専業主婦が街にほしいもの

今回は、「コロナ後の意識と行動の変化」調査の3回目の記事となる。この調査は、株式会社カルチャースタディーズ研究所では三菱総合研究所が毎年行っている3万人調査への追加調査として2022年1月に行った(調査主体:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム。1都3県18〜54歳男女2,000人対象)に行ったもの。

地域に対する意識と行動の変化についての選択肢だけで、25〜54歳の女性についてのみ、正規雇用・非正規雇用・専業主婦の3属性で比較してみる。全体で9%以上回答があったのは以下である。

自分の住む地域で、行く店が限られるようになった
かかりつけ医が家の近所に欲しいと思うようになった
静かな環境に住みたい気持ちが増した
惣菜店・デリカフェが家の近所に欲しいと思うようになった
ひとりになれる静かな喫茶店・カフェ・ブックカフェが家の近所に欲しいと思うようになった
ユニクロ・無印が家の近所に欲しいと思うようになった


就業状況による差はあまり大きくないが、「自分の住む地域で、行く店が限られるようになった」については専業主婦でやや多い。専業主婦は日頃から自分の住む地域で行く店が多かったからである。
専業主婦は「かかりつけ医が家の近所に欲しいと思うようになった」「静かな環境に住みたい気持ちが増した」も少なめであるが、これももともと専業主婦は、かかりつけ医がいる人が多いのだろうし、駅から少し離れた静かな戸建て住宅地に住んでいる人が多いからであろう。

女性の就業形態別に見たコロナ後の変化 資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022女性の就業形態別に見たコロナ後の変化 資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022

正規雇用形態の女性が欲しいもの

逆にいうと、正規雇用の形態では、仕事場へのアクセスから駅近くのマンションに住んでいる人が多いと思われ、そのためだろうが「静かな喫茶店・カフェ・ブックカフェ」についてはやや多い。駅近のマンションでリモートワークをしたあとに、駅前のチェーンのカフェではなく、駅から少し離れた公園に面したカフェなどでストレスを解消できるといいのではないかと思う。

たとえば「住みたい街」として永続的に人気のある吉祥寺には井の頭公園があることが非常に大きな強みである。公園周辺や公園の中にはチェーンの飲食店もチェーンでない飲食店も多い。古くからの茶店もあり、その茶店がリノベーションしたカフェもある。緑の木陰の中でリフレッシュができるのだ。

大宮駅界隈も、駅前は巨大なマンションと歓楽街のあるにぎやかな街であるが、チェーン店だけでなく、駅周辺には昭和喫茶も何軒かあるし、緑の多い氷川神社参道やその近くには個人店的なカフェなども多い。参道の東側は良好な住宅地である。こういう街はコロナ後にさらに人気が出るだろう。

大宮氷川神社参道には新しいカフェなどもできて、散策や気分転換に最適大宮氷川神社参道には新しいカフェなどもできて、散策や気分転換に最適
大宮氷川神社参道には新しいカフェなどもできて、散策や気分転換に最適大宮氷川神社参道はケヤキ並木が素晴らしい

住んでいる場所への地域志向の芽生え

吉祥寺は井の頭公園で気分転換できるのがリモートワーク時代に合っている吉祥寺は井の頭公園で気分転換できるのがリモートワーク時代に合っている

次に3〜6%台になると、以下のように、「地域に知人・友人をつくったり、お互いに助け合ったり、地域を良くしたりすることが大事」とか「自分の住んでいる地域への関心や愛着が増えた」「自分の住んでいる地域やマンションの問題に気づくようになった」「自分の住む地域で、コロナ以前はあまり行かなかった場所や店に行くようになった」という地域志向の回答があがってくる。

住んでいる地域に知人・友人をつくったり、お互いに助け合ったり、地域を良くしたりすることが大事だという気持ちが増した
品揃えの良い書店が家の近所に欲しいと思うようになった
気軽に健康や体調の悩みを相談できる場所が欲しいと思うようになった
銭湯やスーパー銭湯が家の近所に欲しいと思うようになった
駅の近くの家に住みたい気持ちが増した
自分の住んでいる地域への関心や愛着が増えた
気分転換ができたり、子どもがのびのび遊べる公園の近くの家に住みたい気持ちが増した
大型商業施設の近くの家に住みたい気持ちが増した
家の近所に夜になってから楽しめる場所、店が欲しいと思うようになった
自分の住んでいる地域やマンションの問題に気づくようになった
自分の住む地域で、コロナ以前はあまり行かなかった場所や店に行くようになった
毎日通勤しないなら、特急が停まるなど便利な駅に高い家賃で「住まなくてもよい」と思うようになった
市民農園・地元の農家の野菜を買える直売所が家の近所に欲しいと思うようになった

吉祥寺は井の頭公園で気分転換できるのがリモートワーク時代に合っている井の頭池のボートののんきな雰囲気も気分転換には良い

郊外らしい健康的な生活ができる場所が求められる

また「気軽に健康や体調の悩みを相談できる場所」「銭湯やスーパー銭湯」「気分転換ができたり、子どもがのびのび遊べる公園の近く」「市民農園・地元の農家の野菜を買える直売所」は、ストレスの解消、心身の解放といったニーズである。
「品揃えの良い書店」というのも、一種の精神的なストレス解消や刺激を欲している回答だといえる。

最後に、3%未満だが「地域で困っている人や苦しんでいる人を支える活動に参加したり、寄付をしたい」「コミュニティカフェや子ども食堂など、地域の人・子どもなどが一緒に食事をしたり交流したりできる場所が家の近所に欲しい」という地域での利他的活動への関心もあるようである。

長引くコロナによって郊外住宅地でリモートワークをする人が増えると、郊外には郊外らしい豊かな自然や農村的風景などを軸とした健康的な暮らしができることが今後さらに求められそうだ。また、郊外住民同士がコミュニケーションを活発にしていき、そこから共助的な活動も増えていくことも予想される。

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