住宅弱者に「フレンドリー」な接客を
LIFULL HOME'S ACTION FOR ALLの取組みのひとつであるFRIENDLY DOOR(フレンドリードア)は、高齢者、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者などの住まい探しに困難を抱える“住宅弱者”の人々に、親身になって住まい探しの相談に応じる不動産会社を検索できるサービスだ。
住宅弱者に「フレンドリー」な接客とはどのようなものだろうか。定義は難しいが、フレンドリーの意思表示だけにとどまらないように、FRIENDLY DOORでは、各カテゴリーで求められる接客をテスト形式で学ぶことのできる「接客チェックリスト」を不動産会社向けに提供している。
不動産会社の担当者が知識を得て実務に生かし、ユーザーの住まい探し満足度を高められるよう、本チェックリストを多くの不動産会社に活用いただきたい。
『LGBTQ接客チェックリスト』(2021年4月リリース)
LGBTQとは10~13人に1人の比率でいるといわれる、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クエスチョニング・クィアーをはじめとするセクシュアルマイノリティの人々を指す。
多くの当事者にとって、「不動産会社でカミングアウトできない」「同性の2人暮らしだと選べる物件が限られる」「名前や性別欄を記入する際にためらいがある」といった体験や不安から、不動産会社を訪れることに心理的ハードルが存在しているという。
その一方で、接客する不動産会社側からは、「当事者に対する適切な接客がわからない」「どんな人が住むのかイメージができない」とう声が上がっている。
不動産会社のセクシュアルマイノリティに対する理解を深め、住まい探しにおける必要な接客対応を学ぶことで双方の不安感を払しょくできるのではないか。そのような背景から「LGBTQ接客チェックリスト」は開発された。
・初級編
・上級編
「LGBTQ接客チェックリスト」は、「初級編」と「上級編」の2種類が用意されている。
初級編では、「LGBTQに関する基本的な知識を有しているか」「適切な接客ができているか」の2つの点にフォーカスした。
上級編はさらに一歩踏み込み、具体的な知識に加えて「より顧客満足度の高い接客ができているか」にポイントが置かれた設問になっている。
「初級編」「上級編」ともに、株式会社IRISの代表取締役CEO須藤啓光さんを監修に迎え、専門性の高い実践的な知識を得ることを目指した。IRISはLGBTQをめぐる環境をより良くしようと社会課題解決に取り組んでいる不動産会社だ。
須藤さんへのインタビュー記事も合わせてご覧いただきたい。
■関連記事
LGBTQの方への接客のあり方を探る「LIFULL HOME'S住まいの窓口」研修レポ
『障害者接客チェックリスト』(2022年5月リリース)
心身の障害を理由に賃貸物件への入居を断られ、住まい探しが困難になっている人は少なくない。
その背景には、大家さんや管理会社・不動産会社の「障害のある方は事故やトラブルを起こすのではないか」という不安や、「対応の仕方を知らない」などの知識不足があると想定される。
こうした懸念点を解消できるよう、「障害者接客チェックリスト」はリリースされた。
「障害」といっても、種類によって対応や必要な情報は大きく異なる。
そのため「障害者接客チェックリスト」は、「精神・発達障害編」「身体障害編」「知的障害編」の3種類を用意した。
・精神・発達障害編
・身体障害編
・知的障害編
基礎知識に加え、3種類それぞれの各分野に特化した3~4パートで構成されている。精神・発達障害、身体障害、知的障害を持つ人、それぞれのユーザーを接客する際に必要なヒアリングや提案ができるかを問う内容だ。
これらは住宅確保要配慮者の部屋探しを支援している東京都指定の居住支援法人メイクホームグループに監修していただいた。
■関連記事
不動産会社向け『障害者接客チェックリスト』の活用方法とは
『外国籍接客チェックリスト』(2022年10月リリース)
住宅確保要配慮者に含まれる外国籍の人々の部屋探しにはどんな困難があるのか。LIFULLが行った住宅弱者向けの実態調査の外国籍の人の回答で顕著だったのが「部屋探しの際に差別や不平等を受けたと感じた」という回答だった。
・外国籍接客チェックリスト
国が変われば、部屋探しの方法や住まいの扱い方も変わりる。
