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離婚時にペアローン物件は売却できる?方法や注意点を徹底解説

新川 優香prof” class=この記事の執筆・監修者
新川 優香
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級

離婚時に、ペアローンで購入した物件を売却できるかどうかは、名義や住宅ローンの契約内容に影響を受けます。

ペアローン物件は共有名義となるため、売却には原則として双方の同意が必要です。住宅ローン残債が売却価格を上回る場合、追加の負担や金融機関との調整が必要になることもあるでしょう。

名義変更や抵当権、税金・諸費用の扱いを正しく理解しないまま進めると、離婚後も法的・経済的な問題が残るおそれもあります。

この記事では、離婚時にペアローン物件は売却できるのか、具体的な売却方法、注意点、放置した場合のリスクまでを整理して解説します。

この記事で分かること

  • 離婚時にペアローン物件は売却できる?考慮すべき問題点
  • 離婚時にペアローン物件を売却する方法
  • 離婚時にペアローン物件を売却するときの注意点
  • 離婚時にペアローン物件を共有名義のまま放置するリスク
  • 離婚時にペアローン物件を売却する以外の選択肢
  • 離婚後にペアローン物件を売却した人の体験談

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▶︎オーバーローンに注意! 住宅ローンが残っている家を売却する方法

もくじ

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ペアローンとは?

ペアローンとは、夫婦が同じ物件に対してそれぞれ住宅ローンを組むことです。1つの物件に対して2本の住宅ローンが存在する形になり、借入者はそれぞれ「主たる債務者」として金融機関と契約を結びます。

ペアローンを利用する場合、物件の所有権は借入額の割合に応じて共有名義となります。たとえば、3,000万円の物件で夫が2,000万円、妻が1,000万円を借入れした場合、所有権の持分は夫が3分の2、妻が3分の1です。

ここでは、ペアローンのメリット・デメリットについて以下の順に解説します。

ペアローンを組むメリット

ペアローンを組むメリットとして、主に以下が挙げられます。

  • 借入額を増やすことができる
  • 住宅ローン控除を夫婦それぞれが受けることができる
  • 団体信用生命保険に夫婦それぞれが加入できる

最大のメリットは、夫婦それぞれの収入をもとに借入でき、借入可能額を増やせる点です。単独でローンを組む場合よりも、希望エリアや広さ、築年数などの条件を妥協せずに物件を選べる可能性が高まります。

たとえば、夫の年収が400万円、妻の年収が300万円の場合、合計700万円の年収をベースに借入額を計算できるため、より条件の良い物件を選択できるでしょう。

また、住宅ローン控除は夫婦それぞれに適用されます。要件を満たすと一定期間、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税・住民税から控除されるため、世帯全体で見ると節税効果が期待できます。

団体信用生命保険もそれぞれが加入できるため、どちらかが万が一亡くなった場合、その人の住宅ローン残債は保険で完済されます。

ペアローンを組むデメリット

ペアローンを組むデメリットとして、主に以下が挙げられます。

  • 諸費用が通常の2倍かかる
  • 収入が減ると返済負担が大きくなる
  • 離婚時にトラブルに発展する可能性がある
  • 売却時に相手の同意が必要になる

ペアローンは借入額が大きくなりやすいため、どちらかの収入が減少すると返済負担が一気に重くなる点に注意が必要です。育児や転職、病気などにより働き方が変わった場合でも、原則としてローン契約は継続されます。

また、離婚することになった場合、ペアローンで購入した物件は売却や名義変更を行う際に必ず相手の同意が必要です。感情的な対立がある状況では話し合いが難航しやすく、手続きが困難になるケースも少なくありません。

離婚時にペアローン物件は売却できる?考慮すべき問題点

離婚時にペアローン物件を売却することは可能ですが、原則として夫婦双方の合意が必要になります。離婚協議書や調停調書などで物件の処分方法が明確に定められている場合は、その内容に沿って手続きを進めます。

