静岡県といえば?

静岡県といえば、富士山があり、日本一のお茶の産地でもあり、豊富な源泉もあり熱海や伊豆や伊東など数々の温泉があって観光資源も豊富…など、いくつもその魅力が挙げられる。

実は静岡県にはあまり知られていない「日本一」もあり、静岡県ではホームページ「Myしずおか日本一」で紹介している。やはり…というものから、意外な? ものまで、掲載されている日本一は2021年3月12日時点で「272」件にのぼる。そこからいくつかピックアップしていこう。

富士山と静岡県富士市の大淵笹場富士山と静岡県富士市の大淵笹場

まぐろやさくらえび、お茶以外の農産物も豊富

温暖な気候を生かし、静岡県の茶園面積と収穫量は全国の約40%を占める。緑茶(仕上茶)の出荷量と出荷額日本一であり(2018年)、紅茶(仕上茶)も同様に出荷量・出荷額日本一(2018年)。さらに茶類の1世帯当たり年間支出金額(2人以上世帯、2020年)は、静岡市がトップの1万9,372円。

静岡県は駿河湾や遠州灘があり、お茶だけでなく漁業も盛ん。まぐろは主に焼津漁港や清水港で水揚げされており、冷凍まぐろの上場水揚量(2019年)は3,359トンと全国の84%を占める。それだけでなく、冷凍のびんなが、めばち、きはだ、めかじき、くろかわ類、かつおなども水揚量合計が日本一(2019年)。かつおやきはだは冷凍だけでなく漁獲量、産出額でも日本一である(2019年)。駿河湾の特産であるさくらえびも、漁獲量日本一ではあるが、残念なことに2017年は1,132トンだったのが2018年には312トン、2019は175トンと2018年以降漁獲量が大きく減少している。漁業者が自主操業規制を行うなど、貴重な水産資源を守るための対策を進めているという。

静岡県焼津市の焼津漁港。焼津港では主にかつおやまぐろが水揚げされている静岡県焼津市の焼津漁港。焼津港では主にかつおやまぐろが水揚げされている
静岡県焼津市の焼津漁港。焼津港では主にかつおやまぐろが水揚げされているさくらえびやしらすなどで有名な由比漁港

静岡県は魚やお茶以外にも、農林産物も豊富。果物では普通温州(うんしゅう)みかんの結果樹面積が3,750ヘクタールで日本一(2019年)、温室メロンは収穫量、作付面積、出荷量で日本一だ(2019年)。静岡県のアールス・フェボリットという品種は1925年にイギリスから種子が導入されたのが始まりで、以降長年の歴史と技術で生産が続けられている。

約400年前、静岡県の山間部でわさび栽培が発祥したこともあり、わさび産出額、水わさびの栽培面積・根茎生産量ともに日本一である(2018年・2019年)。わさびの加工品「わさび漬け」も有名だ。

静岡県はまぐろ類缶詰の生産量日本一でもあるのだが(2019年)、1929年に静岡県水産試験場(現在の静岡県水産・海洋技術研究所)が、まぐろ油漬缶詰(ツナ缶)を試作、輸出され、ニューヨーク市場で試販され好評を得たことにはじまる。かつお類缶詰の生産量も日本一(2019年)。

意外なところでは、チューブ入りマヨネーズ日本初の発売や日本初のインスタントコーヒー製造も静岡県。レトルト食品の出荷額も日本一で(2018年)、毎日食卓に並んでいる食品のうち静岡県でつくられたものは実は多いのかもしれない。

静岡県焼津市の焼津漁港。焼津港では主にかつおやまぐろが水揚げされている伊豆市の筏場のわさび田は「静岡県棚田等十選」に選ばれている

製紙、木材やプラモデル、ピアノなどものづくりの地場産業が活発

静岡県は東京や名古屋などの大消費地と近い立地環境を生かし、多彩な産業が集積し「産業のデパート」とも称される。2018年における静岡県の製造業の製造品出荷額等は17兆5,395億円で全国4位だ。

ものづくりでの日本一も多数ある。オートバイ産業発祥の地である浜松市には、1946年にホンダが創業、スズキやヤマハなど多くのオートバイメーカーが続けて誕生しそれ以降、関連企業も集積し二輪自動車・原動機付自転車の輸出量・輸出額ともに日本一だ(2019年)。オートバイは清水港や御前崎港から世界へ輸出されている。

