賃貸物件の設備は、徐々に劣化・消耗していくので、いずれ交換のタイミングが訪れます。すると、問題になってくるのが「設備の交換は誰が負担すべきなのか」というポイントです。
今回は電球の交換を中心に、賃貸物件における設備交換のルールと注意点を見ていきましょう。
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室内の電球交換は借主が行うのが原則

原則として、室内の電球交換は部屋を借りている本人(借主)が行います。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、住宅設備の修繕費は大家さん(貸主)負担とされていますが、以下のようなケースでは特約で入居者負担にできることとなっています。
入居者負担にできるケース
- 特約の必要性、合理的な理由があること
- 借主が特約の内容を認識し、負担の意思表示をしていること
電球などの小規模な消耗品については、必要性・合理性が認められるので、特約が設けられていることが多いです。
たとえば、もし大家さんの負担にすると、交換のたびに連絡をしなければならず、すぐに取り換えられないため不便といった合理的な理由があります。通常、契約書には負担に関する特約が記載されているので、確認しておくことが大切です。
なお、入居時に電球が切れている場合は、すぐに連絡を入れれば、大家さんによっては交換に応じてくれることもあります。また、退去時については、基本的に電球が切れたままでも問題がないケースが多いです。
不慣れでも安心! 電球を買い替える際の注意点

自分で電球を換える際には、基本的に古い電球を外して新しい電球をつけるだけなので、それほど難しくはありません。ただ、買い替える電球の選び方にはいくつか注意が必要な面もあります。
ここでは、電球を買い替える際の注意点を解説します。
口金サイズを確認する
口金とは、電球の根元にある金属部分を指し、電球をしっかりと固定し、電気を受け取る役割を持っています。口金のサイズが合わないと正しく接続できないため、購入前に確認しておくことが大切です。
日本で家庭用照明として一般的に用いられるのは、「E26」と呼ばれるサイズです。ほかにも、シャンデリアなどで使われる「E17」サイズも広く普及しています。
ワット数を確認する
電気代を気にする人は、ワット数(W)を意識しておくことも大切です。一般的には大きなワット数のほうが消費電力も大きく、光量も増えます。
注意したい点として、照明器具ごとに指定されたワット数を超える電球をつけると、電球が破裂したり熱で溶けてしまったりする可能性があります。
そのため、電球の設置箇所に記載された定格消費電力をきちんと確認して、必ずそれ以下のものを選ぶようにしましょう。
使っていた電球を電気店に持っていくのもひとつの方法
買い間違いを防ぐためには、使っていた電球を家電量販店などに持っていき、同じものを探すようにすると安心です。
また、取り外した電球を手元に置いて、同じ形状やワット数のものをインターネットなどで取り寄せるといった方法もあります。
LEDの特徴を押さえておく
LEDは白熱電球に比べて寿命が長く、少ない消費電力でも明るさを保てるのが特徴です。そのため、交換回数が少なくて済み、電気代も通常より安くなるというメリットがあります。
一方、LED自体の価格は高いので、購入時には長く使うことを想定して慎重に色や明るさを見極めることが大切です。また、水や熱には弱いので、防水加工されたものでなければ、お風呂場や洗面台などでは使わないのが無難です。
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共用部分の電球交換は貸主が行う

これまで解説したように、室内の電球は入居者自身で負担するケースが多いです。それに対して、室外の共用部分については、原則として大家さんが負担することとなります。
エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分の維持管理費用については、入居者が支払う管理費・共益費に含まれているので、そこから捻出してもらうこととなります。
また、管理費・共益費を支払わない物件でも、家賃にあらかじめ組み込まれているので、入居者が改めて負担することはありません。
電球以外の設備はどうなの? 大家さんが修理・交換してくれるケース

それでは、電球以外の設備については、どのように考えるべきなのでしょうか。ここでは、大家さんが修理を負担してくれるケースについて詳しく見ていきましょう。
通常の使用による消耗
賃貸物件の退去時には「通常の使用による消耗」に関する修繕費用は、大家さんが負担することとなっています。通常の使用と考えられる範囲には、以下のようなものが挙げられます。
通常の使用と考えられる範囲
- 壁のポスターや絵画の跡
- クロスの自然な日焼け
- 家電裏の電気焼け
- 家具の設置による床やカーペットの自然なへこみ
- 建具の不具合
備え付けのエアコンの故障
備え付けのエアコンについては、故障が入居者の故意や過失によるものでなければ、大家さんが負担することとなっています。故障が見つかったときにはすぐに大家さんや管理会社へ連絡して、修理を手配してもらいましょう。
ただし、契約書内で設備に含まれていない機器(前入居者の残置物など)の場合は、自然故障であっても入居者の負担になる可能性があります。
雨漏り
雨漏りが発生したときには、原則として修理費用は大家さんの負担となります。建物の経年劣化によって適切な住環境が保たれていないとみなされ、大家さんに修理する義務が発生するのです。
ベランダの手すり
ベランダは共用部分にあたるので、入居者の故意や過失による破損でない限り、手すりの修繕費用負担は大家さんに発生します。ベランダについても、自分で勝手に修理を手配するのは避け、必ず大家さんや管理会社へ連絡しましょう。
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要注意! 入居者が負担しなければならないケース

反対に、入居者が負担しなければならないケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
通常の使用の範囲を超えた使用で生まれた損傷
借主の故意や過失などで発生したキズ・汚れについては、「通常の使用の範囲」を超えた使い方が原因とみなされ、入居者の費用負担となります。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
入居者の費用負担となるケース
- ペットによるひっかきキズ
- 引越し時につけたキズ
- 水漏れを放置したことによる壁・床の腐食
- 結露を放置したことにより拡大したカビ・シミ
特に注意が必要なのは、水漏れに関する問題であり、雨漏り自体は大家さんの負担となる一方、それを放置したことによる影響は入居者の責任になるということです。
そのため、不具合を発見したときには、とにかくすぐに大家さんへ伝えて、適切な処置をしてもらうことが大切です。
子どもが誤って破損したガラス
ガラスについては、破損の原因によって負担者が変わるのが一般的です。地震で破損した場合や、加工処理の問題で自然に亀裂が発生した場合などは、入居者に責任がないため大家さん負担となります。
ただ、自身や子どもが遊んでいて破損してしまった場合は、入居者に責任があるので借主負担となります。
鍵の紛失による取り換え
鍵を紛失してしまったことにより、大家さんに鍵の交換を依頼する場合には、費用は入居者負担となります。ただ、場合によっては、大家さんと相談することで費用の負担割合が下がったり、保険で一部をカバーできたりするケースもあります。
まとめ

- 室内の電球交換は原則、入居者の負担だが、入退去時は大家さんが行ってくれるケースもある
- 自分で電球を替えるなら口金のサイズやワット数に注意する
- 共用部分の電球交換は大家さん負担
- 通常の使用の範囲で起こった損耗や備え付けエアコンの故障、雨漏りは大家さん負担
- 故意や過失による破損、鍵の紛失による交換費用は入居者の負担
更新日: / 公開日:2022.04.01