しかし、実務上は離婚に至るまでの感情的な対立や金銭面の利害が絡むことで、売却の合意形成が難しくなるケースも少なくありません。

特に、ペアローンの場合は名義や債務が分かれているため、通常の単独ローンよりも売却時に考慮すべき問題点が多い点に注意が必要です。

ここでは、離婚時の売却に影響するペアローンの問題点を紹介します。

  • 共有名義のままだと離婚後も関係性が続く
  • 相続の場合に権利関係が複雑化する
  • オーバーローンの場合はより売却が困難に

共有名義のままだと離婚後も関係性が続く

ペアローンで購入した物件は、借入額に応じて夫婦の共有名義となるのが一般的です。離婚後も共有名義のまま物件を保有している限り、元配偶者との法律上の関係は完全に切れません。

売却を進める場合でも価格設定や売却時期、不動産会社との契約などについて双方の意思確認が必要になります。

また、どちらか一方が連絡に応じない場合、売却手続きそのものが止まってしまう可能性もあります。

離婚後に「相手とはもう関わりたくない」と思っていても、共有名義である以上、重要な局面ごとに相手との調整が必要になる点は精神的な負担になりやすい問題といえるでしょう。

相続の場合に権利関係が複雑化する

ペアローン物件を共有名義のまま離婚後も保有していると、相続が発生した際に権利関係がさらに複雑化するおそれがあります。

たとえば、離婚後に夫または妻が亡くなった場合、その人が持っていた共有持分は相続人に引き継がれます。

仮に亡くなった側が再婚しており、新しい配偶者や子どもがいる場合、その持分は再婚相手や子どもが相続することになります。その結果、元配偶者は面識も関係性もない第三者と共有状態になるケースも考えられるでしょう。

第三者と共有状態になると、家の売却や賃貸、管理方法を決める際に相続人全員の同意が必要となり、話し合いが難航する可能性が高くなります。

離婚時には問題にならなくても、相続をきっかけにトラブルが顕在化するリスクがある点には注意が必要です。

オーバーローンの場合はより売却が困難に

ペアローン物件の売却を検討する際、住宅ローン残高が売却価格を上回るオーバーローンの状態にあると、判断はより難しくなります。

売却自体は可能であっても、売却代金だけではローンを完済できず、不足分を自己資金で補う必要が生じるためです。

この不足分をどちらが、どの割合で負担するのかについて合意できなければ、売却に向けた合意形成は難しくなります。また、金融機関との調整が必要になるケースもあり、単独ローンに比べて手続きのハードルは高くなります。

オーバーローンかどうかは、離婚時の売却可否や選択肢を大きく左右する重要なポイントといえるでしょう。

離婚時にペアローン物件を売却する方法

離婚時にペアローン物件を売却する方法は、住宅ローンの残債状況によって以下の3つのパターンに分けられます。

  • アンダーローンの場合の売却方法
  • オーバーローンの場合の売却方法
  • 住宅ローンの返済が困難な場合の売却方法(任意売却)

アンダーローンの場合の売却方法

アンダーローンとは、物件の売却価格が住宅ローン残債を上回る状態を指します。売却によって得られる資金でローンを完済できるため、売却手続きは比較的スムーズに進められるでしょう。

まずは不動産会社に物件の査定を依頼して、売り出し価格を決めます。複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な相場を把握できるでしょう。

買主が決まったあとは売買契約を締結し、決済日に売却代金で夫婦それぞれの住宅ローンを完済します。その後、抵当権を抹消し、買主へ所有権を移転する流れになります。

仲介手数料や登記費用など、売却にかかる諸費用については事前に元配偶者と負担方法を決めておかなければなりません。売却益が発生する場合、金額によっては譲渡所得税が課税される可能性があるため、税理士などの専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

オーバーローンの場合の売却方法

オーバーローンとは、物件の売却価格が住宅ローンの残債を下回る状態を指します。

ペアローンかつオーバーローンの場合、売却に進む前に不足するローン残債をどのように処理するかを明確にしておくことが重要です。

特に重要なのは不足分をどちらが、どの割合で負担するのかを決め、その内容を離婚協議書や調停調書に明記しておくことです。曖昧にしたまま離婚すると、離婚後もローン問題が長期化するおそれがあります。

