住みたいけど高すぎる!東京23区の賃料が上がり続ける理由
不動産情報サービス「LIFULL HOME'S」が発表した2025年11月の賃貸市場データによると、東京都23区のシングル向け・ファミリー向け物件の平均賃料がいずれも過去最高値を記録した。
【今回ピックアップするニュース】
【東京|賃料動向】東京23区の掲載賃料はファミリー・シングルともに「過去最高」を更新(LIFULL HOME'Sマーケットレポート2025年11月)(株式会社LIFULL)
これは一過性の値動きではなく、構造的な変化に伴う持続的な賃料上昇傾向と捉えることができる。
第一に、テレワークの定着によって、通勤時間の制約が緩和されたことで「都心に住む必要がない」とする声も一部にあるが、実際には利便性の高い地域で快適に暮らしたいというニーズが一層強まっている。特に共働き世帯や子育て中の家族など、生活効率を重視する層を中心に、23区のような職住近接エリアの人気は高まり続けており、家賃を払ってでも良質な住環境を求める動きが顕著だ。
第二に、物件の退去が少ないことから、空室が出てもオーナーが強気な賃料で再募集するケースが増加している。需要が供給を上回る状況では、相場に敏感なオーナーほど値上げに踏み切る傾向が強まり、それが市場全体の賃料を押し上げている。
第三に、新築物件の募集賃料が全体的に強気で設定されており、これが周辺中古物件の賃料水準にも波及。特に駅近や再開発地域では、新築を中心に高水準の家賃が定着しやすく、地域全体の相場を引き上げる要因となっている。
以上のように、テレワークを背景とした都市居住ニーズの変化、供給の限定性、そして新築物件の価格設定が、東京23区の賃料を今後も上昇させる原動力となっている。
「南智仁の賃貸ニュースピックアップ」とは?
不動産会社向けコンサルティング会社、株式会社南総合研究所の代表 南智仁氏が、賃貸業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、賃貸住宅を探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。
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