そこにはどのような違いがあるのか。お互いを理解した上で、スムーズに住まい探しを進めるにはどうしたらよいのだろうか。このチェックリストで学んでいただきたい。
監修には、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会内で発足されたあんしん居住研究会の会長であり、長年外国籍の人の賃貸物件への入居促進に尽力している荻野政男さんにご協力いただいた。
■関連記事
外国籍の人向け賃貸のプロに聞く。共生社会実現のために不動産会社ができること
『高齢者接客チェックリスト』(2023年4月リリース)
日本が超高齢社会と言われて久しい。
2022年の総務省のデータによると、高齢者のみの世帯は292万世帯あり、そのうち183万世帯が民間の賃貸物件に入居している。さらに賃貸住まいの高齢者の約62%が不動産仲介を利用している、という調査結果がある。
さらに高齢比率の上昇が見込まれている今、年齢を理由に入居を断られる事例を減らそうと、不動産会社が高齢のユーザーに対する適切な対応を確認し、学べる機会として接客チェックリストを作成した。
・高齢者接客チェックリスト
このチェックリストは、基礎知識パートと不動産会社対応パートの2部構成、全27問の設問でできている。
高齢者の暮らしにまつわる支援制度や事業についての知識、賃貸仲介の一連の業務で押さえておくべきポイントなどは過去の記事で紹介している。
監修は、公益財団法人日本賃貸管理協会 あんしん居住研究会で長年高齢者の住まいの問題に取り組んでいる伊部尚子さんにお願いをした。
■関連記事
高齢者の賃貸仲介に必要な知識とは? 不動産会社向け『高齢者接客チェックリスト』活用のススメ
入居後に高齢者となった賃借人を誰が見守る?管理会社の現場に聞く現状と課題
FRIENDLY DOORも進化中 Chat GPTを活用した接客サポートAIが登場
接客チェックリストの学習で知識の再確認ができ、新たな知見を得られたとしても、接客のシチュエーションによっては、判断に迷うことやもっと良い対応方法を知りたいと思うことがあるはずだ。
FRIENDLY DOORでは新たな試みとして、不動産業界で初めてとなる「ChatGPT」の技術を活用した住宅弱者の住まい探し支援に特化したAIチャット「接客サポートAI by FRIENDLY DOOR(BETA版)」の提供を、2023年8月29日より開始している。
接客サポートAI by FRIENDLY DOOR(BETA版)
LIFULL HOME'S接客サポートAI BETA版 by FRIENDLY DOOR
https://homes-ai-support.lifull.net/
現在、第一弾として、高齢者と外国籍の方の2カテゴリーのサポートを対象に運用中だ。
サービス利用者は不動産会社のスタッフを想定している。チャットに質問すると、住宅弱者に関する基礎知識や住まい探しでの接客知識を、瞬時にAIが回答する。さらに、関連する質問の候補が自動で出てくる仕様だ。
さらに、多言語翻訳にも対応している。
回答の文末に表示される「翻訳する」をクリックすると、英語・中国語・ベトナム語・韓国語・フィリピン語・ポルトガル語(ブラジル)の選択肢が現れ、クリックすると瞬時に自動翻訳される。
たとえば、敷金礼金の説明を外国籍の人にする際に、「敷金礼金について説明して」という質問の回答を翻訳した画面を見せたり、テキストを共有したり、という活用法が館得られる。よりインタラクティブに、接客対応のヒントを得られるツールとして役立てられるだろう。
今後は機能をさらに拡充させ、不動産会社がより使いやすい、良い接客につなげられるツールとして進化させるべく、開発を進めている。
さまざまなバックグラウンドを持つ人の住まいの課題を解決するには、寄り添う気持ちと知識が大きな武器になる。特に、FRIENDLY DOORを利用するユーザーにとって、両方を兼ね備えた不動産会社の接客は、大きな安心につながるだろう。
接客チェックリストや接客サポートAIを通じて、不動産会社各社の企業価値を高め、顧客満足度向上に貢献できることを願っている。
※本記事の内容は、LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL note 2023年11月掲載当時のものです。
公開日:
LIFULL HOME'Sで
住まいの情報を探す
住宅弱者フレンドリーな不動産会社を探す
賃貸物件を探す
マンションを探す
一戸建てを探す
注文住宅を建てる
売却査定を依頼する
【無料】住まいの窓口に相談







