賃貸物件を契約する際には、家賃が払えないなどのリスクに備えて、保証人を立てなければならないケースが多いです。

しかし、保証人は重たい責任を担う立場のため、気軽に頼めるものではありません。頼れる家族や親戚などがおらず、保証人をなかなか探せない場合には、保証人不要の賃貸物件が有力な選択肢となります。

今回は保証人不要の物件のメリット・デメリットと注意点を見ていきましょう。

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賃貸物件を借りるときに保証人が必要な理由

 

賃貸物件を借りるときには、きちんと家賃を払うことができるのか、契約者本人の勤務状況や収入について審査が行われます。

 

しかし、たとえ本人に十分な支払い能力があったとしても、借りている途中で収入が途絶えてしまうリスクはゼロとはいえません。

 

また、故意や過失で物件に大きな損害を与えてしまい、本人だけでは負いきれない損害賠償が生じる可能性もあります。そうした事態に備えて、物件の賃貸借契約においては、保証人が求められるのが一般的です。

 

なお、一般的には保証人と呼ばれることが多いですが、民法上から正確に表現するなら、賃貸における保証人は「連帯保証人」となります。

 

連帯保証人は単なる保証人とは違い、契約者本人と同等の義務を負う存在なので、責任はより重くなります。そのため、通常は両親や兄弟など、契約者本人と特に近しい間柄の相手が保証人となることが多いです。

源泉徴収票

 

賃貸借契約の保証人には、借主と同等の責任が生じるため、誰でもなれるわけではありません。物件を借りる前の段階で、借主本人と同じく保証人についても審査が行われるのです。

 

具体的な基準としては「安定的かつ継続的な収入がある」ことが挙げられます。また、定年などのリスクを考慮して、65歳以上は認めてもらえないケースがあるなど、年齢が基準になることもあります。

 

さらに、契約者本人以上に収入面の審査ハードルが高いケースも多いです。

 

保証人自身の生活費を払っても、なお契約者の家賃を立て替えられるだけの余裕が求められることから、収入に関する基準が高く設定される可能性も十分にあります。

 

なお、賃貸の保証人になるためには、入居審査時に収入証明の提出を求められます。

 

具体的には、会社員であれば「源泉徴収票」、自営業者であれば「確定申告書」をそれぞれ提出することが一般的です。

 

また、契約時には実印で保証人確約書に捺印しなければならないため、実印の印鑑証明書(発行3ヶ月以内)の提出が必要な場合もあります。

 

保証人不要の物件

保証人が不要とされる物件のパターン

 

保証人は重要な役割を持つため、不要とされる物件でも、何らかの形で保証が行われるケースが多いです。ここでは、保証人が不要とされる物件の仕組みを3つのパターンに分けて解説します。

 

もっとも多いケースは、保証人を立てる代わりに家賃保証会社を利用するというパターンです。

 

家賃保証会社とは、契約者が保証料を支払うことで、保証人の代わりとなって家賃滞納などのリスクに対応してくれる会社を指します。

 

個人が保証をする連帯保証人の仕組みと比べて、会社が保証をしてくれるという点で安心感があるため、物件の貸主側が保証会社の利用を必須としているケースも増えてきています。

 

それほど多いパターンではありませんが、物件の所有会社が提携しているクレジットカード会社を利用することで、保証人が不要になるというケースもあります。

 

物件の貸主からすれば、クレジットカードの仕組みを使って自動的に家賃が支払われるため、滞納リスクがないという安心感があります。

 

一方、借主にとっても、家賃の支払いによってクレジットカードのポイントがたまる点は大きなメリットです。

 

UR賃貸住宅とは、独立行政法人である都市再生機構(UR都市機構)が管理している賃貸物件のことです。独立行政法人が管理しているという点で、民間の賃貸住宅とはさまざまな違いがあります。

 

UR賃貸住宅では、入居者本人がきちんと入居資格をクリアしていれば、保証人を立てる必要がないのが特徴です。

 

ただし、入居にあたって収入や貯蓄などの条件があり、一般の賃貸物件と比べると審査のハードルが高い面もあります。

保証人不要な物件のメリット・デメリット

 

続いて、保証人が不要な物件の特徴について、メリットとデメリットの両面から見ていきましょう。

 

保証人不要のメリットは、やはり保証人を頼める間柄の相手がいない場合でも利用できる点にあります。

 

また、本来は保証人を頼める人にとっても、保証人が不要になることによって手続きのハードルが下がるというメリットがあります。

 

