空き家がもたらす損害とは?

美化面から見ても、空家は問題がある
美化面から見ても、空家は問題がある

そもそもなぜ空き家をわざわざ流通させる必要があるのでしょうか?
総務省が行なった2013年度の総住宅数は6,063万戸であり、そのうちの実に820万戸が空き家です。これは総住宅数の13.5%に相当し、この数値は2016年現在でも増え続けていると考えられます。そして、空き家の戸数が増えたことで、さまざまな問題が発生してきます。

まず、一番の問題は空き家の「管理」です。住宅はある意味で生き物と同じであり、人がそこに住むことで、定期的な掃除やメンテナンスが行なわれるからこそ、長期間安定的に維持ができます。しかし、人が住まなくなった住宅は防犯性が低くなるほか、衛生面や美化面においても近隣住民に迷惑をかけることになります。実際、各地ではこういった空き家に頭を悩ませている自治体がたくさんあります。

※出典:平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約(総務省統計局・2013年7月29)

空き家の流通は、空き家問題解決のための最重要課題

こうした空き家問題を解決するためには、空き家を本当に使いたい人に流通させる必要があります。それによって新たな所有者が空き家を管理するため、空き家戸数の増加問題は解消されるはずです。ただ、これにはもうひとつ大きな課題があります。

こんなに違う! 日本と諸外国の中古住宅の価値観

欧州では、古い家ほど価値が高い
欧州では、古い家ほど価値が高い

国土交通省の調べによると、2014年度における日本の全住宅流通量に占める既存住宅の流通割合は、14.7%でした。実はこの数字、欧米諸国と比較すると、1/6程度と極端に低い数値なのです。これは、住宅に対する考え方や「評価」が違っているからです。
※出典:既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み(国土交通省・2014年9月1日)

例えば日本の場合、木造住宅の耐用年数は22年、鉄筋コンクリートでも47年ですが、米国の場合は100年近くを耐用年数と考えています。この考えが基準にあるため、米国の不動産は既存の中古住宅でも資産価値が極端に落ちることなく、市場の流通性が高いのです。つまり、空き家を含めた日本の既存住宅の流通を阻害している一番の要因は、こうした既存住宅に対する「評価方法」にあります。

※出典:耐用年数(建物・建物附属設備)(国税庁・平成27年分よくある質問)

既存住宅の流通活性化に向けた建物評価の改善

まずは、建物の評価方法を改善することが大切
まずは、建物の評価方法を改善することが大切

日本の住宅性能は年々向上しているにも関わらず、法定耐用年数については大幅な見直しは行なわれていません。そのため、未だに木造住宅であれば築20年ほどが経過した段階で、建物自体の評価額としてはほぼ0という欧米では考えられないほど低い評価がされています。

この状況を改善するために、国道交通省は2014年に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を打ち出しました。ここでは、従来までの法定耐用年数を基準として考える原価法による単純な住宅評価ではなく、インスペクション(住宅診断)なども活用して、これまでよりも住宅個別の性能を評価額に正確に反映させるための取り組みを始めています。

具体的には2016年1月に中古住宅の売買契約時に、インスペクションの確認を不動産会社に義務付けるという内容を盛り込んだ宅建業の改正案が提出されました。この改正案が施行されれば、これまでのように中古住宅が「築年数」という指標だけで判断されるのではなく、その住宅のもつ性能を客観的に検証した上で判断できるようになるため、品質の良い住宅であれば、古くなっても流通させることが可能になるでしょう。

※出典:中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針(国土交通省・2014年3月)

建物の評価は固定資産税にも関わる

評価方法が変われば、固定資産税額も変わる
評価方法が変われば、固定資産税額も変わる

このような流れの中、今後、既存住宅の評価方法に変化が出てくると、固定資産税にも影響が出てくる可能性があります。固定資産税は固定資産税評価額に対して一定の税率をかけて算出します(固定資産税1.4% 都市計画税0.3%)。

そして、固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて自治体の担当者が新築時に建物を確認して決定し、その後は経過年数に応じて減少していく方法がとられています。既存住宅の建物評価の指針が変われば今後、固定資産税にも影響が出てくる可能性があるため覚えておきましょう。

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参考:空き家バンク