離婚時にオーバーローン状態の家を処分する場合、主な選択肢は次の3つです。

  • 夫婦のどちらかが家と住宅ローン残債を引き継ぐ
  • 不足分を自己資金で補い、家を売却して清算する
  • 任意売却によってできるだけ高く売却する

任意売却については、後述します。

住宅ローンの返済が困難な場合の売却方法(任意売却)

住宅ローンの返済が難しく、通常の売却では対応できない場合の選択肢として、任意売却があります。

任意売却とは、金融機関の承諾を得て、住宅ローンの残債がある状態で物件を売却する手続きのことです。

ペアローンの場合でも任意売却は可能ですが、夫婦それぞれがローン契約者であるため、双方の同意と金融機関の承諾が不可欠となります。手続きには通常の売却以上に調整が必要となる点を理解しておく必要があります。

任意売却後も住宅ローン残債は残るため、金融機関と返済方法について協議を行います。月々の返済額を減らしてもらったり、返済期間を延ばしたりできる場合もありますが、信用情報に影響が出る点には注意が必要です。

任意売却には専門的な知識が必要になるため、専門の不動産会社や弁護士に依頼することをおすすめします。売却価格は市場価格より低くなる傾向にありますが、競売と比べると高値で売却できる可能性があります。

【あわせて読みたい】
▶︎任意売却とは? 基本的な流れと注意すべきポイント

離婚時にペアローン物件を売却するときの注意点

離婚時にペアローン物件を売却する場合、売却そのものが可能かどうかだけでなく、名義や費用に関する制約を正しく理解しておく必要があります。

ここでは、ペアローン特有の注意点のなかでも、特にトラブルになりやすいポイントを解説します。

  • 住宅ローンを完済しないと名義変更ができない
  • 自分の持分のみを売却することはできない
  • 売却にかかる諸費用が2倍になる

住宅ローンを完済しないと名義変更ができない

住宅ローンは、契約時に審査を受けた人が完済することを前提に組まれます。そのため、離婚を理由に「名義を片方に移したい」と考えた場合、不動産の所有権は移せても住宅ローンの名義を途中で変更することは原則できません。

離婚公正証書や協議書を作成しても、金融機関の同意がなければ名義変更は難しいケースが一般的です。

どうしても名義を1本化したい場合は、別の金融機関などから新たに資金を借り入れ、そのお金で相手方の住宅ローン残債を一括返済(借り換え)する方法があります。

ただし、新たに名義人となる人が単独で審査を受け、十分な収入や返済能力があると判断される必要があります。

結果として審査に落ちてしまい、離婚後も夫婦双方がローン契約に縛られ続けるケースも想定されます。

自分の持分のみを売却することはできない

ペアローンで購入した物件の場合、離婚に伴って自分の共有持分だけを売却することは現実的には極めて困難といえます。

なぜなら、夫婦それぞれの住宅ローンに対応する抵当権が各持分だけでなく物件全体に設定されているからです。

たとえば夫婦が半々で借り入れを行い、それぞれに抵当権が設定されているケースで考えてみましょう。夫が自分のローンを完済し、抵当権を抹消できたとしても、妻の抵当権は依然として物件全体に残ります。

この状態では、万が一妻が返済を滞納した場合、物件全体が競売にかけられるリスクが残るため、「夫の持分のみを購入したい」と考える第三者はほとんどいないでしょう。

結果として、すべての抵当権が抹消されていない限り、どちらか一方の共有持分だけを売却することは実務上ほぼ不可能といえます。

共有状態やローン債務から確実に離脱したい場合は、原則として夫婦双方の合意のもとで物件全体を売却し、住宅ローンを完済する方法が現実的な選択肢となります。

売却にかかる諸費用が2倍になる

ペアローンの場合、2本の住宅ローンを組むため、売買契約時に以下のような費用が2人分かかります。

  • 融資事務手数料
  • 保証料
  • 印紙税
  • 司法書士への報酬など

売却後の手取り額を正確に把握するためにも、事前に諸費用を含めたシミュレーションを行うことが重要です。

離婚時にペアローン物件を共有名義のまま放置するリスク

離婚時にペアローン物件を共有名義のまま放置すると、以下のようなリスクがあります。

  • 住宅ローンの契約違反となる場合がある
  • 滞納・差し押さえになるおそれがある
  • 管理費や税金などの維持費がかかる
  • 相続手続きが複雑になる
  • 共有物分割請求訴訟に発展するおそれがある

