住まいの窓口に相談する 家計から住宅購入予算を試算する

更新日: / 公開日:2016.11.26