中古マンションを購入するときに、まず心配なのが耐震性ですね。
築年での見分け方、さらに建物の形状やメンテナンス状態での見分け方について解説しましょう。
1981年の「新耐震基準」が分かれ目
建築基準法で定めている耐震性についての基準を「耐震基準」といいますが、これまでに何回か改正されています。
中でも現在「新耐震基準」といわれ、耐震性を判断する重要な指針になっているのが1981年の基準です。
「新耐震基準」は大地震でも倒壊しないのが目的
建築基準法は1971年と1981年に「耐震基準」に関して大きく改正されました。
1971年の改正では、「震度5程度までの中地震で倒壊などの被害を受けない」ことを目的にしていたのに対し、1981年の「新耐震基準」では、「震度5程度では建物が損傷しない、震度6強から震度7程度の大地震で倒壊などの大きな被害を受けない」と変わりました。
ちなみに震度は気象庁が「計測震度計」によって測定しているもので、「震度7」が最大です。
「新耐震基準」の強さは過去の大地震で証明されている
阪神・淡路大震災のときに建物にどういう被害があったかを建築年別に調べた報告書があります。
それによると1981年以前の建築物は中・小破および倒壊を含む大破以上が7割近くを占めていたのに対して、1982年以降の建築物には、中・小波以上の被害は3割に満たなかったのです。7割以上が軽微・無被害ですみました。
「新耐震基準」のマンションは建築確認申請の時点で見分ける
「新耐震基準」が施行されたのは1981年6月1日。
つまりこの日以降に建築確認申請が受理されている建物が新耐震基準に適合しているマンションということになります。「建築確認申請済証」でそれを確認することができます。
建築確認が受理された日を確認できない場合は、マンションの工期を考慮して1983年以降なら新耐震基準で建てられていると思ってよいでしょう。
ちなみにフラット35の融資を受けられる技術基準では建築確認日が不明な場合は、「新築年月日が1983年4月1日以降であること」とされています。
「新耐震基準」に適合していてもピロティ形式の建物は要注意
ピロティというのは、1階の多くが駐車場になっているような、壁が少なく柱だけで支えている形式です。
壁で支えていないため弱くなることが、先の阪神・淡路大震災の調査でもはっきりしました。
この逆のケースとしては「新耐震基準」に適合していなくても、中低層の壁式構造のマンションは、構造を支える壁が多いため、被害が少なかったという結果でした。
ピロティは駐車場だけでなく、例えば1階が柱の少ない商店になっているケースなどにも同じことがいえます。
また、そのほか気をつけたいマンションとしては、液状化地域など地盤が不安定なもの、建物形状がシンプルなハコ型ではなく、極端に上の階がセットバックしていたり、上から見た形が不整形だったりする場合です。
日常の管理や大規模修繕も大切
きちんとメンテナンスされたマンションとそうでないマンションでは、長い間に大きな差がついてしまいます。
例えばコンクリートの亀裂を放っておくと、そこから雨が浸入し、内部の鉄筋を錆びさせてしまいます。鉄筋が錆びると強度が下がり、ひいてはコンクリートももろくなってしまいます。
日常の管理や大規模修繕時に亀裂をきちんと補修しなければなりません。
メンテナンスの行き届いていないマンションは耐震性だけでなく耐久性の面でも不安があるといえるでしょう。

