賃貸マンションにはさまざまな種類があり、物件ごとに特徴も大きく異なります。そのため、理想に合った物件を見つけるうえでは、部屋探しをスタートする前の「適切な条件設定」がとても重要です。
今回は賃貸マンションを選ぶうえで、押さえておきたい条件設定のコツを中心に解説します。
賃貸物件を探すおすすめ特集から賃貸を探す
賃貸マンションの種類とタイプ

一口にマンションといっても、種類やタイプにはさまざまな違いがあります。ここではまず、賃貸マンションの種類について見ていきましょう。
アパートとマンションの違い
賃貸物件を探すうえで真っ先に気になるのが、「アパートとマンションは何が違う?」といった点ではないでしょうか。
実のところ、アパートとマンションの区別には明確な定義がありません。法律上はどちらも「共同住宅」として扱われているので、どのように表現しても問題はないのです。
ただ、一般的には木造や軽量鉄骨造の2~3階建てのものをアパート、鉄筋コンクリート造などの3階建て以上のものをマンションとイメージすることが多いといえます。
賃貸マンションの種類と特徴
賃貸マンションには、大きく分けて以下の4つの種類があります。
賃貸マンションの種類
- 一般的な賃貸マンション
- タワーマンション
- 大規模マンション
- 分譲賃貸マンション
一般的な賃貸マンションは、3階建て以上の鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のものを指す場合が多く、基本的にはエレベーターがついています。ただ、前述のとおり、明確な定義はないので、アパートのような見た目でもマンションと呼称されているケースはあります。
タワーマンションは、高さ60m以上のもので、階数にしておよそ20階建て以上の高層マンションを指し、「共用設備の充実度が高い」「好立地のものが多い」「高層階は眺望に優れる」といった特徴があります。なかには駅直結型のマンションもあるなど、立地や利便性は多様化しています。
大規模マンションは、総戸数が多く、主にファミリー世帯向けの間取りを中心につくられています。ただ、同じ建物内にファミリー向けと単身用が共存している場合もあるなど、規模やエリアによって特徴はさまざまです。
分譲賃貸とは、本来分譲用として建てられた物件のうち、いくつかの部屋を賃貸用として取扱う物件のことです。家賃は通常よりも高く設定されることが多いものの、設備などのグレードが高いのが魅力といえます。
賃貸マンション選びで失敗しやすいポイント

条件設定のコツを見ていく前に、まずはマンション選びで失敗しやすいポイントを確認しておきましょう。具体的な失敗例を押さえておくと、実際に部屋を探すうえでの参考になります。
家賃・初期費用に関する失敗例
先に細かな条件を決めてしまうと、なかなか家賃の水準を下げることができず、無理のある賃料設定になってしまうケースが多いです。
入居してからは家賃とともに生活費や固定費も発生するため、予算オーバーすると、せっかくいい物件に住んでも毎月の支払いに負担を感じてしまいます。
また、賃貸物件に入居するときには、敷金・礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。まとまった金額になるため、細かな費用を見落としていると、用意が間に合わずに入居できないといった事態に陥るリスクもあります。
初期費用の目安は「家賃の4~6ヶ月分」とされているので、貯金額と相談しながら家賃設定をすることも重要です。
立地に関する失敗例
立地については、以下のような失敗例が挙げられます。
失敗例
- 想像以上に駅までの距離が遠く感じられた
- 最寄り駅の始発や終電の時間に不満を感じた
- 周囲に商業施設が少なく買い物に不便
- 周辺の音がうるさい
- 地震などの自然災害で不安な面がある
最寄り駅までの距離が遠いと、しばらくは我慢ができても、だんだん毎日の通勤・通学が負担に感じられてしまいます。
また、駅から近い物件を選んだはずが「踏切や信号で想定以上に時間がかかる」「急な坂が多くて自転車で通えない」といったパターンに陥ることも少なくありません。
その他のケースとしては、商業施設が少なく、生活利便性の低さが気になってしまうといった場合もあります。立地は毎日の生活に関わる重要なポイントなので、慎重に条件を検討することが大切です。
間取り・広さに関する失敗例
初めて物件探しをする場合、間取りや広さについて不満を感じてしまうケースも多いです。
失敗例
- 収納が少なく不便に感じられた
- 家具を入れると思った以上に部屋が狭くて使いにくかった
- 家具が入らなかった
広さについては、収納スペースを見落としていたり、実際の生活シーンを詳細にイメージできていなかったりといったケースが多いです。
狭すぎる不満がある一方で、広すぎても不便さを感じることがあります。それぞれ部屋の広さを決める際は、必要な物が置けるかだけでなく、そこでどのような動きをするのかもイメージしてみましょう。
また、玄関ドアの間口が狭く、お気に入りの家具が入らなかったというケースも少なくありません。
設備に関する失敗例
設備の失敗例については「妥協すべきではなかった」と感じる場合と「それほどこだわらなくてもよかった」と感じる場合の2種類があるようです。
失敗例
- バスとトイレは別にすべきだった
- 一口コンロが使いにくかった
- こだわったはずの浴室乾燥機をほとんど使わなかった
- ロフト付きの物件を選んだが、上り下りが面倒で活用できなかった
- コンセントの位置を見落としていた
初めて部屋探しをする場合、水回り・キッチンの設備については何を優先すべきか分からなくなってしまうこともあります。
結果として、あまり必要でない設備を優先してしまったり、妥協すべきでないポイントを許容してしまったりと、住み心地に不満を感じるケースが多いようです。
また、意外に見落としてしまいがちなのがコンセントの位置です。コンセントの位置によって、家電の配置がある程度決まってしまうので、内見時にはきちんと目を向けておく必要があります。
賃貸物件を探す おすすめ特集から賃貸を探す失敗しない条件設定のコツ1:優先順位の高いものから決める

