アパートやマンションなどの賃貸物件を契約する場合、ある程度のまとまった初期費用が必要となります。
細かな金額は、物件やエリアによって異なりますが、費用の内訳は共通しているものが多いため、物件を探す前に内容を理解しておくことが大切です。また、必要となる金額の目安を事前に知っておくことでスムーズな準備ができるようになるでしょう。
今回は賃貸物件を契約する際にかかる初期費用の内訳と相場、そしてできるだけ初期費用を抑えるための方法を紹介します。
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賃貸物件の契約にかかる初期費用の内訳

アパートやマンションなどの賃貸物件を契約する際、どのようなものが初期費用として必要となるのでしょうか。
◆一般的にかかる費用
まずは一般的にかかる費用から紹介します。もちろん物件によっては不要となる項目もありますが、物件探しをする際は基本的に必要になるものと考えておきましょう。
敷金
敷金はほとんどの賃貸物件で必要となるものです。アパートやマンションを退去する際の原状回復費用に充てられます。
また何かしらの理由で家賃の支払いを滞納してしまった場合、滞納した分の支払いとしても充てられるのが一般的です。物件をきれいに使用すれば、退去時にそのまま返金されます。
西日本では敷金ではなく、保証金と呼ばれることもあります。保証金は、退去時の修繕費用や家賃滞納に備えて、大家さんに預けておくお金です。目的は敷金と同じと捉えて問題ありません。
礼金
礼金は物件を所有する大家さんへ支払う、謝礼金のことを指します。謝礼金のため敷金とは異なり、退去時に返ってくることはありません。
また、関西や九州などの西日本では、礼金ではなく“敷引き”という名称が使われることがあります。大家さんへの謝礼金とは明確にされていませんが、ほぼ礼金と同じものと考えてよいでしょう。
仲介手数料
仲介手数料は、大家さんと入居者との間に入って、物件の紹介や案内、書類作成などをしてくれた不動産会社へ支払うものです。その金額は宅地建物取引業法で、家賃1ヶ月分(税別)までとなっています。
火災保険料
火災保険料を支払うことで、火事だけでなく水漏れなどで損壊・破壊の被害を受けた場合に補償を受けられます。また、落雷や台風、車の衝突なども補償対象になるものがありますので、プラン内容をよくチェックしておきましょう。
家賃(入居月の日割り家賃、前家賃)
物件に入居する際、当月分の家賃を日割りで支払わなければいけません。入居日から月末までの日数に応じて金額は変わってきます。また、翌月分の家賃を前家賃として支払う場合もあります。
鍵交換費用
鍵の交換費用はすでに設置してある鍵を新しいものに交換するときに発生します。交換する鍵の種類によって金額が異なり、特に防犯性が高いとされているディンプルキーでは、シンプルな構造のピンシリンダーよりも価格が高くなります。
◆物件によってかかる費用
物件によってかかる費用の内訳をそれぞれ確認していきましょう。
家賃保証会社の保証料
まずは保証会社への加入費用です。ほとんどの賃貸物件では契約をする際に、連帯保証人を立てなければいけませんが、なかには連帯保証人を立てられない人もいることでしょう。
そんなとき家賃保証会社を利用すれば連帯保証人を立てることなく契約ができます。料金は1万円~3万円、もしくは家賃の30%~100%が目安となります。
ハウスクリーニング代
物件退去時に清掃料金としてハウスクリーニング代が徴収されますが、入居時に敷金を支払っている場合、ハウスクリーニング代は敷金から充てられることとなります。
しかし、初期費用に敷金が含まれていない場合、または退去時の清掃料金に関わるトラブルを避けたいなどの場合に、初期費用としてハウスクリーニング代が徴収されることがあります。費用は部屋の広さによって異なります。
消毒費用
消毒費用とは、退去時に物件の消毒・消臭作業や害虫駆除作業に充てられる費用を指します。
ハウスクリーニングは居室やシンク、トイレや玄関といった物件全体をきれいに掃除するものですが、それに対して消毒は消毒液や消臭液、害虫駆除剤などを使った作業になります。
賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件賃貸物件の契約にかかる初期費用の相場

