快適な物件探しをするうえでは、必要な部屋の広さを把握しておくことが大切です。
広さの条件を決めておくことで、自然と適した間取りタイプも絞り込まれてくるので、部屋探しがスムーズに進むでしょう。
今回は人数ごとに適した部屋の広さの目安など、住まいの広さに関して知っておきたいポイントを詳しく解説します。
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坪、平米、畳の広さの比較

建物の広さを表す単位には、さまざまなものがあります。中でも、現在の不動産表示で主に用いられるのは「坪」「平米」「畳」の3種類です。
坪、平米、畳はそれぞれ以下のような関係性を持っています。
坪 | 平米 | 畳 |
|---|---|---|
0.3坪 | 1平米 | 0.61畳 |
0.49坪 | 1.62平米 | 1畳 |
1坪 | 3.3平米 | 2.04畳 |
2坪 | 6.61平米 | 4.08畳 |
5坪 | 16.52平米 | 10.2畳 |
10坪 | 33.05平米 | 20.4畳 |
20坪 | 66.11平米 | 40.81畳 |
50坪 | 165.28平米 | 102.03畳 |
なお、畳のサイズは地域によっても異なり、京間や中京間、江戸間、団地間などのさまざまな種類があります。
ただ、不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」によれば、不動産広告における1畳の広さは「約1.62平米以上」と定義されているので、基本的にはこの基準をもとに計算するといいでしょう。
人数ごとの住まいの広さの目安

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では、居住人数に応じた必要な面積が2段階に分けて示されています。
居住面積水準の種類
- 最低居住面積水準:生活に最低限必要な面積
- 誘導居住面積水準:多様なライフスタイルに合わせたゆとりのある生活が送れる広さ
さらに、誘導居住面積水準は、都市部でのアパート・マンション生活を想定した「都市型」と、郊外での一戸建て生活を想定した「一般型」に分かれています。
これらの種類に応じて、世帯人数ごとに必要となる面積基準は以下のとおりです。
| 必要な面積(平米) | |||
|---|---|---|---|---|
1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | |
最低居住面積水準 | 25 | 30 | 40(35) | 50(45) |
誘導居住面積水準(都市型) | 40 | 55 | 75(65) | 95(85) |
誘導居住面積水準(一般型) | 55 | 75 | 100(87.5) | 125(112.5) |
※( )は3~5歳児が1名いる場合
実際に物件探しを行う際には、上記の表の広さを参考にしてみましょう。
一人暮らしなら25平米~40平米が目安
たとえば、一人暮らしで最低限の広さが必要なら最低居住面積水準の25平米、趣味やテレワークなどができるスペースのゆとりがほしい人は誘導居住面積水準(都市型)40平米を目安にしてみてください。
25平米は、ワンルームや1Kタイプの部屋が該当し、40平米は広めの1DKや1LDKの間取りとなることが多いでしょう。
ただし、最低居住面積水準とはいっても、一人暮らし向けの物件にはさらに小さい専有面積の部屋もあります。
居住面積水準はあくまでも目安なので、家賃を抑えたい人や立地条件を優先したい人は、より狭い物件にも目を向けてみましょう。
二人暮らしなら30平米~55平米が目安
住生活基本計画によれば、二人世帯で必要不可欠な面積水準は30平米と定められています。これは広めのワンルームや1DKタイプの間取りが多いでしょう。
また、豊かな住生活を送るための水準は55平米と定められており、広々とした1LDKや2DKの間取りが目安となります。
ファミリー層なら40平米~75平米が目安
両親と子ども1人の世帯の場合は、子どもの年齢によって適した広さの目安も変わります。3~5歳までであれば35平米~65平米、それ以上の年齢であれば40平米~75平米が目安です。
子どもの成長に合わせて、必要な部屋の広さも変化していくものの、小さいうちは無理に広い部屋を借りなくても十分であることが分かります。
3~5歳までの年齢であれば、必要な広さは二人暮らしの場合とそれほど大きく変わらないのです。
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部屋の広さをイメージするために、チェックすべきポイント