部屋探しに失敗する理由としては、「条件の優先順位」が定まっていないという理由が考えられます。物件探しの条件にはさまざまな項目があるので、まずは重要なものから先に決めていくことが大切です。
ここでは、特に重要度の高い「家賃」「立地」「広さ」の3点について、基本的な考え方や条件設定のポイントを解説します。
家賃の決め方
家賃を決めるときには、目安として「手取りの3分の1」以下を意識しておきましょう。ただ、「貯蓄に力を入れたい」「趣味にお金を使ってしまう」といった場合には、より低い基準で見積もっておく必要があります。
また、住みたいエリアによっては、手取りの3分の1以下の予算だと物件の候補が極端に少なくなってしまうケースもあります。そのため、手取りから必要な生活費・固定費を引いて、具体的に無理なく捻出できる賃料を計算することが大切です。
立地の決め方
立地については、「交通利便性」と「周辺の生活利便性」の2点に目を向けることが基本です。利便性については、駅からの距離だけでなく、最寄り駅自体の利便性にも注目しておきましょう。
また、勤務先や学校までのトータル所要時間も把握しておくと、エリアを絞り込みやすくなります。
不動産情報ポータルサイトのLIFULL HOME’Sでは、部屋探しの際、「通勤・通学時間から探す」を選択すると、目的駅までの所要時間、乗り換え回数を指定して最適なエリアを簡単に見つけられるので便利です。
周辺環境の利便性については、地図で商業施設の有無を確かめたり、インターネットの口コミなどを活用したりするのがおすすめです。そのうえで、住みたい物件が見つかったら、内見のタイミングで実際に周囲を歩いてみて、自分の目で環境をチェックしておきましょう。
広さの決め方
広さについては、居住人数に適した面積の基準を知っておくと便利です。国土交通省の「住生活基本計画」では、以下のように居住面積の水準が示されているので、参考にしてみましょう。
| 必要な面積(平米) | |||
|---|---|---|---|---|
1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | |
最低居住面積水準 | 25 | 30(30) | 40(35) | 50(45) |
誘導居住面積水準(都市型) | 40 | 55(55) | 75(65) | 95(85) |
誘導居住面積水準(一般型) | 55 | 75(65) | 100(87.5) | 125(112.5) |
※()は3~5歳児が1名いる場合
「最低居住面積水準」とは、快適に生活するうえで最低限必要な広さであり、「誘導居住面積水準」はゆったりと過ごせるスペースの目安です。同じ条件であれば、部屋が広いほど家賃も高くなるので、まずはどのくらいの広さが必要なのかを見極めましょう。
たとえば、「荷物が多い」「友人や家族を招きたい」といった場合には誘導居住面積水準寄りに設定し、「家賃を抑えたい」「広さより立地を重視したい」場合には最低居住面積水準、あるいはそれ以下の物件にも目を向けるのがコツです。
失敗しない条件設定のコツ2:こだわり条件の種類と優先度を把握しておく

