以前の住宅金融公庫から融資を受けて建てられた賃貸住宅では、入居者や契約内容について一定の制限が設けられています。入居者側にとって比較的有利なものとなっていますが、その具体的な内容を知っておきましょう。
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住宅金融公庫物件とは?
住宅金融公庫は平成19年4月1日に独立行政法人住宅金融支援機構に生まれ変わっています。
現在も「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」の建設や購入などに対する融資をしていますが、住宅金融公庫時代には広く、賃貸住宅全般への建設資金などを貸し出していました。その融資によって建てられた賃貸住宅がいわゆる「住宅金融公庫物件」で、建物のエントランスなどにその旨の表示がされています。
賃貸経営をするオーナーに対して、民間金融機関よりも有利な融資をした代わりに、入居者の資格や賃貸契約書の内容などについて、一定の要件を設けています。住宅難の時代において、良質な住宅を国民に提供するといった国の政策に沿った制度だったためです。
住宅金融支援機構となった現在でも、平成19年3月31日までに旧公庫へ借入れを申し込んだものについては、引き続きその要件が適用されています。

住宅金融公庫物件の融資について
住宅金融公庫物件を借りる際のメリット
住宅金融公庫による賃貸住宅融資にもいくつか種類がありましたが、ここでは一般的な「ファミリー賃貸住宅融資」「単身・少人数世帯向け賃貸住宅融資」「レントハウスローン(20戸以上)」の場合における制限をみていくことにしましょう。
敷金は家賃の3か月分までとされ、権利金や礼金、更新料の受領は禁止されています。退去時における敷金の一定額の償却(敷引き)や、自然摩耗分を含めた原状回復費用を入居者に負担させることもできません。
さらに、家財保険などへの強制加入や退去時のハウスクリーニングの義務付けなど、入居者の不利となる負担を求めることも禁じられています。つまり、入居者が過大な負担を強いられることがないようにされているのです。
一般の賃貸住宅でトラブルの多い敷金の返還についても、明確な取り決めが必要とされます。ただし、一部の住宅金融公庫物件でこれらの制限が守られていない事例が、会計検査院によって指摘されているようです。
入居する際には契約内容をよく確認して、禁止された金銭の支払いなどがないか注意を払うことが必要です。また、毎月の家賃の上限額も定められていますが、一般的な賃料相場と変わらないため、住宅金融公庫物件なら安いというわけではありません。
なお、地方公共団体、地方公社、3年以上の営業実績のある宅地建物取引業者など一定の要件に該当する者が、住宅金融公庫物件を所有者から一括借上げして転貸(サブリース)をしている場合があります。このときでも賃貸借契約内容の制限などは同様に適用されます。
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住宅金融公庫物件を借りる際の制約条件
住宅金融公庫物件を借りる際の「入居者資格」として、現に住宅に困窮していること、家賃の支払いができること、日本国籍または外国人登録を受けていることの3つに該当しなければならないとされています。
所得金額などの制限はなく、「住宅に困窮していること」の判断基準も明確ではありませんが、マイホームを持つ人がセカンドハウスの用途で借りることなどはできないと考えるべきでしょう。
会社などの法人契約の場合には、法人と入居者との連名契約、もしくは入居者が連帯保証人となることが必要で、その入居者が退出するときには賃貸借契約が終了することになります。法人契約だからといって、入居者を別の社員と入れ替えたりすることはできません。
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更新日: / 公開日:2013.06.11









