毎日家庭で飲む水、どのように選んでいますか?
私たち人間の体は、なんと約60%が水でできています。体の水分が失われると、脱水症状や熱中症など健康に大きな影響を及ぼします。健やかに生きていくために、水は毎日の生活に欠かせない大事な存在です。
「飲み水」と一口にいっても、水道水や浄水器、ウォーターサーバー、市販のミネラルウォーターなど、最近はさまざまな選択肢が増えています。それぞれにメリット、デメリットがあるので、この記事では、自分のライフスタイルにぴったりな水がわかるよう、さまざまな飲み水の特徴を紹介します。ぜひ比較、検討してみてくださいね。
浄水器のメリット・デメリット
広く一般家庭に普及する「浄水器」
日本の水道水は世界的に見ても高い品質水準で管理されており、安全性が確保されているため、水道の水を家庭でそのまま飲むことができます。 ただ、水道水を消毒するための塩素による味やにおい、水道管の劣化による不純物が気になる場合は、浄水器を付けることが選択肢の一つになります。
浄水器は、活性炭フィルターや中空糸膜などの技術により、水道に含まれる塩素や不純物を取り除き、安全でおいしい飲料水を飲めるようにするものです。
日本では、1960年代の工業排水問題から徐々に浄水器の市場が広まり、1990年代以降は健康志向の高まりに応じて需要が伸び続けました。2020年代には環境配慮やペットボトル削減の動きから、より効果的でエコな浄水器の人気が広まっています。
浄水器のメリット
家庭用の浄水器のメリットについてまとめます。
1. 水質の安全性
浄水器は水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタン類、その他の不純物など、体によくないとされる物質をしっかり除去してくれます。蛇口をひねるだけで、そのまま安心して飲むことができる利便性の高さが特徴です。
2. 手軽に飲み水や料理のおいしさアップ
浄水器の水は、水道水に比べて味やにおいがよくなります。安全性を保つ塩素が入ることで、水道水はカルキ臭がしたり、ビタミンを分解してしまう働きを持つからです。水の本来のおいしさを感じられる浄水を飲み物や料理に使えば、いつもよりおいしく感じられるでしょう。
実際に味覚センサーを開発した味博士の鈴木隆一先生によれば、飲み物や料理に浄水を使うことで旨みや甘みが増すといいます。蛇口をひねればすぐに水が使えますし、カートリッジの交換もシンプルで、誰でも簡単に行うことができます。
3. コストパフォーマンスが高い
浄水器は、定期的なカートリッジ交換が必要なためカートリッジ代はかかりますが、長い目で見れば、市販のペットボトルやウォーターサーバーの水を買うよりお得になるケースが多いです。 家庭の飲み水についての月額費用を調べた以下の調査では、「浄水器」の費用が最も安いという結果になりました。
4. プラスチックごみの削減
日常的に浄水器を使うことで、使い捨てペットボトルの使用が減り、プラスチックごみも少なくなるでしょう。さらに、製造や運搬の過程で生じる環境負荷も軽減されます。
浄水器のデメリット
一方で浄水器には、いくつかのデメリットや使用上の注意点もあります。
1. カートリッジの交換が必要
浄水器を使用する際、カートリッジは定期的に交換する必要があります。使用水量によって、2~4ヶ月程度での交換になります。交換は簡単に行えますが、交換のタイミングを間違えると、浄水器の性能が低下し、逆に水質が悪化する可能性があります。
2. お湯は使えない
浄水フィルターを通せるのは水のみなので、注意が必要です。お湯を使いたい場合は、浄水の水を沸かす必要があります。
3. 性能をよく確認する
浄水器は、カートリッジの性能によって、特定の化学物質や微生物を除去できない場合があります。メーカーや商品により差があるので、希望の浄水カートリッジがどのような不純物に有効かを事前に確認することが大切です。
また、水道水に含まれる不純物が多い場合、フィルター部分が早期に目詰まりを起こすことがあります。これにより、水の流量が減少し、浄水能力が低下することがあります。
4. 浄水を長時間放置しない
活性炭により塩素が取り除かれるので、コップに入れてから長時間放置すると雑菌が繁殖する危険性があります。同じ理由で、長時間浄水器を使わない場合も注意が必要です。久しぶりに使う際は、数秒間ほど捨て水をすることが必要です。
