LIFULL HOME'Sマーケットレポートとは
不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」で掲載された物件データおよび、ユーザーが不動産会社に問合せた物件(反響物件)データを月次で集計し、公開しています。エリア別の平均価格/賃料、平均面積、平均駅徒歩分数、平均築年数の詳細データはExcelデータをご覧ください。
※ 掲載賃料/価格は募集条件・売出価格、反響賃料/価格はユーザーが問合せた賃料/価格を示すものであり、成約賃料・成約価格とは異なります
Excelデータは下記から無料でダウンロードできます(2020年以降のデータ)
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首都圏シングルタイプ賃料は過去最大の上昇。「引越し控え」の動きも
2026年3月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)シングルタイプで9万9,690円(前年同月比+21.3%)、ファミリータイプで16万0,753円(同+16.7%)となり、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府)とともに2020年の集計開始以降の最高値を更新した。建築費高騰に伴う新築賃料の押し上げや、投資家の利回り確保を目的とした強気な募集賃料の設定などが背景にあると考えられ、特に首都圏シングルタイプの前年からの上昇率は集計開始以降で最大を記録している。
一方で、ユーザーの予算を示す反響賃料は、首都圏シングルタイプで8万0,730円(同-0.2%)、ファミリータイプで12万1,344円(同+0.3%)とほぼ横ばいとなっており、物価高による可処分所得の圧迫などを背景に、消費者が住まいにかけられる予算は市場賃料の上昇に追随できていない実態が浮き彫りになった。
賃料が上昇するなか、シングルタイプ、ファミリータイプともに東京23区の反響シェアが低下する一方で周辺3県(埼玉・千葉・神奈川)のシェアは増加している。また、首都圏外から流入する若年層のニーズが高いシングルタイプと比べて、ファミリータイプは反響数自体も漸減傾向にあり、住み替えを見送って現在の居住物件での更新を選択する層が増加するなど、特に近隣での住み替え需要が縮小している可能性がある。
ライフステージの変化などでどうしても転居が必要な場合は、都心部や人気沿線へのこだわりを少し緩め、急行停車駅の隣の駅といった「ずらし駅」や、郊外エリアへ選択肢を広げることで、予算内で希望の広さや設備を確保しやすくなるだろう。
首都圏で「中古億ション」の割合が前年比2.1倍に急増
2026年3月の中古マンション掲載価格は、首都圏シングルタイプ5,687万円(前年同月比+37.5%)、ファミリータイプ6,404万円(同+41.1%)となり、近畿圏とともに2020年の集計開始以降の最高値を更新した。しかし、ユーザーの購入希望価格に近いと考えられる反響価格(ユーザーが問合せた物件の価格)は、首都圏シングルタイプで2,889万円(同+6.3%)、ファミリータイプで3,954万円(同+5.4%)にとどまり、掲載価格との乖離が著しく拡大。金利の先高観や住宅ローンの借入限度額の壁により購買力の上限が顕在化している。
一方で市場の供給物件は高価格帯へシフトしており、首都圏ファミリータイプの掲載中古マンションにおける「億ション(掲載価格1億円以上のマンション)」の割合は前年比で2.1倍(6.4%→13.7%)に急増しているのに対し、多くの実需層が求める5,000万円未満の物件の割合は前年から10ポイント以上減少(76.5%→64.5%)しており、慢性的な品薄状態になっている。
築古化か郊外化を迫られる中古マンション市場
価格が高騰する東京23区の反響シェアは拡大しており、資産性を重視する富裕層やパワーカップルによる高額物件への関心が高いことに加え、都心居住にこだわる層が築年数を妥協することで予算の帳尻を合わせている(2026年3月の東京23区の反響築年数は前年の約32年から34年へ上昇)傾向も見て取れる。
一方で、埼玉県・千葉県では反響価格の上昇率が掲載価格を上回ったが、これらのエリアには築年数を妥協できない都内からの検討者が流入していると考えられる。この玉突き的な価格上昇により、本来郊外でマンション購入を検討していた層の一部は予算が届かず、結果として賃貸市場(郊外ファミリー賃貸)に滞留している可能性も考えられる。
マンション価格高騰・維持費の増加を避ける「一戸建てシフト」が定着
2026年3月の中古一戸建ての掲載価格は、首都圏3,994万円(前年同月比+10.5%)、近畿圏2,532万円(同+8.4%)となり、いずれも2020年の集計開始以降の最高値を更新したが、中古マンション価格と比べるとその上昇は限定的だ。マンションの価格高騰や管理費・修繕積立金の急激な値上がりに対する警戒感から、2024年頃から見られた中古一戸建てへの需要シフトは、現在も継続している。
LIFULL HOME'S総研が住宅取得意向のある人に希望の住宅種類を聞き、10年前と比較した調査(※)では、「リフォーム・リノベーション済みの中古一戸建て」と回答した人の伸びが最も大きくなっている。これは、工事費の高騰により購入後に自分で行うリフォーム費用の不確実性を嫌い、あらかじめ総予算が確定している物件が好まれていると考えられる。
今後もマンションとの価格の乖離拡大が継続すれば、実需層の一戸建てシフトはさらに進むと予測される。今後不動産事業者は、こうしたニーズの受け皿となるべく、従来の中古住宅のマイナスイメージの払拭が期待される「安心R住宅」制度の積極的な活用や、買取再販によるリノベーション済み一戸建ての供給強化など、購入から改修までをシームレスに提供する体制の充実が急がれるのではないだろうか。(分析:LIFULL HOMES'総研 渋谷雄大)
※ LIFULL HOME'S総研『STOCK&RENOVATION 2024』
調査概要
集計対象データ
2020年1月~2026年3月にLIFULL HOME'Sで登録・公開された居住用賃貸マンション・アパート、居住用中古区分マンション、居住用中古一戸建て
シングルタイプ:ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2K
ファミリータイプ:2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK~
LIFULL HOME'S 不動産データソリューションについて
不動産・住宅情報サービス『LIFULL HOME'S』で保有する大規模な不動産情報や外部データを、お客さまのご要望に沿って提供しています。不動産データの活用により、事業課題の解決や新たなビジネス機会の創出をサポートします。詳細は下記URLをご覧ください。
【関連リンク】LIFULL HOME'S 不動産データソリューション
分析担当
LIFULL HOME'S総研 渋谷 雄大(しぶや たけひろ)
2015年、株式会社LIFULLに新卒入社。LIFULL HOME'Sの営業として、賃貸マーケットを担当した後、 2020年よりLIFULL HOME'S PRESS編集部で最新の不動産市況を発信する「LIFULL HOME'Sマーケットレポート」などを担当。2025年よりLIFULL HOME'S総研 研究員を兼務。
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