住宅市場動向調査について読み解く

先月7月14日に国土交通省から発表された「平成25年度住宅市場動向調査について」。
この調査レポートは全383ページにわたり、昨年(H25年)の住宅の建設、購入、リフォーム等の実態把握・分析を行っている。レポート自体は今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的にしているが、住まい探しを考える私たちにも役に立つ情報が多い。複数回にわたり昨年の住宅市場動向のデータを見て、今後の住まい探しの際の参考にしてもらいたい。

今回は、それぞれの住まい取得者によって、どう“住まい選び”の着眼点が異なるかを探っていく。「住まい選びの選択理由」「中古住宅を選ばなかった理由、中古住宅を選んだ理由」を見ていこう。

注文住宅取得世帯だけ住まい選びの視点が違う?

住まい選びの選択理由について見てみよう。その住まいのどこが気に入って選んだのか?

【「設備等に関する選択理由」ベスト3】

□注文住宅取得世帯
→「高気密・高断熱住宅だから」54.2%、「間取り・部屋数が適当だから」47.6%、「住宅のデザインが気に入ったから」47.3%

□分譲戸建て住宅取得世帯
→「間取り・部屋数が適当だから」75.0%、「住宅の広さが十分だから」50.9%、「台所の設備・広さが十分だから」42.0%

□中古戸建住宅取得世帯
→「間取り・部屋数が適当だから」72.2%、「住宅の広さが十分だから」61.1%、「台所の設備・広さが十分だから」30.6%

□分譲マンション取得世帯
→「間取り・部屋数が適当だから」71.2%、「住宅の広さが十分だから」52.8%、「台所の設備・広さが十分だから」38.4%

□中古マンション取得世帯
→「間取り・部屋数が適当だから」65.4%、「住宅の広さが十分だから」61.5%、「住宅のデザインが気に入ったから」29.8%

注文住宅取得世帯とそれ以外の取得世帯の差が明確に出た結果になった。注文住宅は「高気密・高断熱住宅だから」という回答の割合が多かったが、他の住まい形態では回答の割合が低い。一方、注文住宅以外の取得世帯の回答は「間取り・部屋数が適当だから」という回答が多い。
注文住宅は設備や広さ、間取りなど自分達で選べるため他の住まい形態と“設備視点”が大きく違うと言える。

中古住宅を選ばなかった理由、中古住宅を選んだ理由

日本は“新築住宅”市場と言われて久しいが、最近は中古住宅を購入してリノベーションやリフォームを行い自分らしい住まい形成が行われているのは周知の通りだ。そんな現在の日本の住宅市場だが、本当のところやはり「新築」と「中古」選びの“思い”は違うのだろうか?レポート内の「新築か中古かの選択理由」について見てみる。

【「新築か中古かの選択理由」ベスト3】

□注文住宅取得世帯(中古住宅にしなかった理由)
→「新築の方が気持ち良いから」60.2%、「リフォーム費用などで割高になる」30.4%、「隠れた不具合が心配だった」27.8%

□分譲戸建て住宅習得世帯(中古住宅にしなかった理由)
→「新築の方が気持ち良いから」75.0%、「リフォーム費用などで割高になる」33.3%、「隠れた不具合が心配だった」25.7%

□分譲マンション取得世帯(中古住宅にしなかった理由)
→「新築の方が気持ち良いから」75.0%、「リフォーム費用などで割高になる」33.3%、「隠れた不具合が心配だった」25.7%

□中古戸建住宅取得世帯(中古住宅にした理由)
→「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」78.9%、「新築住宅にこだわらなかった」44.4%、「リフォームで快適に住める」33.8%

□中古マンション取得世帯(中古住宅にした理由)
→「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」75.4%、「新築住宅にこだわらなかった」33.7%、「リフォームで快適に住める」29.7%

今回は住まいの形態に関係なく、「新築」と「中古」で考え方が同じ結果になった。新築の人は「新築の方が気持ちいいから」という気分的な問題による回答の割合が多いが、中古は「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」と予算的な回答の割合が多い。気分か予算か。新築の人の回答の次いで多い、「リフォーム費用などで割高になる」という回答も気に留めたい。今までみてきたレポートからも住まい検討時に戸建ての人は“戸建て”にこだわった結果があったが、新築主義というよりも検討したが意外にリフォーム費用が割高だったため、新築にした人も多いと予測できる。

調査概要

調査実施社:国土交通省
調査対象:平成24年4月~平成25年3月に住み替え・建替え・リフォームを
   行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
   その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、
   訪問留め置き調査により実施

※詳細は国土交通省のページを確認してください

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