以上の点に注意して、浄水器を使用の際には、適切なメンテナンスと正しい使用法を心がけましょう。
ペットボトルの水のメリット・デメリット
持ち運び用としても重宝する「ペットボトルの水」
ペットボトルの水は、プラスチック容器に入った飲料水で、天然水やナチュラルミネラルウォーターなどの種類があります。スーパーやコンビニのほか、ECサイトでも手軽に購入でき、家庭だけでなく持ち運び用としても使いやすいです。
日本では、1980年代に輸入のボトルウォーターが登場し、1990年代には海外ブランドが人気を集め、国内産ミネラルウォーターも販売が開始されました。
2000年代以降は健康志向の高まりで市場が拡大し、コンビニや自動販売機でも手軽に購入できるようになりました。現在では、高級ブランドや産地にこだわった天然水など商品も多様化し、またエコ仕様のペットボトルが使われた商品も増えています。
ペットボトルの水のメリット
市販のペットボトルの水を買うメリットをまとめます。
1. 味や品質の安心感
各飲料水メーカーが販売する市販のペットボトルの水は、味や品質が均一で安定しています。賞味期限も長いものが多く、いつでも安心しておいしく飲むことができます。
2. どこでも買える・持ち運べる利便性
500ml、1,000ml、2,000mlなど、用途に合わせてさまざまなボトルのサイズがあります。コンビニや自動販売機、スーパー、インターネットで手軽に買えるので、すぐに飲み水がほしいときにも便利です。
3. ミネラル成分が豊富
ブランドによりますが、ペットボトルのミネラルウォーターには、カルシウムやナトリウム、カリウムなどのミネラル成分が豊富に含まれています。健康志向の高まりとともに、特定のミネラルを豊富に含む水が好まれるようにもなっています。
4.備蓄が可能
ペットボトルの大きなメリットですが、栓を開封しなければそのまま長期保存できるので、ケースで買っておけばいざというときに災害時の備えとしても役立ちます。防災・備蓄用として5年間など長期保存に向いた商品もあります。
ペットボトルの水のデメリット
続いて、ペットボトルの水のデメリットや注意点を見ていきましょう。
1. プラスチックごみが増える
ペットボトルの水を毎日飲むとなると、プラスチックボトルの廃棄やリサイクルが行き届かない場合、どうしても環境に負荷をかけることにつながります。また、ペットボトルの生産と輸送には多くのエネルギーが必要です。家庭に届くまでの過程で二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されています。
2. コストがかかる
ペットボトルの水は、水道水をそのまま飲む場合に比べて当然コストがかかります。ボトルの大きさや購入方法にもよりますが、家庭で毎日消費するとなると、費用は膨らみやすいでしょう。
3. 置き場所が必要
ペットボトルの水を大量に購入すると、自宅内に保存スペースが必要になります。また、インターネット通販の場合は軽減されますが、重いペットボトルをまとめて運ぶ手間も発生するでしょう。
4. 長期保存時は水質に注意
長期間保存されたペットボトルの水には、プラスチックから健康に影響を及ぼす恐れのある化学物質がしみ出すことがあります。ペットボトルは最近の繁殖や劣化が起こりにくい適切な場所で保管するようにしましょう。
ウォーターサーバーのメリット・デメリット
近年人気が高まる家庭用の「ウォーターサーバー」
日本では、1990年代後半にオフィスなどで使用が始まり、2000年代から一般家庭にも普及しました。特に2011年の東日本大震災後に需要が急増し、デザインや機能がさらに多様化して、現在ではおしゃれで省エネなモデルも登場しています。宅配型と浄水型があり、若い世代を中心に多くの家庭で広がっています。
ウォーターサーバーのメリット
家庭用ウォーターサーバーのメリットはどのようなものでしょうか。
1. 冷水も温水もどちらも手軽に
ウォーターサーバーの多くは定期配送のタイプです。注文や設置が簡単で、浄水器や市販の水と異なり、冷たい水も温かいお湯をいつでもすぐに使えます。重い水を買いに行く必要もなく、忙しい日常ではありがたい手軽さです。
2. 品質が安定している
ウォーターサーバーの水は、各メーカーの厳しい品質処理・チェックをクリアしています。適切な使用環境や必要なメンテナンスを守れば、水質が一定に保たれ、安心してそのまま飲むことができます。
3. プラスチックごみを減らせる