住宅ローンの契約違反となる場合がある

住宅ローンは原則として、契約者本人が居住することを条件に融資されます。

ペアローンの場合は夫婦それぞれが契約者であり、双方が居住していることを前提に審査が行われているケースが一般的です。そのため、離婚後にどちらか一方が金融機関へ無断で転居したり、第三者に貸し出したりすると、契約違反と判断される可能性があります。

また、金融機関の了承を得ずに名義変更を行うことも、契約違反とみなされるおそれがあります。

違反が発覚した場合は、残債の一括返済を求められるリスクがあるため、離婚が決まった段階で金融機関へ相談することが重要です。

滞納・差し押さえになるおそれがある

離婚後は生活費の増加や収入減少などにより、住宅ローンの返済が滞るケースも少なくありません。ペアローンでは、夫婦それぞれのローンに抵当権が設定されており、その効力は物件全体に及びます。

そのため、どちらか一方が滞納すれば、真面目に返済している人がいても不動産全体が差し押さえや競売の対象となる可能性があります。また連帯保証の関係により、一方が滞納すれば他方にも請求が届きます。

離婚後に疎遠になっていても、金融機関からの督促や法的手続きによって連絡を取らざるを得ない状況は、精神的にも大きな負担となる場合があると考えられます。

管理費や税金などの維持費がかかる

物件を所有している限り、住んでいなくても管理費や税金などの維持費を支払う必要があります。特に、固定資産税や都市計画税は毎年課税されます。

マンションの場合は、管理費や修繕積立金も毎月支払わなければなりません。一戸建て住宅の場合も、定期的な点検や修繕が必要です。

火災保険や地震保険についても、継続的に保険料の支払いが必要です。保険を解約すれば、火災や自然災害によって建物が損害を受けても、補償を受けられなくなります。

ペアローン物件を共有名義のまま放置すると、維持費が継続してかかるため、費用負担についても事前に取り決めておく必要があります。

相続手続きが複雑になる

共有名義のまま時間が経過し、どちらか一方が亡くなった場合、相続手続きが複雑になります。

もし、亡くなった方が再婚して子どもがいる場合、その持分は元配偶者の遺族が相続します。物件の売却やリフォームなどは、共有名義全員の同意が必要になり、合意を得ることはより困難になるでしょう。

なお、団体信用生命保険に加入している場合、亡くなった人の住宅ローン残債は0円になります。しかし、もう一方の残債は0円にはならず、支払い続ける必要があります。

共有物分割請求訴訟に発展するおそれがある

共有名義の不動産について、共有者間で処分方法について合意が得られない場合、最終的に共有物分割請求訴訟に発展する可能性があります。

共有物分割請求訴訟とは、共有物を分割するために、裁判所を通じて共有状態の解消を求める訴訟のことです。

裁判所の判断には強制力があり、共有名義の解消が期待できるでしょう。しかし、訴訟には時間と費用がかかるため、協議がまとまらなかった際の最終手段として検討しましょう。

※参考:裁判による共有物分割|大阪市

離婚時にペアローン物件を売却する以外の選択肢

離婚時にペアローン物件を売却する以外の選択肢として、以下が挙げられます。

  • 共有名義のまま妻・夫のどちらかが住み続ける
  • 賃貸物件として他人に貸し出す
  • 住宅ローンを1本化する

ただし、ペアローンは名義・債務・抵当権が複雑に絡むため、どの方法を選ぶ場合でも金融機関の承諾や将来的なリスクを十分に理解したうえで判断することが重要です。

共有名義のまま妻・夫のどちらかが住み続ける

離婚後も共有名義のまま、妻もしくは夫どちらかが住み続けるという選択肢もあります。子どもの学区を変えたくない場合や、住み慣れた環境で暮らしたい場合などに検討されることが多い方法です。

