賃貸物件を借りるときには、敷金や礼金などの貸主に支払う費用のほかに、不動産会社へ支払う仲介手数料が発生します。
仲介手数料は具体的に「いくら支払わなければならない」と決められているわけではないため、場合によっては安く抑えられるケースもあります。
今回は仲介手数料の基本的な仕組みや相場、安く抑える方法、交渉の際の注意点について見ていきましょう。
賃貸物件を探す敷金礼金0(ゼロ・なし)物件
賃貸物件における仲介手数料とは?

仲介手数料とは、不動産会社に支払う費用のことです。賃貸物件を借りるときには、条件に合う部屋を見つけて入居申し込みを行い、入居審査に通過したうえで、大家さんなどの貸主との間で「賃貸借契約」を結ぶ必要があります。
賃貸物件は、大学生をはじめ、多くの人が利用していることもあり、住宅を購入するのに比べて手続きは簡単に思えるかもしれません。しかし、賃貸借契約は法的な契約なので、きちんとルールを守って行わなければトラブルが発生する原因にもなります。
そこで、不動産取引の専門家である不動産会社が、物件の紹介や契約条件の交渉、重要事項の説明、契約の締結など幅広い業務を行い、契約がスムーズに進むようにサポートをしてくれる仕組みとなっているのです。
仲介手数料は、賃貸物件を無事に借りる協力をしてもらったことに対する成功報酬といえます。なお、支払い方法については、賃貸借契約を結ぶときに振り込みで行うのが一般的です。
仲介手数料の相場は「家賃の0.5~1ヶ月程度+消費税」

仲介手数料は、一律で決まっているわけではありません。ケースによっても異なるので、ここでは具体的な計算方法について見ていきましょう。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料に関する決まりは、宅地建物取引業法(宅建業法)に定められています。それによると、賃貸における仲介手数料の上限は原則として「家賃の1ヶ月分+消費税」とされています。
ただし、長期にわたる空き家物件の場合は、2024年7月1日に施行された「長期の空家等の媒介特例」の適用により、仲介手数料の上限が「家賃の2ヶ月分+消費税10%」となります。ただ、上乗せ分は貸主からの受領分に限られるため借主への影響はなく、実質的には「家賃の1ヶ月分+消費税」が上限となります。
一方、下限については特に決められていないため、上限の範囲内であれば、不動産会社が自由に設定することが可能です。ただ、家賃に基づいて計算されるので、基本的には家賃が高ければ高いほど、仲介手数料の金額も大きくなります。
なお、多くの場合は「家賃の0.5~1ヶ月+消費税」が相場となります。
仲介手数料には消費税がかかる
家賃をはじめ、敷金や礼金などの居住用物件に関する費用の多くは例外的に非課税とされているため、消費税の対象となりません。一方、仲介手数料は「サービスに対する費用」なので、消費税が発生する点に注意が必要です。
賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件仲介手数料を安く抑える方法

これまで紹介したように、仲介手数料の下限については明確な決まりがないため、工夫次第では安く抑えることも可能です。
はじめから仲介手数料を低く設定している不動産会社を選ぶ
仲介手数料の決め方は、会社ごとに一律で決められていることが多いです。あくまでもサービスに対する対価なので、物件によってバラバラに設定されることは少なく、会社の方針として決められているケースがほとんどといえます。
そのため、最初から仲介手数料を低く設定している会社を選ぶことが、安く抑える近道です。なお、賃貸においては、それぞれの物件について、ひとつの不動産会社が限定して取り扱うといったケースはほとんどありません。
「レインズ」と呼ばれるネットワークシステムを通して、不動産会社が物件情報にアクセスできるようになっているため、同じ物件を複数の不動産会社が取り扱っていることも多いです。そのため、借りたい物件の候補を見つけたら、いくつかの会社を比較してみるのもポイントです。
問合せをする段階で予算について相談してみる
不動産会社へ物件の問合せをする際に、仲介手数料を含めた初期費用の予算について相談してみるのもひとつの手です。特に、賃貸物件の借り手が少ない夏場や10~12月のオフシーズンであれば、本来よりも安い手数料にしてくれることもあります。
また、Webを通じて申し込むと、キャンペーンで一定金額のキャッシュバックがある場合もあります。こうした仕組みを上手に活用すれば、無理に仲介手数料を抑えようとしなくても初期費用の削減が可能です。
仲介手数料以外のコストにも注目してみよう
仲介手数料は、あくまでも初期費用の一部であり、基本的には不動産会社にサポートしてもらって物件を探すので、節約できたとしても限界があります。初期費用を抑えるのであれば、仲介手数料以外の部分も注目してみることが大切です。
たとえば、賃貸物件のなかには、敷金や礼金がかからない物件もあります。これらは、どちらも家賃の1~2ヶ月分が相場なので、免除されれば大きな節約につながります。
ただし、敷金には、家賃の滞納や借りている物件の損傷などを補填する重要な役割があるため、代わりに保証料や清掃費といった形で費用が設定されていることもあります。初期費用の項目は物件ごとに異なるので、部屋を借りる前に必ずチェックしておきましょう。
また、入居後の一定期間にわたって家賃が免除される「フリーレント物件」も、費用を抑える有効な選択肢です。LIFULL HOME’Sでは「敷金礼金0(ゼロ・なし)の物件」や「フリーレント物件」を特集しています。
特集ページから住みたいエリアを選択すれば、簡単に条件に合う物件を見つけられるので、部屋探しの際にはぜひ活用してみてください。
フリーレント物件仲介手数料がかからないケース

