お部屋を新しく借りるときには「敷金」と「礼金」を支払うのが一般的です。どちらも家賃の1ヶ月から2ヶ月分くらいを支払うのが普通ですが、最近は敷金礼金ゼロの賃貸マンションも珍しくありません。初期費用が抑えられるのはありがたいことですが、敷金礼金がゼロだと、その後別途費用が発生するのではないかと不安になる方もいるのではないでしょうか。

そんな疑問を解決するため、今回は敷金や礼金が何のためにあるのか、法律上の定義はどのようになっているのか、また敷金と礼金の相場はどれくらいなのかを算出してみます。
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敷金・礼金とは、ともに新しい賃貸借契約を結んだときに初期費用として大家さんに納めるお金のことです。たいていの場合は不動産会社などの仲介会社を介して支払うケースが多いです。この2つは不動産業界の中でながく慣習となっていました。

 

しかし、2017年に120年ぶりの民法改正法案が可決・成立し、その中で不動産に関するルールも明確になりました。「敷金」の定義がなされたこともその一つです。同時に敷金のルールと「原状回復」についても細かく明文化されました(※法律の施行は2020年4月1日からです)。

 

改正後の民法による敷金の定義は、以下の通りです。
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」
引用:改正民法第622の2

 

つまり敷金とは「担保」のようなもので、賃貸物件を借りた人がなんらかの事情で家賃を滞納してしまった場合に、大家さんは支払い済みの敷金を使ってその分を補填できるのです。もちろん、そのような事態が起こらず、退去するまで家賃をきっちりと支払うことができた場合、基本敷金は返還されることになります。

 

ではそれ以外の場合、敷金は何に使われるのでしょうか? その答えが、これまでトラブルも生んできた「原状回復」です。原状回復とは、退去した後に賃貸物件を次の入居者が入れるような状態に戻すことです。ハウスクリーニングや壁紙の張り替えなどがこれにあたります。

 

新しい民法では、この「原状回復」をする際に賃貸人が負担するのは”賃借人が部屋を借りた後に生じた損耗(ただし経年劣化や普通の生活でついた小さな傷を除く)”であると定義されました。つまり、入居後に畳やフローリングに大きな傷をつけてしまった場合は、その交換費用は賃借人の負担となり敷金から引かれることになりますが、特に大きな損耗がなく日焼けや小さな傷がある程度であれば、その交換費用は大家さんが負担することになります。
この原状回復に関する細かい取り決めは国土交通省の「原状回復をめぐるガイドライン」に書かれています。

 

一方で、礼金は未だに民法上で明確な定義はありません。名前の通り、大家さんへのお礼の気持ちとして渡すお金として以前からあった慣習が残っているものなのですが、たいていが家賃の1ヶ月分ほどなのでなかなか大きい金額になってしまいます。最近は礼金なしの物件も増えてきています。

 

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敷金・礼金の相場は地域や物件によって様々です。目安として、敷金は家賃の1~2ヶ月分、礼金は家賃の1~2ヶ月分と考えておきましょう。

 

引越し代だけでなく敷金・礼金や前払い分の家賃2ヶ月分などを合わせると、初期費用として家賃の5ヶ月分を支払わなければならないケースも珍しくはありません。

 

そんな中、敷金と礼金がゼロの物件も近年増えてきています。ただし、その場合は退去時にハウスクリーニング代などを支払う必要があるケースが多いようです。前述したように「原状回復」にかかるお金は(賃借人の過失によるものであった場合)部屋を借りた人が支払う義務があるので、多少なりとも退去時にお金が出ていくと考えた方が良さそうです。

 

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関東では原状回復次第ではありますが、基本的に返ってくる「敷金」と返ってこない「礼金」があるように、関西では入居時に支払うお金のことを「保証金」と「敷引き」と呼ぶ風習があります。

 

保証金は敷金とほとんど同じ定義で退去後に部屋の清掃などに使ったお金をそこから引いて残りを返還する仕組みになっています。一方敷引きは、保証金の中から “必ず引かれて返還されない” お金のことを指します。そのため、関西の「保証金」は関東の敷金と礼金を合わせたようなものなので高額に設定されていることが多いようです。

 

最近は敷金・礼金制度が関西でも一般的になってきて、この保証金の制度を採用していない賃貸マンションもかなり増えてきました。礼金は1~2ヶ月分が相場なので、関東と比べると高額に思われるかもしれませんが、オーナーの代替わりにともなって敷金・礼金が低い物件が増加することも見込まれます。

 

東京や大阪の賃貸マンションでも駅から遠いなどの理由であまり人気がない物件の場合、敷金や礼金が控えめに設定してあることが多いようです。大家さんにとっても空室の状態が続くのは望ましくないと思うので、初期費用を抑えて入居してもらいやすくしているようです。

 

また、地域によっては部屋の更新料にも差があります。
更新料とは借りている部屋の賃貸借契約期間が満了したときに期間を更新した場合に支払いが発生する金額です。
国土交通省が2007年に実施した調査では、地域別の更新料を徴収する割合は以下のようになっています。

神奈川県90.1%
千葉県82.9%
東京都65.0%
埼玉県61.6%
京都府55.1%
愛知県40.6%
沖縄県40.4%

更新料の有無については契約時の賃貸借契約書にも記載があるため、事前に確認するようにしましょう。

 

 

新生活を始めるにあたってなるべく抑えたい初期費用の問題について考えてみました。民法の改正によって敷金の定義やルールが明確になりました。退去時のトラブルを減らせる可能性もあるので、引越しを考えている方は改めて細かいルールを確認しておくことをおすすめします。後からトラブルにならないよう、契約の前に説明される重要事項説明書に記載された内容や賃貸借契約書の内容をよく読んで理解しておくようにしましょう。

 

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更新日: / 公開日:2019.01.08