マンションの居住トラブル第1位「生活音の問題」

マンショントラブルの半数近くが生活音に関すること

 

国土交通省が2018年度に調査した結果（※）によると、マンションの居住トラブルの半数以上の55.9％を占めるのが「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」となっています。

 

そして、そのなかでも38％ともっとも大きな原因を占めるのは、生活音に関するものです。

 

具体的には子どもの騒ぎ声や楽器の演奏、深夜や早朝の大きな音などが原因として挙げられます。そのため、騒音トラブルへの対策が、近隣との良好な関係を育む第一歩だといえるのです。

 

※平成30年度マンション総合調査結果 ／ 国土交通省（http://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf）

「入居前」に騒音トラブルを避ける方法

 

掃除機をかける音や足音など、生活音は気をつけていてもなかなか抑えるのが難しいものです。

 

騒音が生まれる原因には、建物の構造や立地が影響する場合もあるため、物件探しの段階で意識しておくことが大切となります。

 

後々の騒音問題を避けるために、入居前に押さえるべきポイントを見ていきましょう。

防音性の高いRC造やSRC造の物件を選ぶ

 

鉄筋コンクリート造（RC造）や鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）の物件は、木造や鉄骨造のものと比べて防音性が高い構造になっています。不動産会社に「閑静な部屋」という条件を伝えておくと、そうした物件を紹介してもらえる可能性が高いです。

 

また、内見のときには、自分で防音性を確かめることもできます。簡単に試せるのは、部屋の中心で手を叩いてみる方法です。

 

反響音がきちんと聞こえてくるようであれば、高い防音性が期待できます。反対に、音が返ってこない場合には、隣の部屋へ抜けてしまっている可能性があるのです。

 

部屋の防音性を確かめるためには、窓の構造や取り付けにも目を向けてみましょう。窓とサッシの間に隙間があれば、そこから音が漏れてしまうこともあります。

室内だけではなく室外の環境にも目を向けておく

 

内見のときに意外と見落としてしまいがちなのが、室外の環境に関するポイントです。廊下を歩く音や階段を上り下りする音などが響くこともあるため、内見のタイミングで室外の音の聞こえ具合を確かめておきましょう。

 

また、静かな生活を送るためには、住居周辺の環境にも目を配ることも大切です。学校や駅などの人が集まりやすい場所や、交通量の多い幹線道路の近くは騒音が気になることもあります。

 

線路や踏切の近くも定期的に大きな音がしてしまうため注意が必要です。ただ、線路沿いの物件などは、遮音性の高い窓が使われていることもあるため、内見の際に不動産会社へ確認してみましょう。

角部屋の物件 鉄筋コンクリート造の物件

「入居後」の騒音トラブル予防法

 

すでにマンションへ入居している人でも、ちょっとした工夫次第で騒音トラブルを未然に防ぐことが可能です。自分で行える簡単な騒音対策を見てみましょう。

家具の配置を工夫してみる

 

家具の置き方を少し変えるだけで、防音性が高まることがあります。生活空間が隣の部屋と近いほどお互いの騒音が伝わりやすくなってしまうため、隣の部屋からの音が気になるという場合は、ソファやベッドなどの家具は壁から離して設置することが大切です。

 

壁際に本棚などの背の高い家具を設置すると、双方の生活音をある程度遮断することができます。壁から抜けてしまう音を家具が吸収してくれるのです。

 

また、床下への騒音を避けるために、フローリングの上にカーペットを敷いてみましょう。厚手で毛足の長いものを選んだり、床との間に防音用マットを敷いたりすると、防音性がより高まります。

 

窓の防音対策としては、防音シートを貼ったり、サッシとの隙間をテープで埋めたりするのが手軽な方法です。それでも生活音が気になる場合には、防音カーテンを取り入れてみることで、より高い防音性が期待できます。

近隣へのあいさつがトラブル回避の大きなカギ

 

原始的な方法ではありますが、きちんと近隣へのあいさつを行うこともトラブルを避けるうえで重要なカギとなります。騒音トラブルといっても、感情的な要因が関係しているものもあるため、日頃から信頼関係を築いておくことが大切です。

 

お互いの顔がしっかりと見えていることで、多少の生活音に対する不快感は和らぎます。そのため、音が伝わりやすい上下階や両隣の人との関係は、普段から大事にしておきましょう。

 

また、子どもが生まれたり、新しくペットを飼ったりした場合には、一緒にあいさつへ回ることもおすすめです。原因の見えない騒音よりも、はっきりと理由の分かる生活音であれば、周囲にも理解してもらえる可能性が高まります。

まとめ：騒音問題の理解を深めて静かな生活を実現させよう

• マンションで起こる住居トラブルの主な原因は生活音の問題
• 鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の物件は比較的に防音性が高い
• 内見のタイミングでは、室内だけでなく室外の環境にも目を向けておく
• 家具の配置を変えたり防音グッズを導入したりすることで防音性を高められることも
• 近隣との関係性向上も騒音トラブル回避の重要なカギ

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