重要な条件を設定したら、続いて細かなこだわり条件を決めていきましょう。ここでは、こだわり条件の種類と優先度の決め方を紹介します。
こだわり条件にはどんなものがある?
こだわり条件にはさまざまな種類があり、何を優先すべきかはライフスタイルや好みによって大きく分かれるところです。
水回りに関する条件
- バスとトイレが別
- 独立洗面台
- 室内洗濯機置き場
- コンロ2口以上
- IHコンロ
- 温水洗浄便座
- 浴室乾燥機
- 追い焚き機能
入居条件に関する条件
- 二人入居可
- ペット(相談)可
- 楽器(相談)可
- 女性限定
セキュリティに関する条件
- オートロック
- 防犯カメラ
- モニター付きインターホン
- 管理人常駐
これらの条件のほかにも「部屋の位置」や「冷暖房設備」「駐車場・駐輪場つき」など、項目は多岐にわたります。そのため、条件設定に迷わないためにも、あらかじめ必要なものに優先度をつけておくことが大切です。
こだわり条件の決め方
こだわり条件を決めるときには、1つずつの項目について「どうしても譲れないもの」「あれば便利なもの」「必要のないもの」の3段階に分けて考えるとスムーズです。
その後、どうしても譲れないものを中心に優先順位を決めて、実際に部屋探しをしてみましょう。そのうえで、なかなか予算内で物件が見つからない場合は、状況に応じて条件を調整していきます。
特に水回りの設備は、家賃を左右するポイントの1つなので、優先度の低いものを数個外すだけでも、物件の候補が一気に増えることがあります。
LIFULL HOME’S「条件・設備ランキング2020」
LIFULL HOME’Sに2020年に掲載された賃貸物件(賃貸アパート・賃貸マンション)のうち、さまざまな検索条件から算出した“実際に探されている条件”のランキング結果は以下のとおりです。
順位 | 条件 |
|---|---|
1 | バス・トイレ別 |
2 | 2階以上 |
3 | 駐車場あり |
4 | エアコン |
5 | ペット相談可 |
6 | 室内洗濯機置き場 |
7 | 礼金なし |
8 | 洗面所独立 |
9 | 敷金なし |
10 | 二人入居可 |
11 | オートロック |
12 | デザイナーズ |
13 | コンロ二口以上 |
14 | 都市ガス |
15 | TVモニター付インターホン |
16 | 温水洗浄便座 |
17 | 追い焚き機能 |
18 | インターネット使用料無料 |
19 | タワーマンション |
20 | 家具・家電付き |
21 | 南向き |
22 | 浴室乾燥機 |
23 | 駐輪場あり |
24 | 角部屋 |
25 | リフォーム・リノベーション済 |
26 | 宅配ボックス |
27 | 保証人不要 |
28 | フローリング |
29 | メゾネット |
30 | エレベーター |
ランクインした条件のなかで、何を優先すべきかは個人のライフスタイルによって大きく差が生まれる部分です。人気条件を参考にしながら、自分なりの優先順位を組み立てていきましょう。
賃貸物件を探す おすすめ特集から賃貸を探すマンションに住むなら階数も意識しておこう

最初に紹介したように、アパートとマンションに明確な区別はありませんが、一般的にマンションと呼ばれる物件には一定以上の階数があると考えられます。
そのため、マンションを借りるのであれば、階数にも目を向けておくことが大切です。
1階の特徴
1階は同じ建物内でも比較的に家賃が安いことが多く、予算を抑えながら利便性の高いエリアを選べるのがメリットです。また、エレベーターを使わなくても外に出られるため、「ゴミ出しや買い物に出やすい」「災害時に避難しやすい」のも特徴です。
賃貸マンションのなかには、1階の居住者が使える「専用庭」がついた物件もあるので、一戸建て感覚で庭遊びや植木鉢を置いて簡単なガーデニングを楽しめるのも魅力といえます。
一方、立地や建物のつくりによっては「防犯性が気になりやすい」面があり、「虫が入りやすい」といったデメリットも存在します。
低層階の特徴
2階以上の中層階は、1階や最上階よりも外気の影響を受けにくく、冷暖房効率が高くなりやすい点がメリットです。その半面、上下階にほかの居住者がいるので、階下への足音や階上からの騒音が気になってしまう可能性があります。
また、2階や3階の低層階であれば、階段でも楽に行き来できるので、災害時などにも何かと安心感があります。一方、立地によっては周りの建物からの視線が気になってしまうことや、塀や電柱などを利用して不審者に侵入されるリスクがある点はデメリットです。
一定階数以上の上層階では、眺望や日当たりに恵まれる部屋が多いのがメリットです。
最上階の特徴
最上階は日当たりや風通しが良く、眺望にも優れていることから、人気が集まりやすいです。ただ、立地によっては日当たりが強すぎることで、夏場の室温が急激に高くなってしまうこともあります。
また、最上階はほかの階層と比べて家賃が高く設定されていることもあるので、賃料とメリットを冷静に比較しながら検討するのも重要です。
まとめ
- 明確な定義はないものの、3階以上の鉄筋コンクリート造などの建物を指してマンションと呼ぶことが多い
- 失敗例を押さえておくとマンション選びの参考にしやすい
- 物件選びでは、重要度の高い条件から先に決めていくのが成功のコツ
- こだわり条件は項目ごとの優先度を明確にしておくとスムーズ
- 階数によっても住み心地が異なるので違いを押さえておくことが大切
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