少子高齢化が進む日本では、一人暮らしの高齢者が増えています。高齢者のなかには、体力の衰えに不安を抱えながら生活をしている人も少なくありません。

また、一人暮らしをしている高齢者の家族からすると、「いつまで一人で生活できるのか」と不安に感じることもあるでしょう。

ここでは、高齢者が安心して一人暮らしをするために知っておきたいサービスや支援について解説します。

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日本の高齢化率は上昇傾向にあり、総務省の統計によると2021年時点、65歳以上の高齢者は3,640万人で、日本の総人口の29.1%を占めます。

 

日本人の高齢化は今後さらに進むと予想され、このまま高齢化が続くと2036年には3人に1人が高齢者になると予測されています。

 

では、日本の高齢者の一人暮らしは、どれくらい増えているのでしょうか。ここでは総務省や内閣府のデータを基に、高齢者の一人暮らしが増えている理由について見ていきます。

 

一人暮らしの高齢者は男女ともに増加傾向にあり、2020年時点では男性約231万人、女性約441万人でしたが、2040年には男性約356万人、女性約540万人になると予測されています。

 

それではなぜ、高齢者の一人暮らしが増えているのでしょうか。高齢者の一人暮らしが増加している要因としては、以下のようなことが考えられます。

平均寿命の延伸

 

高齢化が進むひとつの要因として、平均寿命の延伸が挙げられます。戦後の日本と比べると、生活環境、食生活、医療技術は大きく進歩しました。

 

そのため1950年以降、平均寿命が延びたことにより高齢者の人口は増え、一人暮らしをしている高齢者の数も増え続けていると考えられます。

経済的な余裕がある

 

内閣府の調査によると、65歳以上の高齢者が暮らしの経済面において「心配がない」「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と感じている人の割合は、全体の68.5%という結果でした。

 

今の生活環境に不便を感じていない高齢者が多いことも、一人暮らしが増える理由と考えられます。

 

また、2021年の就業率を年代別で見ると、65~69歳では50.3%、70~74歳で32.6%、75歳以上で10.5%となっています。「働けるうちはいつまでも働きたい」という意欲を持っている高齢者が多いことも、一人暮らしが増える要因といえるでしょう。

家族が身近にいない

 

高齢者のなかには家族が他界している、遠方で暮らしているなどの理由から、頼れる人が身近にいない場合もあります。

 

また、少子化や核家族化が進んでいることも、一人暮らしが増えるひとつの要因でしょう。

 

高齢者の一人暮らしは、近隣トラブルや病気、孤独死などのリスクが高まります。認知症や体調不良は、早期発見できれば進行を遅らせることができます。そのため、近所付き合いや地域コミュニティへの参加は重要です。

 

内閣府の2021年度「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」によると、「自分には人との付き合いがないと感じることがあるか」という質問に対して「(孤独感・孤立感が)常にある」と回答した60歳以上の男女は9.3%「(孤独感・孤立感が)時々ある」と回答した人は30.7%でした。

 

孤独死や認知症のリスクを低減するためには、高齢者が利用できる施設やサービスをうまく活用できるように日頃から家族で話し合っておくことが大切です。

 

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一人暮らしは自由で気楽な面もありますが、万が一に備えておくことは大切です。

 

特に、家族が遠方に暮らしていてすぐに駆けつけられない場合は、第三者の助けが必要になります。ここでは、一人暮らしの高齢者が活用できるサービスについて解説します。

 

見守りサービスは、スマホアプリやインターネットを利用して安否確認や生活に不便がないかを確認できるサービスです。

 

近年は、さまざまな民間企業や自治体が見守りサービスを提供しているため、高齢者への寄り添い方やライフスタイルに合わせて選べます。

 

ここでは、「スマホアプリを利用した見守りサービス」「センサー型見守りサービス」「通報型見守りサービス」の特徴について紹介します。

スマホアプリを利用した見守りサービス

 

スマホアプリを利用した見守りサービスは、スマートフォンの使用状況を確認することで安否確認ができるサービスです。

 

見守る側の家族は、高齢者がスマートフォンを利用した履歴を確認でき、一定期間利用がない場合には、家族に自動で電話がかかる仕組みになっています。

 

また、自動配信されるメールに高齢者が返信することで安否確認ができるサービスや、健康状態を確認できるサービスなどもあります。アプリをダウンロードして設定を行うだけで利用できる手軽さも魅力です。

センサー型見守りサービス

 

センサー型見守りサービスは、人の動きや室内の温度をセンサーが感知し、高齢者の安否確認や熱中症のリスクなどを把握できるサービスです。カメラではなくセンサーによる検知なので、行動を監視されているというストレスが少ないのが特徴です。

 

設置工事料がかかるものもありますが、コンセントに挿すだけで簡単に導入できるものもあります。コンセント型以外にも電気ポットに通信機能がついたサービスもあり、高齢者が日常生活を送りながら見守ることができます。

通報型見守りサービス

 

