3月、4月の引越し件数は、通常月の2倍以上
3月、4月は引越しシーズン。
これは誰もが知るところだろう。実際にこの時期の引越し件数は、通常月の2倍以上になっている(公益社団法人全日本トラック協会調べ)。それゆえ、この季節の住み替えは、希望日に合わせられる引越業者が見つからない、といった苦労をするケースも少なくない。
特に2025年は予定通りに進まないケースが増えそうだ。
その理由のひとつが、輸送を担うトラック業界の「2024年問題」だ。2024年4月、働き方改革関連法施行により時間外労働の上限規制(休日を除く年960時間)が適用された。労働時間が短くなることで、輸送能力が不足している状態が続いている。今年は2024年問題の影響を受ける初めての引越しシーズンとなるのだ。
このような状況の下、国土交通省は時期を分散させた引越を推進している。その具体的な内容と、かしこい引越しのコツなどを解説する。
2025年は3月15日(土)から4月6日(日)までが特に混雑
国土交通省では、毎年3月から4月の「引越混雑予想カレンダー」を公表している。2025年の場合、3月15日(土)から4月6日(日)までが特に混雑すると予想している。
この期間に引越業者に作業を依頼すると、「引越し費用が割高になる」「希望日時に予約が取りにくい」といったデメリットが生じる可能性が高まる。
できれば、引越しのピークシーズンを除いた2月以前または5月以降に引越しするのが得策といえる。しかしながら、仕事の関係などで、どうしても混雑時に引越さなければならない場合はどうすればいいのだろうか。
混雑する時期でもスムーズに引越しを行う方法
混雑する時期でもスムーズに引越しを行うため、国土交通省では以下のような提案をしている。
「希望に沿った引越業者を見つける方法」
最近は、インターネットの一括見積りサービスで引越事業者を見つける方法が主流だ。しかし、混雑時はどこも予約がいっぱいで、なかなか希望に沿った事業者が見つからないケースが多々ある。そのような場合、次の3つの方法が考えられる。
1. 全日本トラック協会のホームページから探す
同HPには、大手引越会社を含む引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)の認定事業者が都道府県別に公表されている。引越安心マークの事業者は、多様化する消費者のニーズやスタッフ不足などの課題に対応するため2018年6月に改正された「標準引越運送約款」に沿って業務を行っている。
2. iタウンページ(インターネット電話帳)から探す
iタウンページで、「地域名 引越」といったキーワードで検索すれば、一括見積りサイトに登録していない事業者を見つけられるかもしれない。
3. 軽トラック運送事業者を探す
単身の引越しなど荷物が少ない場合は、軽トラック運送事業者も検討してみよう。事業者を見つけるには、インターネットやiタウンページで「引越 軽トラック」といったキーワードで検索するなどの方法が考えられる。
「引越し前日までにやっておくべきこと」
荷造りは、引越し当日のトラックが到着するまでに完了させておきたい。当日に荷造りが終わっていないでスタッフが手伝う場合は、追加料金がかかる。また、荷造りが終わっていないと、予定時間に引越しが終わらない可能性が高まり、次に予約している人にも迷惑がかかることもあり得る。荷造りにかかる時間の目安は、衣類10箱で20~50分、食器10箱で50~90分といわれている。
効率的でかしこい引越しのコツ
混雑時に限らず、上手に引越しを行うコツを紹介する。
「訪問見積もりを依頼する」
見積もりはインターネットのみでも可能だ。しかしネットだけだと、家具や廊下の寸法を間違えて伝えたり、引越し先での家電の設置依頼を忘れたりといったミスが生じがちだ。できるだけ自宅に来てもらって見積書を作成してもらおう。
「衣類は大きめの段ボールに入れる」
衣類を段ボールに詰め込むとしわがついてしまう。余裕を持って入れられる大きめの段ボールを選びたい。
「本などの重たい荷物は小さな段ボールに入れる」
本などの重たい荷物を、大きな段ボールに詰め込むと持ち上げるのに苦労したり、持ち上げたときに段ボールの底が抜けたりする。
「お皿やコップは立てて入れる」
お皿やコップを寝かせて段ボールに入れると、下の物が割れる可能性がある。一つひとつ紙に包んで立てて入れるようにしよう。
「冷蔵庫は前日に霜取りをしておく」
冷蔵庫の中身を処分しておくのはもちろん、前日にプラグを抜いて霜取りを行う。
「洗濯機は水抜きをしておく」
一度スイッチを入れて排水状態にしてから水抜きをする。排水ホースに水が残っていないかも確認する。
「現在のエアコンが引越し先でも使用できるか確認しておく」
現在使用しているエアコンが引越し先で使用できるとは限らない。例えば、引っ越し先の設置スペースに現在のエアコンが入らない、室外機を置くスペースがない、といったケースもあるからだ。そのため、事前に現在のエアコンが引越し先でも使用できるか確認しておく必要がある。
「貴重品は自分で運ぶ」
貴重品は、約款によって事業者側が運搬を拒絶することが認められている。対象は、現金、預金通帳、貴金属、高級ブランドのバッグなどだ。その他、どれが対象になるかはケースバイケースなので事前に確認しておきたい。
本当に混雑時を避けられないのか再度確認を
混雑する時期でもスムーズに引越しを行う方法などを解説してきたが、やはり混雑時期は避けるに越したことはない。
ほかの時期にずらせれば、引越事業者へ支払う費用を下げられるし、予約の日時や事業者の選択肢も増えるはずだ。また、余裕を持って計画を立てられるので、トラブル防止にもつながるだろう。
国土交通省では、経済団体を通じて民間企業へ異動時期の分散化を要請している。もしサラリーマンで転勤をする場合は、会社に対して引越し時期を少しでもずらせるように相談してはいかがだろうか。
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