部屋を借りるときや住宅の購入を考えるとき、方角は気になることのひとつですよね。北向きの間取りの物件を敬遠する人もいるようですが、実際のところ、住み心地はどうなのでしょうか?

今回は北向きの間取りに注目し、メリットとデメリットをご紹介したうえで、北向きの間取りに向いている人や快適に過ごすためのコツを解説していきます。

北向きの間取りとは

 

この記事で言う北向きの間取りとは、主な採光のための開口部が「北側」にある住まいのことを指します。

 

たとえば、リビングなどのメインの居住空間が北側にあり、トイレや浴室、玄関といった居住空間以外のスペースが北側以外の方角にある住まいなどです。アパートやマンションでしたら、バルコニーやベランダなど一番大きな窓が北側にある物件ということになります。

 

日本では南向きの物件がもっとも人気が高く、次いで東向き、西向き、北向きの順となりますが、北向きの間取りには具体的にどんな欠点があるのでしょうか。逆に、北向きだからこそ得られる利点もあるはずです。デメリットとメリットの両方を知って、北向き間取りの特徴を押さえましょう。

 

ちなみに、北側が道路に面する住宅については別の記事でご紹介しているので、気になる人はチェックしてみてください。

 

参考記事:「北側道路の間取りをおすすめする3つの理由」 

エアコン

 

まずはデメリットです。主なものを5つピックアップしました。

北向きの窓には、東西南北のなかで唯一直射日光が差し込まないという大きな特徴があります。そのため他の方角と比べて確かに日当たりは悪く、湿気も帯びやすい環境です。光が入らないわけではありませんが、部屋のつくりによっては日中でも暗く感じることがあります。

 

日当たりは明るさだけではなく室温にも関係します。北向きの間取りは太陽光によって部屋が暖まりづらく、北風の影響もあり、冬は寒さを感じることが多いようです。早い時期から暖房器具が必要になったり、暖房を入れても暖まるまで時間がかかったりすることも。暖房代がかかりやすいといえます。

 

結露は主に温度差のある場所で生じる現象です。前述のように北側は冷えやすいですから、寒い日に部屋を暖めるとその温度差によって、外気との境界線である窓に結露ができることがあります。結露は放置すると住まいを傷め、カビの原因になってしまいます。

 

洗濯物は主に温度が高く、風通しが良い場所でよく乾きます。日照が少ない北向きのベランダは温度が上がりにくいため、秋・冬は乾きにくい傾向に。ただ、風通しは方角による差異はありません。あるとしたら部屋のつくりが関係しています。

 

住まいの方角は売却価格にも影響します。一般的に不動産は人気の高い物件ほど高額に設定されるため、人気の少ない北向き物件は他の方角の物件より低く見積もられがちです。売却価格は部屋の方角だけで決まるものではありませんが、マイナスポイントになり得えることは知っておきましょう。

家賃

 

続いて、メリットです。時期や立場が変わればデメリットがメリットになり、住み心地はぐんとアップします。

デメリットの項目で売却価格が低くなりがちと説明しましたが、逆の立場になれば安く借りられる・購入できるというメリットに変わります。家賃や購入金額を少しでも抑えたい人は北向き物件が穴場です。

 

北向きの間取りは直射日光によるクリアな明るさは期待できませんが、その分採光が一日を通してやわらかく安定しています。日当たりの良すぎる南向きは、夏場は常にカーテンを閉めていないと眩しくていられないということもあり、むしろ北向きより暗い部屋になることも。また、採光がやわらかいため、クロスや家具が日焼けしにくいというメリットもあります。

 

北向きの間取りは冬の寒さに注目されがちですが、夏の涼しさは大きなメリット。他の方角よりも室内温度が上がりにくいため、夏場はエアコンの効きがよく、冷房代を抑えやすくなります。寒さと暑さ、どちらに重きを置くかで好みが分かれるところです。

 

意外と盲点なのが北側以外の空間が明るいこと。特に南側は大きな窓を設けずとも光が入りやすいため、玄関や水回りなど南側に配置されたスペースも自然と明るい空間になります。そういった意味では、北向き間取りは南向きと比べ住居内での明暗差は少ないといえるかもしれません。

 