住宅ローンの返済方法として、引き続き2人で分担して支払うか、住み続ける側が実質的に全額を負担する形が考えられます。子どもがいる家庭では、家を出た側の支払いが養育費の一部として扱われるケースも珍しくありません。

ただし、ペアローンでは夫婦が互いに連帯保証・連帯債務の関係にあるため、どちらか一方が返済を滞納すると、もう一方が2人分の返済義務を負うリスクがあります。

将来的に売却や名義変更を検討する際も再び元配偶者の同意が必要となるため、一時的な解決策として選ぶ場合、以下のような将来の方針を文書で明確にしておくことが重要です。

  • 誰が居住するか
  • 返済の分担方法
  • 将来の売却や名義変更の方針
  • 管理費や修繕費の負担割合 など

また、住宅ローンは契約者本人の居住を前提としており、離婚により一方が転居すると契約違反と判断されるおそれもあります。金融機関に無断でこの状態を続けた場合、残債の一括返済を求められるリスクがある点にも注意が必要です。

賃貸物件として他人に貸し出す

物件を第三者に賃貸して、家賃収入を得る方法もあります。

家賃収入が住宅ローンの返済よりも上回れば、収支を黒字にすることも可能です。立地条件が良く、賃貸需要の高いエリアであれば、安定した収入を期待できるでしょう。

ただし、住宅ローン控除は適用されなくなり、空室リスクなどもあります。入居者が見つからない期間は家賃収入がゼロになるため、住宅ローンの返済が重い負担となります。

また、入居者の家賃滞納や設備の修繕対応など、賃貸経営には継続的な管理業務が必要です。これらの業務は管理会社に委託できますが、管理費用がかかるため収益性は低くなるでしょう。

なお、住宅ローンを組んだ物件を賃貸に出すには、金融機関の承諾が必要です。多くの金融機関では、住宅ローンから事業用ローンへの切替えを求められ、金利が上昇する可能性があります。

賃貸物件として他人に貸し出すには、2人のうちいずれかの単独名義で事業用ローンへの組換えを検討する必要があります。

住宅ローンを1本化する

離婚後はペアローンを解消して、単独名義で1本の住宅ローンに借り換える方法もあります。共有名義を解消して単独名義にできるため、将来的なトラブルを回避できるでしょう。

住宅ローンの1本化には、主に債務引受型と借り換え型の2種類があります。債務引受型は、夫婦のどちらかが相手の住宅ローン残債を引き取り、すべてを自分で返済する方法です。

一方、借り換え型は別の金融機関で新たに住宅ローンを組み直し、そのタイミングで単独名義に変更する方法を指します。

いずれの場合も、単独で住宅ローンを返済できる十分な収入・信用力があるかどうかが判断ポイントとなります。収入水準や勤続年数によっては単独では返済が難しいと判断され、審査に落ちてしまうケースも少なくありません。

また、金融機関によってはそもそもペアローンの一本化や単独名義への変更に対応していない場合もあります。

住宅ローンの1本化は簡単にできるものではなく、事前に金融機関へ確認し、現実的に可能かどうかを見極めたうえで検討することが重要といえるでしょう。

離婚後にペアローン物件を売却した人の体験談

ここでは、ペアローンで購入したマンションを売却した人の体験談を紹介します。

前述したとおり、ペアローン物件は双方の合意がないと売却は困難です。この点を理解したうえで、実際の事例を見ていきましょう。

【体験談】価格よりもスピードを優先せざるを得なかったペアローン売却

駅直結で資産性の高いタワーマンションを、将来の売却も見据えてペアローンで購入しました。

しかし、離婚をきっかけに売却を検討することになり、ペアローンでは双方の合意がなければ売却は難しいという現実に直面します。

不動産会社の担当者からは「売り出し時期をずらせば、さらに高く売れる可能性がある」と提案されていましたが、元配偶者が早期売却を希望したため、最終的には価格よりもスピードを優先して売却を判断しました。