使い捨てペットボトルと比べ、ウォーターサーバーを使うことでプラスチックごみの削減につながります。メーカーによってはボトルをリサイクルすることも可能です。毎日ペットボトルを消費するよりは、環境にもやさしい選択といえます。
4. 停電時も利用できる
ウォーターサーバーの中には、停電時にも問題なく水を出せるレバー式・コック式のタイプと、電気を使用するため水を出せないことが多いボタン式タイプがあります。水が出るタイプであれば、災害時の飲用水や生活用水の備えになります。
ウォーターサーバーのデメリット
ウォーターサーバーのデメリットは以下のようなものがあります。
1. コストがかかる
初期費用等は無料の場合でも、月々のサーバーレンタル料や水の購入費用がかかります。サーバーやボトルの種類によってはさらに費用がかかることもあり、月額の費用はそれなりにかかります。
2. スペースが必要
一般的な床置き型のウォーターサーバーを設置する場合、本体や水ボトルの置き場所を確保する必要があります。横幅25~40cm、奥行き35~45cm程度が多いでしょう。コンパクトな設計のキッチンでは、置き場所に困るかもしれません。
3. 定期的なメンテナンスが必要
水の鮮度を保つために、サーバーの清掃や水の交換を定期的に行う必要があり、やや手間がかかります。
4. 停電時は水質に注意
停電時にも水を飲める機種はありますが、停電で冷却がストップした場合は注意が必要です。雑菌が繁殖する可能性があるので、早めに飲み切るか、生活用水に使うようにしましょう。
浄水器、市販の水、ウォーターサーバー、月額の目安は?
浄水器の水、市販のペットボトルの水、ウォーターサーバーの水、それぞれの月額のコストを見てみましょう。※メーカーや商品により月額設定は異なります。目安としてお考えください。
仮に一日に1.5L、月に45Lの飲み水を使用するとして、浄水器の水、市販のペットボトルの水、ウォーターサーバーの水のコストを比較します。
浄水器の水
・イニシャルコスト
浄水器一体型水栓の本体価格と設置費は、一般的に約3万~6万円程度
・ランニングコスト
標準的なカートリッジ費用、水道代を含み、1L
あたり3~5円
3~5円 /L × 45L = 135~225円/月 程度
※ただし浄水器は1,200Lの使用でカートリッジの交換が必要となるため、飲み水以外でも浄水を使うと仮定し、4ヶ月での交換の場合は、以下のとおりとなる。
・ランニングコスト
カートリッジ費用:4,000円~6,000円程度
4,000円~6,000円 ÷ 4ヶ月 =1,000~1,500円 / 月程度
ペットボトルの水
・イニシャルコスト
基本的にイニシャルコストは発生なし
・ランニングコスト
2Lのボトルを買ったとして、1Lあたりの単価は60~100円
60~100円 × 45L = 2,700~4,500 / 月 程度
ウォーターサーバーの水
・イニシャルコスト
ウォーターサーバーの初期費用は、無料~1,000円程度
・ランニングコスト
レンタル代、本来ボトル代などを含め、1Lあたりの単価は100~200円
100~200円 × 45L=4,500円~9,000円程度 / 月
※加えて電気代が月数百円程度
安全性とコスト、手間のバランスから選ぼう
飲み水として一日に1.5L、月に45L使用する場合、コストの比較をまとめると、以下のようになります。
・浄水器の水:3万~6万円(イニシャル) + 1,000~1,500円 / 月(ランニング)
・ペットボトルの水:0円(イニシャル) + 2,700~4,500円 / 月(ランニング)
・ウォーターサーバーの水: 0~1,000円(イニシャル) + 4,500円~9,000円 / 月( ランニング)
月々のコストや日常の手間、水質への安心感、おいしさなど、さまざまな要素を比較し、家族のニーズに最も合う水を選びましょう。
比較的安価で、飲み水だけでなく料理にも安全でおいしい水をたっぷり使いたいなら浄水器、初期費用をかけずにすぐに利用したいならペットボトルの水、利便性を重視するならウォーターサーバーが適しているかもしれません。
ちなみに浄水器は住宅設備の一種です。賃貸物件に付いていれば、イニシャルコストが一切かからずに使うことができます。月々のコストで比べれば、最もお得な浄水器付きの賃貸物件を探してみませんか。
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