- 賃貸借契約書は合意の証拠で重要事項説明書は物件の解説書
- 賃貸借契約書は大家さんと結ぶ契約の法的証拠であり、家賃や退去条件などが記載されます。一方、重要事項説明書は物件の設備やルールを契約前に理解するための解説書です。役割が異なるため、双方の記載内容を事前に確認することが大切です。
詳しくは、「賃貸借契約書と重要事項説明書の違いについて」をご覧ください。 - 設備の記載漏れは故障時の自己負担リスクになる
- 重要事項説明書に「設備」として記載されているエアコン等は、故障時に大家さん負担で修理できます。記載がない場合は前入居者の「残置物」とみなされ、修理費や撤去費が自己負担になる恐れがあるため、事前に記載の有無を確認しましょう。
詳しくは、「室内設備について」をご覧ください。 - 契約日の3〜7日前までに書類の写しを事前請求する
- 契約当日に焦ってサインするのを防ぐため、事前に不動産会社へ賃貸借契約書と重要事項説明書の写し(ドラフト)を請求しましょう。落ち着いて内容を読み込み、募集図面との相違や疑問点を事前に確認・解消しておくことがトラブル防止の鍵です。
詳しくは、「契約日の3〜7日前までに「書類の写し」をもらう」をご覧ください。
お部屋探しをして気に入った賃貸物件が見つかったら、いよいよ賃貸借契約を結びます。
契約時に交付される「賃貸借契約書」や「重要事項説明書」にはさまざまなことが記載されているため、ポイントを見落としてしまいがちです。
そこで今回は、賃貸借契約において重要となる「賃貸借契約書」と「重要事項説明書」の2つの書類の見るべきポイントについて、解説していきます。
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賃貸借契約書とは?

賃貸借契約書とは、大家さんから物件を借りる際に締結する、合意の証拠となる契約書のことです。ここには家賃や契約期間、退去時のルールなど、入居から退去までの細かな約束事が記載されているため、しっかりと目を通した上で署名捺印を行いましょう。
2020年4月施行の改正民法により、敷金の返還や原状回復(通常損耗や経年劣化は大家さん負担など)の基本ルールが明文化されました。しかし、それでも契約書に書かれている特約が優先されるケースがあるため、以下のポイントを必ず確認してください。
物件名称と所在地について
賃貸借契約書の最初に書かれているのが、これから契約する物件名と住所、号室です。募集図面や重要事項説明書の記載と完全に一致しているかを確認しましょう。まれに不動産会社が別の号室の契約書を取り違えて作成しているトラブルもあります。
また、物件名と住所は、引越し業者の手配や電気・ガス・水道の開通手続きで必ず必要になります。契約書を受け取ったらすぐにスマートフォンのメモ機能などに登録しておくと、いざというときに役立ちます。
家賃と管理費などについて
記載されている家賃や管理費(共益費)が、募集図面に書かれている金額や、不動産会社と合意した金額と同じであるかを確認します。
特に入居前の交渉で家賃を値引きしてもらった場合、その情報が契約書に正しく反映されているかのチェックは必須です。管理費や共益費が家賃と別になっている場合は、毎月の合計支払額が予算内に収まっているかどうかも改めて確認してください。
家賃の支払い方法
銀行振込、口座引き落とし、大家さんに手渡しなど、毎月どのような方法でいつまでに家賃を支払うのかを確認します。銀行振込の場合、振込手数料は大家さんと自分のどちらが負担するのかも見ておきましょう。
口座引き落としを選ぶ場合でも、手続きが完了するまでの初回から数ヶ月分は、指定口座への直接振込みを指定されることが多くあります。「最初の家賃から支払いが遅れてしまった」という事態を防ぐため、初回の支払い手順は念入りに確認が必要です。
退去予告期間について
退去する際、大家さんや管理会社へ何ヶ月前に解約通知を出さなければならないか(解約予告期間)は非常に重要です。「退去の1ヶ月前通知」が一般的ですが、物件によっては「2ヶ月前通知」となっていることもあります。
たとえば家賃8万円の物件で2ヶ月前通知の場合、急な引越しが決まっても最低16万円の家賃支払い義務が残るため、費用負担に大きな差が生じます。また、入居から1年未満などの短期間で解約した場合に「家賃の1ヶ月分」などの違約金が発生する特約が設定されていないかも、必ずチェックしてください。
契約時の不安を減らすには、信頼できる不動産会社とたくさんの選択肢から物件を探すことが大切です。まずは希望の条件でどんな物件があるかチェックしてみましょう。
賃貸物件を探す重要事項説明書とは

