生活費の支出項目のひとつに、ガス代があります。これから一人暮らしをする場合、希望する物件がプロパンガスか都市ガスかによって支払うガス代の目安が異なります。

ここでは、プロパンガスと都市ガスの違いや、一人暮らしで必要となるガス代の目安について解説します。

賃貸物件を探す一人暮らしにぴったりな物件

 

賃貸物件を探していると、プロパンガスと都市ガスの物件があるのが分かります。「プロパンガスは高い」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

 

ここでは、一人暮らしでプロパンガスを利用した場合の平均使用量(m3)と、ガス代について世帯人数別に見ていきましょう。

 

一人暮らしの平均的なプロパンガスの料金と使用量

世帯人数

平均使用量(m3)

ガス代(円・税込み)

1人暮らし・2人暮らし

6.5

6,480

3人暮らし

8.9

8,155

4人暮らし

11.3

9,830

5人暮らし

11.7

10,110

6人暮らし

12.0

10,319

7人暮らし

11.8

10,179

一般財団法人日本エネルギー経済研究所・石油情報センター「平成18年度プロパンガス消費実態調査」より

 

2006年4月から2007年3月までの期間における、一人暮らしの平均的なプロパンガスの使用量は6.5m3で、一世帯当たりの人数が多くなるほどガスを使用する時間が重なるため横ばいとなっていきます。

 

プロパンガスの月平均料金は地域差があり、時季によっても異なりますが、一人暮らしの場合は約5,000~6,000円前後が目安です。

 

時季としては夏場よりも冬場の利用料金が高くなる傾向にあります。冬場にガス代が高くなる理由としては、ガスコンロや給湯器、暖房機器(ガスストーブ)など、ガスを使うケースが夏場よりも多いことが挙げられます。

 

「プロパンガスは都市ガスより高い」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。なぜそのような価格差があるのでしょうか。

 

プロパンガス代が、都市ガスよりも高いとされている理由として、以下の点が挙げられます。

  1. 配送や設備点検にコストがかかる
  2. 自由料金制のためガス会社によって料金設定が異なる
  3. 供給設備費などが上乗せされる場合がある

都市ガスが政府の認可を受けた公共料金なのに対して、プロパンガスは事業者が自由に料金を定めることができます。そのためガス会社同士の競争がない地域では、値段が高めになる傾向があるのです。

 

また、プロパンガスの料金が高くなってしまう原因のひとつとして、プロパンガスの従量単価(調整額)が高いという点が挙げられます。

 

日本はプロパンガスの大半を海外からの輸入に頼っているため、価格の変動が大きくなります。輸入価格の変動分は、原料費調整制度における「調整額」として、毎月のガス代に反映される仕組みとなっています。

 

そのため、時季によってガス代が高くなったり、安くなったりするのです。

 

賃貸物件を探す 都市ガスが使える物件

 

プロパンガスと都市ガスはどこが違うのか、原料、供給方法、供給エリア、事業者数の4つの視点で比較してみます。

 

プロパンガスと都市ガスの大きな違いはここ!

 

都市ガス

プロパンガス

原料

液化天然ガス(LNG)

液化石油ガス(LPG)

供給方法

道路の下のガス管

ガスボンベを配送

供給エリア

都市部に集中

全国どこでも

全国の事業者数(2023年時点)

約200社

約1万6,000社

 

都市ガスはメタンを主成分に持つ液化天然ガス(LNG)で構成され、プロパンガスはプロパンやブタンを主成分に持つ液化石油ガス(LPG)で構成されています。

 

液化石油ガスは、熱量が液化天然ガスの2倍あるため、発熱量はプロパンガスの方が優れています。

 

供給方法は都市ガスが道路の下に設置したガス管を通じて供給するのに対し、プロパンガスはガスボンベを事業者が配送し供給しています。

 

都市ガスは人口の多い都市部に集中しているのに対し、プロパンガスは全国どこでも供給が可能です。

 

都市ガスは、道路下にガス管を設置する必要があり、初期投資に多大な費用がかかるため、費用回収を考慮し、人口の多い都市部に集中しています。

 

事業者数は、都市部では都市ガスが占めているものの、都市部以外の供給エリアではプロパンガスを供給せざるを得ないため、プロパンガスの事業者が都市ガスよりも圧倒的に多くなっています。

 

プロパンガスは価格が高い半面、メリットも多くあります。ここでは、一人暮らしでプロパンガスを使用するメリットを解説します。

 

プロパンガスはボンベとガス管、ガスメーターを設置できれば利用可能なため、全国どこでも供給可能です。

 

ガス導管のない都市部以外のエリアでは、設備投資による費用回収が難しいため、プロパンガスのように簡易設置ができるガス供給方法は非常に有効です。

 

ガスボンベを取り付けるだけで済むため設置が容易で、仮設住宅や炊き出し時など避難場所で緊急時のエネルギー源として利用できます。プロパンガスは品質劣化にも強く、半永久的に保存と使用が可能です。

 

プロパンガスは、化石燃料のなかでも二酸化炭素の排出量が低く、燃焼時の排出ガスもクリーンなエネルギーです。

 

燃焼時のCO2排出係数は、原油を1.00とした場合、プロパンガスは指数換算で0.86とされ、地球温暖化対策に有効なクリーンエネルギーとしても注目されています。

 

賃貸物件を探す 都市ガスが使える物件

 

賃貸物件の場合、自分の持ち家ではないため、自分だけの判断でガス会社を変更できません。そのため、物件のオーナーにプロパンガスの会社を変更してもらう必要があります。

 

1人だけの要望では物件オーナーから許可を得るのは難しいため、ほかの居住者に協力を仰ぎましょう。

 

プロパンガス事業者を変更するメリットや必要性を伝え、居住者の総意として物件オーナーの負担が最小限になることも意識して調整することが大切です。

 

プロパンガスは自由料金制であるため、都市ガスと比較すると高いというデメリットがありますが、災害に強く二酸化炭素排出が低いクリーンエネルギーだというメリットがあります。

 

一人暮らしを始める際には、希望する地域の賃貸物件は都市ガスなのかプロパンガスなのかを確認しておきましょう。

 

賃貸物件を探す 都市ガスが使える物件

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