賃貸物件に住んでいると、定期的に「更新」が行われます。
更新時期の2、3ヶ月前くらいになると、不動産会社から更新通知が届くことになります。
地域によっては、1ヶ月分の家賃と同じくらいの費用を納めないと更新ができないこともあるため、これを機に家賃の安い部屋に引越してしまおうかと考える人もいることでしょう。
しかし、更新するか引越すかは、かかる費用の総額を調べて冷静に検討したいところです。
では、更新と引越しはどちらの方が費用がかからないのか、比較検討してみましょう。
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更新の通知が届いた! 更新する? それとも引越す?
賃貸物件の更新とは、賃貸借契約を更新することを意味します。今の部屋にそのまま住み続けたい場合は、契約の更新が必要です。
更新時は、家賃や入居条件の変更など、契約内容を再検討する機会ともなります。
大家さんにとっては、問題の多い入居者の契約内容を見直す良い機会となるのも更新時です。
一方入居者にとっては、今の部屋に住み続けるか引越しするかを検討するタイミングともなるでしょう。

賃貸物件の更新の頻度・手続き・費用は?
一般的に、賃貸物件は2年に1度更新されます。
2年でなければならないという法律はないので、日本に定着している習慣のひとつと言えるでしょう。まれに、毎年更新がある物件もあります。
更新手続きは、今住んでいる物件を管理している不動産会社で行うのが一般的です。
基本的に必要なものは、不動産会社が指定した書類と印鑑です。
賃貸物件の更新時には、火災保険の更新も同時に行うことが多いため、2年分の火災保険料の支払いも必要です。
そして、更新料の支払いです。更新料の有無は地域で異なり、更新料のない地域もあります。更新料の支払いが一般的なのは関東地方で、中でも神奈川県は賃貸物件全体の9割(※)ほどで更新料の支払いが求められています。
更新料の相場は、更新後の家賃の1ヶ月分です。ここへ火災保険料と、場合によっては不動産会社へ支払う更新手数料が乗ってくるため、更新のタイミングにはまとまったお金を用意する必要が出てきます。
※ 国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」(平成19年6月)
引越しする場合の費用の詳細とは?

更新料が高いから引越そうかと考える場合は、引越しにかかる費用総額を試算してみましょう。
引越しの初期費用としてかかる費用をざっくりと説明すると、以下のようになります。
- 前家賃(翌月分の家賃を先払い)
- 日割家賃(当月分の家賃を日割りで支払い)
- 仲介手数料(家賃の半月分~1ヶ月分が相場)
- 保証会社利用料(家賃の半月分~1ヶ月分が相場)
- 火災保険料(約1万円~2万円が相場)
- 敷金(家賃の1ヶ月分~2ヶ月分が相場)
- 礼金(家賃の0ヶ月分~2ヶ月分が相場)
- クリーニング費用(1万円〜2万円が相場。退去時の場合もあり)
- カギ交換費用(1万円〜2万円が相場。退去時の場合もあり)
場合によってはこの他にも費用がかかることもありますが、たいていの場合は借りようとしている部屋の家賃の4~6ヶ月分に相当する額が、物件の初期費用として必要になるでしょう。
ただ、最近は敷金・礼金ゼロのいわゆる「ゼロゼロ物件」や、フリーレント期間があって初期費用が大幅に抑えられる物件も増えているので、初期費用が家賃の1~3ヶ月分で済んでしまうケースもあります。
引越そうとしている部屋の家賃や条件によっては、更新するより引越した方がお金がかからないこともあるので、ケースバイケースと言えるでしょう。
敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件 引越し料金の見積もりをする 新築一戸建てを探す更新か引越しか? かかる費用総額を比較してみよう

