IT重説とは、2017年から導入がスタートした「ITの活用による非対面型の重要事項説明手続き」のことです。

オンラインで手続きを完結させられるため、賃貸物件を借りたい人にとっては、利便性を格段に向上させてくれる取り組みのひとつでもあります。

今回はIT重説の基本的な仕組みとメリット、注意点について解説します。
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重要事項説明書

 

IT重説の基本的な仕組みについて、ここでは導入された背景や定義を詳しく見ていきましょう。

 

国土交通省のマニュアルによれば、IT重説は「重要事項説明をテレビ会議等のITを活用して行うもの」と定義されています。

 

IT重説はまだ新しい流れで、2017年より賃貸物件の契約に関する取引から実験的に導入され始めた制度です。

 

重説とは「重要事項説明」のことであり、不動産売買や賃貸の契約を結ぶときに必ず行わなければならない手続きです。

 

契約に関わる重要な事柄を説明する手続きであるため、従来は宅地建物取引業法(宅建業法)によって「宅地建物取引士が対面で行わなければならない」と定められていました。

 

しかし、「遠隔地でのやりとりがしづらい」「ケガなどで外出できない場合には不便」といった問題点もあり、対面の必要性が疑問視する声もありました。

 

そこで、ビデオ通話などのツールを使用した「非対面型」でも重説が行える仕組みであるIT重説が生まれました。

 

この仕組みは、2015年8月から2017年1月までの期間において登録事業者のみに限定して社会実験が行われ、まずは賃貸から2017年10月に運用が開始されました。

 

しかし、コロナ禍による非接触型サービスの推奨も関係して有用性が認められ、売買についても2021年3月から本格的に運用されています。

 

賃貸物件を借りるときには「重要事項説明」と「賃貸借契約」の2つの手続きを行う必要があります。

 

2022年2月時点、宅建業法では、どちらもオンラインで行うことができるものの、契約に必要な「書面の交付」と「押印」のオンライン化は2022年2月時点、まだ社会実験中です。

 

そのため、IT重説を利用したとしてもオンラインのみで契約を完了することはできず、契約書を郵送してもらい、押印してから返送するといった手間がかかってしまいます。

 

ただ、2022年5月にはさらに法律が改正され、「電子書面でのやりとりが全面的に解禁される」といった流れが想定されています。

 

そうなれば、オンラインの手続きのみで物件の契約を完了できるようになり、ますます利便性が向上するでしょう。

IT重説

 

重説そのものはとても重要な手続きなので、IT化されるとしても厳格なルールに従って行われます。ここでは、IT重説に必要な条件について「不動産会社側」と「契約者側」の両面から見ていきましょう。

 

不動産会社側が順守しなければならない条件には、以下のようなものがあります。

不動産会社側が順守しなければならない条件

  • 宅地建物取引士が行うこと
  • 契約者が宅地建物取引士証を視認できたか確認すること
  • 双方向のやりとりができる環境を整えること
  • 必要書類を事前に送付しておくこと
  • 契約者の利用環境を確認すること

前述のとおり、重説は宅地建物取引士しか行えない専門業務です。IT重説を行う際には、契約者にきちんと見えるような形で資格証を提示し、読み上げてもらうなどの確認をとらなければなりません。

 

また、質疑応答や相談ができるように、双方向のやりとりが行えるIT環境の整備も不動産会社でも進める必要があります。

 

このように、トラブルなく進めるための順守事項が決められているので、契約者は安心して利用できる仕組みといえます。

 

双方向のやりとりをスムーズに行えるのであれば、特に利用環境や端末などに明確な決まりがあるわけではありません。

 

パソコンやタブレット端末などの通信機器と、接続良好な通信環境があれば、問題なく重説を受けることができます。

 

なお、必要に応じて、使用するオンラインツールのアカウントを取得しなければならないケースもありますが、その場合は不動産会社が案内やサポートを行ってくれます。

 