賃貸物件のなかには、そもそも仲介手数料がかからないケースもあります。ここでは、3つのパターンに分けて詳しく見ていきましょう。
不動産会社が管理している物件を借りる場合
それほど数は多くありませんが、賃貸物件のなかには、不動産会社が貸主になっており、仲介会社が存在しない物件もあります。この場合、賃貸借契約は不動産会社と直接交わすため、仲介手数料は発生しません。
大家さんと直接契約を行う場合
直接、大家さんと賃貸借契約を交わす場合も、仲介業務を必要としないため、仲介手数料が発生することはありません。
ただ、前述のように賃貸借契約の内容ややりとりに不備があるとトラブルの原因となってしまうので、知らない人同士で直接契約が行われることはほとんどありません。
また、条件交渉も含めてすべてを自分で行わなければならないため、家賃がかえって高く設定されてしまうリスクもあります。
大家さんが仲介手数料を負担する場合
不動産会社が受け取る仲介手数料は、必ずしも入居者が負担しなければならないという決まりはありません。上限の「家賃1ヶ月分+消費税(※)」の範囲内であれば、不動産会社は借主と貸主のどちらから受け取ってもよいとされています。
そのため、たとえば駅から遠いなどの理由で、なかなか借り手が見つからない物件では、入居者が集まりやすくなるように大家さんが仲介手数料を負担してくれるケースもあります。
※長期にわたる空き家物件の場合は「家賃2ヶ月分+消費税」の範囲内。ただし上乗せ分の家賃1ヶ月分+消費税分は、貸主からの受け取りに限る
賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件仲介手数料の交渉はマナーを守って行おう

これまで解説したように、仲介手数料の下限は明確に決まっていないため、条件次第では金額を安くしてもらえることもあります。ただ、前提として仲介手数料は、住み替えるまでに必要なサポートに対する報酬なので、無理な交渉は避けましょう。
たとえば、物件の内見を行い、初期費用などの説明も受けたうえで、後から仲介手数料の交渉を行おうとすれば、マナー違反になってしまいます。
仲介手数料を抑えたいときには、前述のように「最初から仲介手数料を安く設定している不動産会社を探す」ことが重要であり、気になる場合は「事前に問合せをして確かめる」といった方法もあります。
もちろん、内見をしたうえでその物件が気に入らなければ、無理に契約をする必要はありません。不動産会社に相談をすれば、納得のいく物件が見つかるまでサポートを行ってもらえるので、マナーを守ったうえでじっくりと部屋探しを行いましょう。
まとめ
- 賃貸の仲介手数料は原則として「家賃1ヶ月分+消費税」が上限
- 下限については特に決められていないため、安く抑えられるケースもある
- 最初から仲介手数料を安く設定している仲介会社を見つけるのが近道
- 不動産会社が貸主の場合など、仲介手数料が発生しない契約形態もある
- 仲介手数料を安くしてほしい場合は、できるだけ早いタイミングで相談することが大切
更新日: / 公開日:2022.04.15