実際に賃貸物件を探す場合、どの程度の初期費用が必要となるのかを知っておくことは大切です。初期費用の内訳は物件によって異なりますが、目安としては家賃の5~6ヶ月分程度になります。
ここからは、初期費用の相場について紹介します。内訳で先に説明したとおり、必ずしもすべての項目の費用が必要になるわけではありません。物件によって初期費用は異なるため、参考程度に確認しておきましょう。
費用項目 | 費用の相場 | 家賃7万円の場合 | 家賃10万円の場合 |
敷金 | 家賃の0ヶ月~2ヶ月分 | 0円~14万円 | 0円~20万円 |
礼金 | 家賃の0ヶ月~2ヶ月分 | 0円~14万円 | 0円~20万円 |
仲介手数料 | 家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分+消費税 | 3万8,500円~7万7,000円 | 5万5,000円~11万円 |
火災保険料 | 1万5,000円~2万円 | 1万5,000円~2万円 | 1万5,000円~2万円 |
家賃 (入居月の日割り家賃、前家賃) | 入居月の日割り計算額+家賃1ヶ月分 | 日割り家賃:2,258円~7万円/前家賃:7万円 | 日割り家賃:3,226円~10万円/前家賃:10万円 |
鍵交換費用 | 1万円~2万円 | 1万円~2万円 | 1万円~2万円 |
家賃保証会社の保証料 | 1万円~3万円、もしくは家賃の30%~100% | 1万円~7万円 | 1万円~10万円 |
ハウスハウスクリーニング代(敷金が設定されていない場合) | 3万円~5万円 | 3万円~5万円 | 3万円~5万円 |
消毒費用 | 1万円~2万円 | 1万円~2万円 | 1万円~2万円 |
初期費用を抑える方法
引越しとなると荷物の搬入費用のほかに、人によっては新しく家電や家具などをそろえる必要も出てくることでしょう。
ここからは初期費用をできるだけ抑えるためにできる方法を紹介します。
敷金・礼金が安い物件を選ぶ
敷金・礼金がかからない物件を選ぶことで、初期費用を大きく抑えられます。最近では首都圏を中心に、必要となる敷金や礼金の額が少なかったり、そもそも敷金・礼金自体を設定していなかったりする物件も増えています。
仮に家賃10万円の物件で敷金・礼金が不要だとすると、合計で10万円~40万円もの初期費用が不要となるので見逃せませんが、代わりにハウスクリーニング代が入居時か退去時に請求されることもありますので、契約するときは注意しましょう。
不動産業界の閑散期を狙って物件を探す
不動産業界には繁忙期と閑散期があります。繁忙期とは毎年1月~4月のことであり、春の入学や就職、転勤などに向けて、多くの人が引越しをするため忙しくなります。
一方で毎年7月~8月は閑散期であり、ほかの時期と比べて賃貸物件を探す人は少ないのが特徴です。
不動産会社もじっくり対応してくれることが多いので、初期費用の安い物件が見つかる可能性も高まります。さらに家賃や初期費用の交渉に応じてくれる可能性もあるので、このシーズンに合わせて引越す人もいます。
仲介手数料が安い物件を選ぶ
仲介手数料が安い物件を選ぶのも、初期費用を抑えるための方法です。最近では仲介業務の効率化に伴って、仲介手数料を安く設定している不動産会社もあります。
また、仲介手数料自体を設定していない物件も存在します。特に不動産会社が所有している物件であれば、大家さんとの間に立つことがないため、仲介手数料を徴収する必要がなくなります。
フリーレント物件を選ぶ
フリーレント物件とは、入居をしてから一定の期間、家賃がかからない物件を指します。期間は物件によって異なり、1ヶ月~3ヶ月ほどが平均です。
なかには半年分などと設定されている物件もあるので、初期費用を大きく抑えることができるでしょう。ただし、規定された期間内に退去をする場合、違約金を徴収されるのが一般的です。
キャンペーンを行っている物件を選ぶ
不動産会社によっては、お得なキャンペーンを定期的に開催していることがあります。
通常は必要となる敷金と礼金がまったくかからなくなったり、仲介手数料が割引になったりするなど、その内容はさまざまです。このようなキャンペーンは期間限定の場合が多いため、こまめに情報をチェックするようにしましょう。
大家さんに値下げ交渉をする
交渉をすることで、初期費用を下げられることがあります。初期費用を下げてもらう代わりにすぐに契約をするという前提で、日割り家賃分をフリーレントにしてもらうなどの提案をしてみてもいいでしょう。
ただし、敷金は原状復帰や修繕にも充てられるものであるため、値下げ交渉は無理にしないほうが無難です。また、防犯の観点から鍵交換費用をカットすることもおすすめできません。状況に応じて判断していきましょう。
賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件そのほか、引越しでかかる費用も把握しておこう

入居する物件が見つかったら、次は引越しです。引越しにはどのような費用が必要となるのでしょうか。主なものを費用を抑える方法と一緒に紹介します。
引越し費用
引越し会社に依頼をする場合は、当然ながら引越し料金がかかってきますので、まずは複数の会社から見積もりを取りましょう。会社によって費用に差があります。インターネット上で一括見積もりができるので活用してください。
また、無理なスケジュールを組んで引越し費用が高額にならないように、引越し日が確定したらなるべく早く見積もりを取り、予約を入れましょう。また荷物を整理して、不用品を捨てることも大切です。運んでもらう荷物が少なければ、その分、安く抑えられます。
家具や家電の購入・設置費用
人によっては新しく家具や家電を買う必要も出てくることでしょう。テレビや冷蔵庫、洗濯機やテーブルなどを最初からすべてそろえるとなると大きな出費となります。
そのため、まずは必要最低限のものだけを購入して、実際に生活をスタートさせてから少しずつ必要なものを買い足していくようにしましょう。初期費用を抑えられるだけでなく、無駄な買い物をしなくて済みます。
また、リサイクルショップや地域の掲示板、フリマ・不用品交換サービスなどで探してみるのもおすすめです。
引越し料金の見積もりをする 家具付き・家電付きの物件まとめ
賃貸物件を契約する場合は一般的に敷金や礼金、仲介手数料、火災保険料などの初期費用が必要です。内訳は物件によって異なるものの、家賃の数ヶ月から半年分が相場と考えましょう。
また、なるべく費用を抑えたい場合は敷金・礼金なしの物件やフリーレント物件を探す、あるいは閑散期を狙う、大家さんと交渉をするなどの方法があります。上手に初期費用を抑えて、お気に入りの物件を見つけてください。
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