内閣府の高齢社会白書によると、2014年の時点で総人口における65歳以上の高齢者の割合は26.0パーセント。日本人のおよそ4人に1人が高齢者(※)です。
歳をとっても家で快適に過ごす工夫のひとつが、住宅のバリアフリーリフォームです。では、具体的にはどのようなリフォームを行うのでしょうか。
※出典:第1節 高齢化の状況 平成27年版高齢社会白書(概要版)ー内閣府
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段差を解消して転倒防止
東京消防庁管内で、2015年に家庭内の事故で救急搬送された高齢者(65歳以上)はおよそ7万人。そのうちおよそ8割を占めているのが転倒事故です(※)。その多くが居間や寝室など、長い時間を過ごす場所で発生しています。
つまずきによる転倒を防ぐためには、部屋の境目や出入り口の段差を解消しましょう。床のかさ上げを行い高さをフラットにすれば、車いすでの移動もスムーズにできるようになります。段差部分にスロープを設置するだけの方法なら、DIYでも手軽に行えるのでおすすめです。
※出典:救急搬送データからみる高齢者の事故-東京消防庁

救急搬送された高齢者の8割が転倒事故
手すりの設置で歩行や立ち上がりを補助
手すりは歩行の際の手助けになるほか、トイレなどで座った姿勢から立ち上がる際に体重の支えになります。比較的簡単に行えるバリアフリーリフォームですが、手すりを固定したい位置に下地(壁の内側の柱)が無い場合は、補強工事が必要です。トイレや廊下などの比較的狭い空間では、手すりを設置したぶん動ける範囲が小さくなることも考慮しましょう。

手すりは、固定したい位置に補強工事が必要
物件を探す バリアフリー物件 無料でリフォームについてオンライン相談する開き戸を引き戸へ変更して動線をコンパクト化
一般的な「開き戸」のドアは扉が前後に動くため、開閉の際に大きな動作が必要です。開き戸を「引き戸」にリフォームすると、動線がコンパクトになるので負担を軽減できます。また、扉のすぐ前後から移動せずに開閉できるので、車いすでの利用にも適しています。さらに、上から吊り下げるタイプの引き戸なら、床部分のレールが無いので完全なフラット床にすることが可能です。
また、高齢者は握力が低下するため、小さな取っ手に指をかけたりノブを掴んで回転させたりという動作が難しくなります。ドアノブは大きく掴みやすいハンドルタイプに交換すると良いでしょう。ドアだけでなく、窓のサッシに取り付けるハンドルもあります。

開き戸は引き戸へ変更して導線をコンパクトに
トイレは夜間に利用しやすいように
高齢になると夜間の排尿の回数が増えるため、トイレはできるだけ寝室の近くに配置するのが望ましいです。廊下には暗がりでの転倒を防ぐために、足元を照らすセンサーライトなどを設置すると良いでしょう。便器の周囲を広く確保すると、介助する人が一緒に入る場合に便利です。
また、バケツ式のポータブルトイレに変わる新たな水洗トイレも登場しています。ポンプによって排泄物を粉砕して押し流す仕組みで、従来は難しかった「トイレの後付け」ができます。寝室の近くの部屋はもちろん、ベッドのすぐ横に水洗トイレを設置することも可能です。

トイレはできるだけ寝室の近くに配置を
物件を探す バリアフリー物件 無料でリフォームについてオンライン相談する浴室は滑らず、冷やさないように
お風呂は石けんのぬめりなどで滑りやすい場所です。手すりの設置や滑りにくい素材の床材へのリフォームで、転倒防止をしましょう。
また、またぎやすい浴槽の高さも重要です。高すぎはもちろんですが、低すぎるのも転倒の原因になるので、使用する人の体格に合わせたものを選びましょう。浴槽の横に一度腰掛けて、身体を方向転換しながら入浴できるタイプもおすすめです。
暖かい脱衣場と寒い浴室との大きな温度差によって血圧が急激に変化し、脳溢血や心筋梗塞・不整脈などの健康被害が起きることを「ヒートショック」といいます。最悪の場合は湯船での溺死にも繋がるので注意が必要です。浴室暖房を設置すると、ヒートショック対策になります。

またぎやすい浴槽の高さも重要
バリアフリーリフォームは柔軟に考えよう
誰もが歳を取るものですから、先手を打ったバリアフリー化を行いたいもの。ただ、あまりに先走ったリフォームは実際には全く役立たなかったり、かえって生活に支障をきたす要因になってしまうこともあるので注意が必要です。
手すりを例に挙げると、適当に選んだ手すりが太すぎて高齢者には握り辛い、設置した位置が手を掛けたい方向とは違う、やみくもに設置した結果、廊下が狭くなったなど、実際に使用して初めて気付くこともあります。
バリアフリーリフォームの難しさは、住む人それぞれに適した設備が異なることです。実際にどのような不便が生じているのかをきちんと見極める必要があります。手すりなど、後付けがしやすい設備は急いで設置しなくても良いでしょう。床の段差解消をする、廊下を広く確保する、手すりを設置しそうな場所の壁に下地を入れておくなど、いつでもバリアフリー化できるように下準備を行っておくのがおすすめです。

いつでもバリアフリー化できるように下準備を
物件を探す バリアフリー物件 無料でリフォームについてオンライン相談する更新日: / 公開日:2016.12.09