売却自体は比較的短期間で成立し、住宅ローンも完済できましたが、離婚に伴う手続きや書類の準備には想像以上に手間がかかり、精神的な負担も大きかったです。

もし単独名義で住宅ローンを組んでいれば、離婚後も売却せず、住み続けていたと思います。ペアローンは、離婚したときに「自分の売りたいタイミングで売れない」リスクがあると実感しました。

参照:「価格よりもスピード優先」「まさかの戸籍消失」…からし蓮根・伊織さんの「タワマン売却記」

この体験談から分かるように、ペアローンには離婚時に売却判断の主導権を持ちにくいデメリットがあります。

将来のライフイベントによっては、価格やタイミングについて妥協せざるを得ないケースもあるため、ローンを組む段階でこうしたリスクも想定しておくことが重要です。

離婚後にペアローン物件を売却するときのよくある質問

ここでは、離婚後にペアローン物件を売却するときのよくある質問を3つ紹介します。

  • ペアローンを組んでいる夫婦の離婚率は?
  • ペアローンを組んでいる夫婦のどちらかが自己破産したらどうなる?
  • ペアローンで購入した家の売却益はどう配分される?

ペアローンを組んでいる夫婦の離婚率は?

ペアローンを組んでいる夫婦の離婚率について、公的な統計データは存在しませんが、一般的な離婚率と大きな差はないと考えられています。

厚生労働省のデータによると、令和5年の離婚件数は18万5,895組で、前年から2,081組増加しています。婚姻件数に対する離婚件数は約38.3%です。

ペアローンを組む夫婦は、共働きで一定の収入があることが多く、経済的な理由による離婚は相対的に少ないと考えられます。

しかし、高額な住宅を購入することで住宅ローンの返済負担が長期的なプレッシャーとなり、生活や夫婦関係に影響を及ぼす可能性も否定できません。

ペアローンを組む際は、離婚のリスクについても事前に検討しておくと良いでしょう。

※参考:令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

ペアローンを組んでいる夫婦のどちらかが自己破産したらどうなる?

ペアローンを組んでいる夫婦の一方が自己破産した場合、もう一方に返済義務が発生します。

夫婦どちらかが自己破産すると、金融機関はもう一方に一括返済を求めるでしょう。もし、一括返済する資金がなければ、どちらも自己破産となるリスクがあります。

夫婦どちらかが自己破産すると、相手にも迷惑がかかるため、無理のない返済計画や貯蓄を確保しておくことが非常に重要です。

ペアローンで購入した家の売却益はどう配分される?

ペアローンで購入した家の売却益は、基本的には所有権の持分割合に応じて配分されます。

たとえば、持分として夫が2分の1、妻が2分の1であれば、売却益も基本的に半分ずつ分ける形になります。

ただし、当事者間で協議して配分方法を変更することも可能です。その際、持分割合を大きく超える金額を一方に渡すと贈与と見なされる可能性もあるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

離婚後にペアローン物件を売却するときは不動産会社に相談しよう

離婚後にペアローン物件を売却するには、住宅ローン残債の確認や金融機関との調整など、通常の不動産売却よりも手続きが複雑になりやすい点に注意が必要です。

状況によってはオーバーローンや任意売却といった、専門的な判断が求められるケースもあるため、実績のある不動産会社に早めに相談することをおすすめします。

また、売却条件を少しでも有利に進めるには、複数社の査定を比較し、対応力や提案内容を見極めることが欠かせません。

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初回公開日:2025年8月14日

記事執筆・監修

新川 優香(あらかわ ゆうか)

大学卒業後、不動産仲介業務に従事し売買を経験。現在は不動産賃貸の事務職に従事。不動産売買仲介から賃貸仲介、物件管理に関わる執筆経験もあり。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級の資格を保有。