引き続き今の部屋で過ごす場合と、新しい部屋で過ごす場合、費用の総額はどのように変わるのでしょうか。
更新と引越し、それぞれで必要となる費用の項目は以下のとおりです。期間は、一般的な更新頻度である2年をベースにしています。
更新の場合
「更新料 +更新手数料 + 火災保険料 + 現在の家賃 × 24ヶ月」
更新する場合、更新月には一時的に出費が多くなるものの、その後は家賃の支払いだけになります。
引越しの場合
「初期費用 + 引越し会社の費用 + 退去時に精算する費用 + 新居の家賃×24ヶ月」
新しい部屋を契約するための初期費用や、今の部屋から新しい部屋へ荷物を運ぶ際の引越し会社費用、今の部屋の修繕費が敷金以上になった場合の費用がかかります。
引越し先の家賃が、今の部屋と同程度であれば、たいていの場合は更新よりも引越しの方がお金がかかります。
今より家賃の安い物件に引越す場合には、どちらがお得?
では、部屋の家賃を下げて引越す場合には、いまの部屋を更新するよりもお得になるのでしょうか。今回、現家賃が4万円~10万円の場合で下記のように費用の総額を比較してみました。
・1回の引越しにかかる費用を【新家賃の6ヶ月分】(引越し費用込)
・2年間居住する場合を上の表、4年間居住する場合を下の表
としています。白枠内の数字は、2年間・4年間それぞれで支払う必要のある総額(単位:万円)です。
| 選択肢 (2年間) | 現在の家賃 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4万円 | 5万円 | 6万円 | 7万円 | 8万円 | 9万円 | 10万円 | |
| (1)今の家を更新 | 102 | 127.5 | 153 | 178.5 | 204 | 229.5 | 255 |
| (2)5000円安い物件に引越す | 105 | 135 | 165 | 195 | 225 | 255 | 285 |
| (3)1万円安い物件に引越す | 90 | 120 | 150 | 180 | 210 | 240 | 270 |
| (4)2万円安い物件に引越す | 60 | 90 | 120 | 150 | 180 | 210 | 240 |
| 選択肢 (4年間) | 現在の家賃 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4万円 | 5万円 | 6万円 | 7万円 | 8万円 | 9万円 | 10万円 | |
| (5)今の家を更新 | 204 | 255 | 306 | 357 | 408 | 459 | 510 |
| (6)5000円安い物件に引越す | 194.25 | 249.75 | 305.25 | 360.75 | 416.25 | 471.75 | 527.25 |
| (7)1万円安い物件に引越す | 166.5 | 222 | 277.5 | 333 | 388.5 | 444 | 499.5 |
| (8)2万円安い物件に引越す | 111 | 166.5 | 222 | 277.5 | 333 | 388.5 | 444 |
(1)【更新費:1.5*X】+【向こう2年の家賃:24X】=25.5X
(2)【引越し代:6(X-0.5)】+【向こう2年の家賃:24(X-0.5)】=30(X-0.5)
(3)【引越し代:6(X-1)】+【向こう2年の家賃:24(X-1)】=30(X-1)
(4)【引越し代:6(X-2)】+【向こう2年の家賃:24(X-2)】=30(X-2)
(5)【更新費2回分:1.5*2*X】+【向こう4年の家賃:24X】48X=51X
(6)【引越し代:6(X-0.5)】+【向こう4年の家賃:48(X-0.5)】+【更新費0.5回分:0.5.5*(X-0.5)】=55.5(X-0.5)
(7)【引越し代:6(X-1)】+【向こう4年の家賃:48(X-1)】+【更新費1回分:1.5*(X-1)】=55.5(X-1)
(8)【引越し代:6(X-2)】+【向こう4年の家賃:48(X-2)】+【更新費1回分:1.5*(X-2)】=55.5(X-2)
もし、現在7万円の物件に住んでいる人が、引越した先に4年間住む予定で1万円安い6万円の物件を借りる場合、
7万円の物件を更新して4年住む場合の総支払額は、357万円
6万円の物件に引越して4年住む場合の総支払額は、333万円
となります。この場合、1万円安い物件に引越した方が4年間で考えると、24万円費用を抑えられる計算となります。
上記の表によると、現在の家賃が低い程、より低い家賃の部屋への引越しによって浮く費用が多くなる傾向があります。
また、2年間居住するより4年間居住することを考えている場合の方が、家賃の低い部屋に引越すことの恩恵を受けやすいでしょう。
反対に、現在の家賃によっては、家賃の低い部屋に引越したとしても、数千円安くなるだけで、かえって更新した方がお金がかからない場合もあります。
更新をする場合と引越しをする場合の費用総額の傾向がお分かりいただけたでしょうか。
ただし、実際の初期費用や更新の頻度などは物件ごとに異なります。引越したい物件がある場合には、実際の数字でシミュレーションしてみるといいでしょう。
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出費を抑えられるのは更新。場合によっては引越しの良い機会になる
更新料のこと以外に引越す理由がないのなら、今の部屋を更新する方が費用的な負担は少ないでしょう。
しかし、今の部屋に不満があったり、もっと家賃の安いところへ引越したいと常々思っていたのなら、更新料が発生する前に次の部屋を見つけて引越すことも検討するといいでしょう。
・更新には更新料・火災保険料・更新手数料が必要
・引越しには、初期費用・引越し会社への依頼費用・退去時の精算金が必要
・大幅に家賃の安い部屋へ引越すのでない限り、更新の方がお金がかからない
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更新日: / 公開日:2018.11.02