浜松市はオートバイだけでなく、楽器メーカーのまちでもある。1887年、山葉寅楠(やまはとらくす)氏が浜松尋常小学校のオルガンの修理をしたことをきっかけに、1897年に日本楽器製造株式会社(現:ヤマハ株式会社)を設立。その後1900年からピアノの製造が開始され、ピアノの出荷量は全国比率100%、出荷量は3万5,153台、出荷額は188億3,200万円と日本一であり(2018年)、日本で唯一のピアノの生産地なのだ。ピアノの輸出量・輸出額、楽器の輸出額ともに日本一でもある(2018年)。

浜松市には日本で唯一の公立楽器博物館「浜松市楽器博物館」がある浜松市には日本で唯一の公立楽器博物館「浜松市楽器博物館」がある

1946年に設立した田宮商事合資会社(現:株式会社タミヤ)は、当初は一般建築材の加工販売を事業としていたが、木製模型専業メーカーとなり、その後木製模型からプラスチック模型に転換、ミニ四駆(R)など大ヒット商品を生み出した。2018年のプラスチックモデルキットの出荷額は226億7,000万円、全国に占める割合93%と日本一である。静岡県はプラモデルの聖地、模型の世界首都・静岡とも呼ばれ、毎年5月には、模型の新作見本市「静岡ホビーショー」が開催される。

それ以外にも、富士山麓先端健康産業集積(ファルマバレー)により医療関係の企業の集積が進み医療機器の生産金額日本一(2019年)や、古くから日本一の紙生産地であり製紙業が盛んで、パルプの輸入量、輸入額ともに日本一だ(2019年)。

静岡県のものづくりの歴史は江戸時代までさかのぼる。徳川家康が駿府城などの建築物を造るため全国から大工や彫刻などさまざまな技術者を呼び寄せ、その技術者らが定住し、木工や錦織物、製材や和紙などの技術が継承されたといわれている。

浜松市には日本で唯一の公立楽器博物館「浜松市楽器博物館」がある駿府城公園には晩年の家康公像がある

静岡県の世界文化遺産、富士山と韮山反射炉

冒頭でも触れたが、静岡県は有数の温泉地があり観光のまちでもある。温泉利用宿泊施設数は1,870と日本一、温泉利用宿泊施設の収容定員も日本一である(2018年)。日本一の高山であり2013年に世界遺産に登録された富士山、2015年に明治日本の産業革命遺産のひとつとして世界遺産に登録された韮山反射炉なども貴重な観光資源といえる。

それ以外にも日本一、いや世界一長い木造歩道橋と認定された蓬莱橋もある。島田市の蓬莱橋は1879年に牧之原台地の開墾のために架けられた。長さは897.4メートル、その長さに由来して、「やくなし8974」-厄が無いや、「長い木の橋」-長生きの橋などとも呼ばれご利益がありそうなスポットでもある。1997年に「木造歩道橋として世界一の長さ」であるとギネスに認定された。

静岡県伊豆の国市の韮山反射炉。実際に稼働した反射炉としては、国内で唯一現存するものだ静岡県伊豆の国市の韮山反射炉。実際に稼働した反射炉としては、国内で唯一現存するものだ
静岡県伊豆の国市の韮山反射炉。実際に稼働した反射炉としては、国内で唯一現存するものだ静岡県島田市の蓬莱橋

また、それ以外にも人道専用橋が全長400メートルと日本一である三島スカイウォーク(箱根西麓・三島大吊橋)や、レッサーパンダの風太くんで有名になった静岡市立日本平動物園には日本一長い長さ390メートルのローラースライダーもある。

いくつか静岡県の日本一をご紹介したが、それ以外にも「日本一早い朝食開始時刻」など、早起きな県民性が垣間見れるものもあった。静岡県についてもっと知りたいと思った人は、静岡県のホームページ「Myしずおか日本一」をチェックしてみると、新しい発見があるかもしれない。

静岡県の日本一「Myしずおか日本一」
http://www.pref.shizuoka.jp/j-no1/index.html

静岡県伊豆の国市の韮山反射炉。実際に稼働した反射炉としては、国内で唯一現存するものだ三島スカイウォークからは富士山が望める

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