賃貸借契約を締結する前に提示されるもう一つの書類が「重要事項説明書(重説)」です。
賃貸借契約書が「大家さんとの約束(契約)」であるのに対し、重要事項説明書は、これから借りる物件の設備やルール、周辺環境などを記載した「取扱説明書」のような書類のことを指します。
宅地建物取引業法では、賃貸借契約を締結する前に、「宅地建物取引士」という専門家が借主に対して重要事項を説明することが義務付けられています。説明の際には、担当者が「宅地建物取引士証」を提示してから行う決まりになっているため、必ず確認しましょう。
大家さんの情報
物件の所有者(大家さん)が誰で、どこに住んでいるのかが記載されています。ここで特に確認すべきなのは、大家さんの情報だけでなく、水漏れなどの緊急時や入居中のトラブル時に「どこへ連絡すればよいか(管理会社や管理窓口の連絡先)」です。
大家さんが直接管理している物件と、管理会社に委託している物件で窓口が変わるため、必ずメモしておきましょう。
室内設備について
重要事項説明書の中で最もトラブルになりやすいのが「室内設備」に関する項目です。ここに「設備」として記載されているエアコンや給湯器などは、万が一自然に故障した際、大家さんの費用負担で修理・交換してもらうことができます。
一方で、内見時には部屋にエアコンが設置されていたのに、重要事項説明書に記載がない場合は、前入居者が置いていった「残置物」である可能性が高いです。残置物は設備ではないため、故障時の修理代や撤去費用が借主の実費負担になることがあります。
「あるはずの設備が記載されていない」と気づいた場合は、そのまま署名せず、不動産会社へ大家さん負担の「設備」に変更できないか交渉してみることをおすすめします。
利用上のルールや禁止事項
ペットの飼育、楽器の演奏、石油ストーブの使用、単身用物件での二人入居など、物件ごとに定められた禁止事項が記載されています。
「小型犬ならこっそり飼っても大丈夫だろう」と禁止事項を破ると、契約違反として退去を求められたり、多額の修繕費用を請求されたりする原因となります。自分のライフスタイルとルールが合致しているか、しっかり確認してください。
賃貸借契約書と重要事項説明書の違いについて

ここで、2つの書類の違いを分かりやすく整理しておきましょう。
重要事項説明書は、「これから契約する物件にはこのような設備やルール、リスクがあります」と事前に説明し、借主が本当に契約して問題ないかを最終判断するための書類です。そのため、宅建業法上、必ず「賃貸借契約を結ぶ前」に提示・説明されなければなりません。
一方、賃貸借契約書は、「重要事項説明の内容に納得した上で、大家さんと合意しました」という証拠を残すための書類です。後で家賃や退去時の特約など、諸条件で相違が生じないようにすることを目的としています。
つまり、手続きの順番は「1. 重要事項説明書で内容を理解する」→「2. 納得できたら賃貸借契約書に署名捺印する」となります。2つの書類には共通する記載も多いですが、「契約前に理解するための取扱説明書(重説)」と「合意の証拠(契約書)」という役割の違いがあることを覚えておきましょう。
どちらの書類も必ず確認してから署名捺印を

賃貸借契約書も重要事項説明書も、専門用語が多く記載されており、その場ですべてを読み込んで理解するにはある程度の時間が必要です。「専門家が説明しているから大丈夫だろう」と出された書類にすぐ署名捺印をしてしまうと、後で思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
契約日の3〜7日前までに「書類の写し」をもらう
当日焦って契約することを防ぐための最も有効な方法は、契約日の3〜7日前までに不動産会社へ連絡し、「事前に目を通しておきたいので、重要事項説明書と賃貸借契約書のドラフト(写し・PDFなど)をメールで送ってください」と依頼することです。
事前に自宅でゆっくり読むことができれば、募集図面の条件と違う点や、理解できない特約など、疑問点を箇条書きでまとめておくことができます。
自宅から受けられる「IT重説(オンライン説明)」のポイント
近年は、スマートフォンやパソコンのビデオ通話を利用して、自宅にいながら重要事項説明を受けられる「IT重説」も普及しています。遠方への引越しや、仕事で店舗に行く時間が取れない場合に非常に便利です。
IT重説を受ける場合、事前に重要事項説明書などの必要書類が自宅に郵送されてきます。手元に書類がある状態で担当者からの説明を聞き、不明点があればその場で画面越しに質問して解消しましょう。
疑問点がある場合の不動産会社への質問テクニック
書類を読んで少しでも「よく分からない」と感じる項目があったら、必ず署名する前に質問してください。
「この特約にある『ハウスクリーニング代』は退去時に必ず私が払うということですか?」「残置物のエアコンが壊れたら修理代はどちらの負担ですか?」など、具体的な事例を挙げて質問すると、不動産会社も明確に回答しやすくなります。すべてに納得できてから、安心して契約手続きを進めましょう。
・賃貸借契約書は、大家さんから物件を借りた「証拠」として作成する書類
・重要事項説明書は、賃貸借契約を安心して締結するための、物件の「取扱説明書」のような書類
・手続きの順番は「重要事項説明が先、契約が後」
・契約の数日前までにそれぞれの書類の写し(ドラフト)をもらって、事前に読んでから契約に臨むことがベスト
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【よくある質問(FAQ)】
Q.1 賃貸借契約書と重要事項説明書の内容が違う場合はどうなりますか?
A.1 基本的には賃貸借契約書の内容が優先されることが多いですが、のちのちのトラブルの原因になります。金額や退去時の条件などに食い違いを見つけた場合は、署名捺印する前に必ず不動産会社へ確認し、正しい内容に修正してもらいましょう。
Q.2 重要事項説明を省略して、すぐに契約だけ結ぶことはできますか?
A.2 できません。宅地建物取引業法により、不動産会社(宅地建物取引士)は賃貸借契約を結ぶ前に、必ず借主に対して重要事項説明を行うことが義務付けられています。説明の省略は法令違反となります。
Q.3 退去時のトラブルを防ぐために、契約書で特に見るべきポイントはどこですか?
A.3 「退去予告期間(何ヶ月前に解約を知らせるか)」「短期解約時の違約金の有無」「退去時の原状回復やクリーニング費用の負担範囲(特約)」の3点です。これらは退去時の出費に直結するため、入念に確認してください。
更新日: / 公開日:2018.09.18