通常であれば、保証人に押印や印鑑証明書を発行してもらわなければならないため、離れて暮らす両親などに依頼する場合は書類のやりとりに時間や手間がかかってしまいます。

 

保証人不要の物件であれば、手続きを一元化できるため、負担は大幅に軽くなります。

 

デメリットとしては「保証会社の利用に費用がかかる」という点にあります。

 

保証会社の利用料は、物件の初期費用として敷金や礼金などとともに支払う必要があるため、入居コストがかさんでしまう点には注意が必要です。

 

また「保証人を不要にしなければならない何らかの理由があるかもしれない」という点にも注意が必要です。

 

たとえば、以下のようなケースでなかなか借り手が見つからない場合には、保証人を不要とすることで入居者を見つけやすくしている可能性もあります。

  • 立地条件が悪く、入居者が決まりにくい
  • すでに取り壊しを検討していて、長く居住することができない
  • 事故物件などの告知事項がある

ただし、前述したように、最近では取引の安全性が高いという点から、あえて保証人ではなく保証会社を利用するというケースも増えています。そのため、必ずしも条件が劣っているわけではありません。

 

気になるようであれば、不動産会社の担当者などに保証人不要とされている理由を尋ねてみるといいでしょう。

 

保証人不要の物件

保証会社を利用する際の注意点

 

保証人不要な物件では、ほとんどの場合で保証会社を利用することになります。そこで、保証会社の仕組みや注意点についても、きちんと把握しておくことが大切です。

 

最後に、保証会社利用時の注意点について見ていきましょう。

 

保証会社は家賃保証会社や賃貸保証会社とも呼ばれ、基本的には入居者が家賃を滞納してしまったときなどに、代わりとなって貸主へ支払う費用の立て替えを行う会社です。

 

保証会社によってカバーされる範囲としては、契約内容によっても異なりますが、主に以下のようなものが挙げられます。

ポイント

  • 家賃の滞納
  • 共益費や管理費の滞納
  • 更新料の滞納
  • ハウスクリーニング費用、鍵交換費用の未払い
  • 発生した違約金の滞納
  • 退去時の原状回復費用の発生

 

保証会社を利用するかどうかは、基本的に借主の方から選ぶことはできません。

 

どの会社を利用するかも含めて、決める権利は大家さんにあるため、すべての物件で保証会社を利用できるわけではないという点は理解しておきましょう。

 

そのため、保証人を用意するのが難しい人は、初めから「保証会社利用可」や「保証人不要」とされている物件に絞って探すのが近道といえます。

 

また、利用する際には保証料や更新料がかかる点にも注意が必要です。

 

具体的な金額としては、契約時に保証料として「家賃の0.5~1ヶ月分」程度、2年目以降は更新料として「年1万~2万円」を目安に支払うケースが多いです。

 

そのうえで、当然ながら保証会社を利用するとしても、家賃の滞納は禁物です。

 

万が一滞納によって費用を立て替えてもらった場合、そのお金には利息が発生してしまうので、本来よりも出費は大きくなってしまいます。何より、信用情報にも傷がついてしまうため、滞納や不払いがないように十分注意しましょう。

保証人不要の賃貸物件

 

  • 保証人(連帯保証人)には、物件の借主と同等の責任が発生する
  • 連帯保証人になるには、借主本人以上の収入が求められるケースもある
  • 保証会社の利用は多いため、仕組みや費用、注意点を理解しておくことが大切
  • 保証会社の利用については物件探しの段階で意識しておくことも重要

 

保証人不要の物件

保証人不要で借りられる物件は、保証人の代わりに家賃保証会社の利用を条件とすることで、家賃滞納などのリスクに備えているケースが多いです。あるいは、家賃の支払いをクレジットカード払いにすることで、保証人不要としている物件もあります。詳しくは保証人不要の賃貸物件のメリットとデメリットと保証会社の仕組みをご覧ください。

賃貸物件を借りる際に連帯保証人を見つけられないときは、「連帯保証人不要の物件を探す」「クレジットカード払いが可能な物件を探す」「家賃保証会社を利用できる物件を探す」などの方法があります。ただし、借主に一定以上の年収を求められたり、保証料などの支払いがあったりするため、事前に条件をチェックすることが大切です。詳しくは連帯保証人がいなくても家を借りられる? 対策と注意点を解説をご覧ください。

更新日: / 公開日:2017.01.17