また、アカウントなしで利用できるオンラインツールもあるので、不安がある場合は事前に確認しておくといいでしょう。

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IT重説のメリット

 

IT重説には以下のようにさまざまなメリットがあります。

メリット

  • 現地に足を運ぶ負担がない
  • 日程調整がしやすい
  • 非接触のため、感染症対策にもつながる
  • リラックスして重説の内容を確かめられる
  • 許可を得られれば録音や録画も可能

IT重説では店舗に足を運ぶ必要がないため、契約者の負担が大幅に軽減されます。自宅やオフィスなど、どこでも受けられるので日程の調整がしやすく、ケガや両親の介護などで外出が難しい人でも安心して利用できるのもメリットです。

 

また、対面する場合に比べて、リラックスした状態で内容をチェックできるのも特徴です。

 

対面すると遠慮が生まれ、「気になる点を聞きづらい」と感じてしまう人もいるでしょう。画面越しであれば必要以上に気をつかわず、思っていることを伝えやすいと感じる人も多いのです。

 

さらに、許可をとれば録音や録画も可能なので、やりとりの記録を残しておけるのも重要なメリットです。

IT重説をスムーズに受けるための注意点

 

IT重説は高い利便性を備えていますが、スムーズに手続きを進めるためには、契約者側もいくつか気をつけたいポイントがあります。

 

重説を受ける前には、不動産会社に自分が契約者本人であることを確認してもらう必要があります。そのため、画面に顔を映すことを見越して、ある程度身だしなみを整えておきましょう。

 

IT重説では、ネット環境が不安定なことによる接続の中断、音声の途切れなどのトラブルが起こることもあります。

 

重説では映像と音声の両方を必ず使用するので、できるだけ安定したネット環境を用意することが大切です。

 

IT重説に対応している不動産会社には、内見もオンラインで行ってくれるところが増えています。オンライン内見も活用すれば、現地に足を運ばなくても契約を進められるので、遠方から物件探しをしたいときには便利です。

 

ただ、オンラインだけでは確認が難しい部分もあるので、事前に確かめておきたいポイントを明確にする必要があります。

 

たとえば、画面からでは把握しきれない「周辺環境」「騒音の有無」「日当たり」といった部分は、不動産会社の担当者に直接尋ねて確認しましょう。

 

また、オンライン内見では「収納の扉を開けてみてほしい」「収納スペースの採寸をしてほしい」といった要望にも応えてもらえるので、あらかじめ確認しておきたいポイントを明確にしておきましょう。

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オンライン内見

 

LIFULL HOME’Sでは、ビデオ通話を使った「オンライン内見・IT重説サービス」可能な不動産会社に絞って物件を検索することができるので、ぜひ活用してみてください。

 

まずはLIFULL HOME’Sの賃貸ページから、検索条件の指定画面で「オンライン内見可」「オンライン相談可」「IT重説可」から希望の条件を選択しましょう。すると、それぞれ選択したオンラインサービスに対応している物件だけを絞り込むことができます。

 

続いて、希望の物件ページから「オンライン内見・相談を予約」ボタンを押し、入力フォームに必要事項を記入して問合せをします。その後、不動産会社のスタッフと相談日時を調整して、予約が済むとメールでオンライン内見・相談の利用方法が送られてきます。

 

当日、予約の時刻になったらチャット画面にアクセスをすると、そのまま必要なサービスを受けられる仕組みです。

  • IT重説とは「ビデオ通話などを利用した重要事項説明」のこと
  • 非対面で手続きが行えるため、契約場所へ足を運ぶ手間を省けるのが大きなメリット
  • 2017年に試験的な導入がスタートし、2021年4月から本格的に活用され始めている
  • オンライン内見とIT重説を組み合わせれば、現地へ足を運ばずに部屋探しから物件の契約まで可能
  • 今後も法律の改正によってさらに手続きがIT化し、ますます利便性が向上していく見込み
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