窓から景色を眺めたとき、樹木や花、空が美しく見えるのは北向きの窓です。南向きの場合は逆光になるうえ、太陽のほうに向かって伸びていく植物が背を向けた状態になってしまいます。一方、北側から見た植物は、たとえば花であれば家のほうを向いて咲いています。古くから日本家屋では、あえて北側に庭をつくる手法が用いられているほどです。

在宅ワーク

 

以上の特徴を踏まえ、北向きの間取りが向いている人をまとめました。

前述したように、家賃や購入金額を抑えたい人は北向きの物件がおすすめです。同じスペックの物件でも、北向きということだけで安く設定されていることがあります。想定よりグレードの高い部屋に住むこともできるでしょう。

 

日中家にいることが少ない人は、日当たりの悪さに左右されにくいといえます。たとえば、会社勤めの単身者や共働き夫婦、休日も外に出かけることが多い世帯は、北向き物件を検討してみる価値は大いにあります。

 

北向きの間取りは一日を通して採光が安定しているため、在宅ワーカーや家で勉強をする人にも適しています。パソコンの画面や手元が光に照らされて見えにくいといったことも少なく、作業に集中しやすいです。

 

また、小さなお子さんがいない世帯は、むしろ穏やかな光が期待できる北向きの間取りのほうが落ち着くケースもあります。

内見

 

北向きの物件でより快適に住むために、デメリットの対処法をご紹介していきます。

 

北向き間取りの欠点によるダメージを最小限に抑えるためには、物件選びの段階で精査することがコツ。物件選びの際には以下の点をチェックしてみましょう。

 

ポイント

  • 北側の窓の大きさが十分か
  • 周辺に日光を遮る建物がないか
  • 断熱性、気密性が高いか
  • 1階、最上階、角部屋以外の部屋にする
  • 窓を開けたとき風通しが良いか
  • 24時間換気システムがついているか

採光を確保するために、北側の窓の大きさと、日差しを遮る建物がないかをチェックします。道路に接近していてカーテンを開けにくい物件も避けたほうが無難です。また、洗濯物の乾きにくさは浴室乾燥機がついていれば解消されます。

 

寒さ対策として重要なのが、断熱性と気密性。木造より断熱性が高い鉄筋コンクリート(RC)構造の物件や、断熱材によって高気密・高断熱になっている物件、窓が二重サッシやペアガラスになっていたり床暖房がついていたりする物件であれば、冬場の寒さを軽減できます。

 

さらに、マンションであれば、1階は底冷えし、最上階や角部屋は外気の影響を受けやすいため、寒さを予防するのであればそれ以外の部屋のほうがおすすめです。

 

湿気を帯びやすい北向きの間取りでは、風通しの良さも重要です。窓やドアを開けたとき風の流れがあるか、または24時間換気システムがあるかをチェックしましょう。ちなみに、改正建築基準法が施行された2003年7月以降は、すべての建造物に24時間換気システムを設置することが義務付けられています。

 

採光、温度、湿度を確認するには、内見は午前、午後、夕方(日没後)の計3回行うのが理想です。

 

入居後に行える工夫もたくさんあります。まず、暗さ対策として有効なのが、壁紙やインテリアを明るい色にする、窓から入った光を鏡に反射させて明るくする、間接照明を上手に取り入れるなどの方法です。壁紙はシールのように貼がせるタイプもあるので、賃貸でも気軽にチャレンジできます。

 

寒さ対策としてまず工夫したい場所は、冷気を室内に伝える窓。断熱性のあるカーテンで隙間なく窓を覆い、上部の隙間はカーテンレールカバーを使うとよいでしょう。窓に断熱シートを貼るのも効果的で、これらは結露対策にもなります。

 

湿気対策は、こまめな換気がもっとも手軽で安価です。扇風機で空気の通気性を上げるのもおすすめ。空気清浄機や除湿機、エアコンのドライ機能も活用するとよいでしょう。

物件選び

 

北向きの間取りの特徴と対策について解説しました。北向きだからこそ得られる利点があり、それがどう暮らしに生きてくるかは住む人のライフスタイルに寄ります。これを機に、家でどんなふうに過ごしたいかあらためて考えてみると、理想の住まいに一歩近づけるのではないでしょうか。

 

また、住まいの住み心地は方角だけで決まるのではなく、周辺環境と部屋のつくりも大きく影響します。物件探しの際は、実際に自分の目で確かめてから判断することをおすすめします。

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