部屋の広さを具体的にイメージするためには、いくつか押さえておきたい項目があります。ここでは、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
専有面積と居住スペースの違いを意識する
専有面積とは、アパートやマンションなどの集合住宅における、一戸当たりの広さのことです。専有面積には玄関や室内の廊下、水回りなども含まれているので、基本的には室内全体の広さと考えて問題ありません。
先ほど紹介した「住生活基本計画における居住面積水準」も専有面積の目安を示しているので、玄関や水回りなどを含めた面積を想像するといいでしょう。
たとえば、一人暮らしに必要な広さは25平米とされており、これは畳数に換算すると「25平米÷1.62平米=約15畳」となります。
しかし、15畳はあくまでも室内全体の広さを指しており、15畳の居室があるわけではありません。
玄関や水回りのスペースを踏まえると、実際の居住スペースは6~8畳ほどになるので、室内全体の広さと居住スペースの広さは混同しないように気をつけましょう。
専有面積に含まれるものとそうでないものを把握する
専有面積は室内全体の広さを指す面積ではありますが、なかには計算に含まれない例外もあります。
具体的には以下のようなスペースが該当します。
専有面積に含まれないスペース
- バルコニー、ベランダ
- 専用庭
- ロフト(屋根裏部屋、小屋裏収納)
- 床下収納
- 配管スペース
- メーターボックス
- 玄関ポーチ
バルコニーやベランダ、専用庭は、災害などの緊急時には誰でも通れるようにしておく必要があるため、室内とは異なる「共用部分」として扱われます。
共用部分については専有面積には含まれないため、どれだけ広いバルコニーや専用庭があっても数字上の広さには違いが生まれません。
意外と知らないロフトや屋根裏部屋の取扱いについて
そのうえで、屋根裏のスペースについては、建築基準法で天井の高さや床面積の広さ、採光状態などが細かく定められています。
規定を超えない範囲のものはロフトと呼ばれ、「小屋裏物置等」として扱われるため、居室とは認められません。そのため、床下収納などと同様に専有面積には算入されないのです。
つまり、同じ専有面積の物件を比べたときには、ロフトがある部屋のほうが広く使えるということです。
ただ、なかには表記ミスでロフトも専有面積に含まれてしまっている場合もあるため、屋根裏スペースのある物件においては、念のために全体の広さを確認しておきましょう。
専有面積の計算方法は2種類ある

専有面積の計算方法には「内法(うちのり)面積」と「壁芯(へきしん)面積」の2種類があり、どちらを採用するかで少し広さに差が生まれます。
内法面積とは、壁の内側の部分だけを測った面積であり、実際に使える広さと考えて問題ありません。
一方、壁芯面積とは主に建築段階で使う面積であり、壁や柱の厚みの中心線から測った広さなので、実際よりもやや広く表示されます。
建築途中で購入者を募集することが多い新築マンションでは、建物の完成前に情報が公開されるため、この時点では内法面積を測ることができません。そのため、壁芯面積が使われるのが一般的です。
一方、賃貸物件では特別な事情がなければ内法面積が使われるので、それほど細かく意識しなくても大丈夫です。
中古マンションの購入などで正確な広さを知りたい場合は、不動産会社の担当者に確認すれば教えてもらうことができます。
同じ専有面積でも間取りによって使い勝手は異なる

同じ専有面積であっても、間取りタイプによって住み心地には大きな違いが生まれます。
たとえば、3人世帯の最低居住面積水準である40平米には、1LDKや2DKの物件が多いですが、なかにはまったく仕切りのないワンルームの物件もあります。
そのため、広さだけでなく、間取りタイプも意識しながら部屋探しを進めることが大切です。
また、特にマンションの場合は、梁にも注意が必要です。鉄筋コンクリート造のマンションでは、構造の関係から室内に太い梁が突き出ていることもあります。
梁は間取り図には記載されないため、実際に部屋に入ると、思っていた以上に圧迫感を覚えることがあります。
そのため、気になる部屋が見つかったときには、間取り図で広さをチェックするだけではなく、実際に内見して確かめましょう。
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まとめ

- 1坪は約3.3平米、1畳は約1.62平米だが、地域によって畳のサイズに違いがある
- 生活に適した面積は、最低居住面積水準と誘導居住面積水準から考えてみるのもひとつの方法
- 一人暮らしの最低居住面積水準は25平米だが、実際にはそれより狭い一人暮らし向けの物件も多くある
- 専有面積に関するさまざまなルールを把握しておこう
- 梁などの関係から実際より圧迫感のある部屋もあるので、気になる物件は必ず内見しよう
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更新日: / 公開日:2020.08.07