セキュリティ会社が提供する通報型見守りサービスは、ボタンを押すだけで緊急時に家族に代わって警備員が駆けつけてくれるサービスです。

 

24時間いつでも看護師に健康相談ができるサービスが付帯されているものもあります。サービスのタイプによっては、かかりつけ医や持病を事前登録することも可能なため、遠方で生活している家族には心強い味方となるでしょう。

 

家事代行サービスでは、洗濯や料理、掃除、ゴミ出し、買い物などを依頼することができます。

 

定期的にスタッフが訪問することで安否確認もでき、スタッフと話すことで高齢者の気分転換や認知症の予防、早期発見にもつながるでしょう。

 

ただし、家事に特化したサービスのため、医療行為や体に触れる行為、高度な介護サポートなどはサービスに含まれません。

 

高齢になると身体能力や身体機能の低下によって、今までこなせていた家事が困難になる場合があります。無理して家事を行おうとすると、転倒やケガをする危険性が高まるため、家事代行サービスを利用するのもひとつの方法です。

 

食事代行サービスとは、高齢者の自宅へ食事を配達してくれるサービスです。一人暮らしの高齢者は、栄養バランスが偏りやすく、栄養失調や体重の減少などが懸念されます。

 

食事代行サービスのなかには、栄養バランスを考えたものが多くあるため、サービスの活用によって手軽に栄養バランスの取れた食事ができるでしょう。

 

また、買い物代行や調剤薬局で薬を受け取るサービスなど、ちょっとした困りごとをサポートしてくれる場合もあります。サービス内容をあらかじめ確認してうまく活用することで、より便利で暮らしやすくなるでしょう。

 

家族と同居すれば、高齢者に万が一のことが起きたときも対処しやすくなりますが、家庭の事情で同居が難しい場合もあるでしょう。

 

そのような方々のために「一人暮らしの高齢者のために家族ができること」についてお伝えします。

 

地域包括支援センターは、「高齢者が重度な介護状態になっても、住み慣れた地域で最後まで住み続けられること」を目的とした公的機関です。

 

ケアマネジャーや社会福祉士など、介護・医療・福祉のエキスパートが在籍しており、地域に住む高齢者の安全と健康をサポートしています。

 

地域包括支援センターは、2023年4月時点で全国に5,431カ所設置されているため、まずはお住まいの地域に地域包括支援センターがあるかどうかを確認してみましょう。

 

一人暮らしの高齢者を対象にしたサービスにはさまざまな種類があり、公的介護保険制度に関係なく利用できるサービスも充実しています。

 

たとえば、訪問美容サービスでは、美容院へ行くことができない高齢者のために、医療や介護の知識をもった美容スタッフが高齢者の自宅まで直接来てくれます。

 

また、通院困難な高齢者のために訪問マッサージや訪問リハビリといったサービスもあります。外部サービスを利用することで人との関わりが生まれ、孤立や介護予防にもつながります。

 

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高齢になると、今までできていたことができなくなることで、無力感やもどかしさを感じることがあります。また、仕事を離れ、社会との接点が減ることで、孤独に感じることも増えるかもしれません。

 

そのため、日々の生活のなかで生きがいや楽しみを見つける工夫が必要です。ここでは、高齢者が一人暮らしを楽しむコツについて紹介します。

 

趣味を持つことで交友関係が広がり、日々の生活に張りが生まれます。また、充実感や達成感を得ることで、ストレスの解消や健康にもつながるでしょう。

 

高齢者におすすめの趣味には、以下のようなものがあります。

  • ウオーキング、ランニング
  • 将棋、囲碁
  • 俳句、川柳
  • 楽器演奏
  • ガーデニング、家庭菜園
  • カラオケ
  • 水泳

 

近年、高齢者向けの習い事はたくさんありますが、「いきなり教室に通うのは不安」「続くか分からない」と感じる人もいるでしょう。

 

まずは近隣の公民館や自治会館で行われている講座やサークル、コミュニティに参加してみることをおすすめします。

 

また、高齢者が一人暮らしをするための物件を探している家族の人は、希望するエリアに公民館や自治会館が近くにあるか確認しておくといいかもしれません。

 

公共施設では、地域住民のためのシニア向けサークルや講座、イベントが開催されています。講座やサークルの詳しい情報については、市役所や公民館、地域包括支援センターの掲示板を確認してみましょう。

 

地域のボランティア活動に参加するのもおすすめです。市の清掃活動や子育て支援、施設のガイドなどは、地域のシニアが積極的に参加できるボランティアです。

 

ボランティア活動に参加することで次第に地域の人たちとの交流が生まれ、交友関係やコミュニティが広がります。また、活動を通して人の役に立っていると実感することで、やりがいや生きる張り合いが出てくるでしょう。

 

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今回は一人暮らしの高齢者が受けられるサービスや支援について紹介しました。高齢者の一人暮らしは、さまざまな支障や予想外の問題が出てくる可能性があります。

 

高齢者本人の生活の質を低下させないためにも、支援サービスをうまく活用し、積極的に人との関わりを持つように意識することが大切です。

 

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