社会の変化で、今求められる遺品整理業とは

核家族化が進み、一人暮らしの高齢者も増加する核家族化が進み、一人暮らしの高齢者も増加する

一人暮らし高齢者の増加で増える孤独死。都市を中心に、住宅に関わるトピックスで「死」にまつわる話題がクローズアップされている。

内閣府の統計によれば、65歳以上人口のなかで一人暮らしの人が占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっており(2015年)、今後も増加し続けると予測されている。一人暮らしの高齢者が亡くなれば、家屋や家財の後始末、死後事務といわれる種々の行政手続きなど、親族にはさまざまな仕事が残る。そのなかに、遺品整理と呼ばれる仕事がある。

今回、兵庫県伊丹市を拠点に関西一円に広く遺品整理サービスを展開している、株式会社スリーマインドの代表取締役 屋宜(やぎ)明彦さんにお話を聞いた。

「仕事は近年増えてきています。一人暮らしの高齢者は増加していますが、それだけでなく、コロナの影響で外出できない、経済的に困窮しているといったことも背景にあると思います。遺族にとっても、後始末をする人がいない、もしくはその余裕がないといった理由で、やはり専門家に依頼する人が多くなってきています」(屋宜さん、以下同)

現実には親族が亡くなったあとその住居をどのように片づけたらいいのか分からない。自分たちで手に負えない場合、どこに依頼すればいいのか分からない。といった遺族も多いと思う。

そんな遺族のためにサービスを提供する、遺品整理という仕事はどのようなものだろうか。サービスの中身と業界事情、依頼先の選び方などを屋宜さんに聞いた。

核家族化が進み、一人暮らしの高齢者も増加する65歳以上の一人暮らし高齢者は増加の一途(内閣府 平成29年版高齢社会白書より)

プロが手がける遺品整理とは

株式会社スリーマインド 代表取締役 屋宜明彦さん株式会社スリーマインド 代表取締役 屋宜明彦さん

「遺品整理は本来、家族が行うものだと思っています。しかし、家族関係の希薄化や、多様化によって、現実的に不可能になってきているのではないでしょうか」(同)

家族の手で遺品整理を行おうとすれば、思いのほか苦労が多いそうだ。大きな荷物の移動などにより思わぬケガを負ってしまうこと、思ったよりも時間がかかってしまうこと、交通費など余計な出費がかさんでしまうことは、よくある失敗だという。

そこでプロに依頼するわけだが、依頼を受けた現場での作業の手順は、大まかにこうなる。

1. 作業員やトラックの出入りに際しての近隣へのあいさつ
2. 依頼者立会いの下仕分け作業
3. 貴重品・重要書類の探索
4. 形見品の梱包
5. 搬出・処分
6. 清掃

まず、住居内に残された物品はすべて、必要なものと不要なものに分類される。必要なものとは、いわゆる形見品や売却によって価値の出るもの。そして、預金通帳や保険証書など死後事務のための書類も含まれる。これらを依頼者立会いの下で分別した後は、不要なもの、廃棄するもの、ゴミが残る。これらは法律の規定に従って合法的に処理される。現在では廃棄物に関する法律も整備され、物品の廃棄や処分には知識も必要だ。

「遺品整理を専門会社にまかせるその大きなメリットは、なんといっても時間や労力の削減です。遺品整理業で大事なのは専門性です。売却できるものとリユースできるものの判別は、一般の方には実は難しいものです。廃棄に関しても、住居内の廃棄物は一般廃棄物として処理しますが、私たちは、法律(廃棄物及び清掃に関する法律)を熟知し法に従った処理を行います」(同)

例えば、パソコンなど個人情報などが含まれるいわゆるデジタル遺品の処理には、データの処理に伴う専門性が不可欠だ。仏壇や神棚といった品々には、やはりそれなりの供養を伴っての処分も求められる。このように、一口に破棄や処分といっても、専門性が求められている。

株式会社スリーマインド 代表取締役 屋宜明彦さん依頼主の方の立会いの下、必要なものと不要なものの分別が行われる

家じまいを考える生前整理の依頼も

元気なうちに身の回りを整理しておきたいという人も増えている元気なうちに身の回りを整理しておきたいという人も増えている

「一人で暮らす高齢者が老人ホームなどの施設に入居するとき、それまで暮らしていた住居を整理したいといった生前整理のニーズも増えてきています」(同)

人生の幕引きを考え、残された家族の負担を小さくするために、物品の整理をしておきたいと考える人も増えている。

「いざというときのために、あらかじめしておくべきことは、残すべきものと、廃棄するものとの分別です。本人の意思があれば、そこで家族が悩むこともありません。死後手続きに関係する書類なども、明確に保管場所を決めておくといいです」(同)
行政への届け出、保険金請求や相続手続きなど、死亡後に必要な手続きは多い。遺族にとっては、大きな負担になることもある。

「私たちは、死後事務の手続きに関しても、カウンセラーとしてさまざまなアドバイスをさせていただきます」(同)

残された家財などの物品の整理だけではなく、住居の後始末や死後事務のアドバイスも含めて、遺品整理業とは「家じまい」のプロフェッショナルでありたいと考えるという。

遺品整理の依頼先の選び方

遺品整理を専門会社に依頼する場合、どこを見て依頼先を決めればいいのだろうか。

「消費者センターなどに寄せられる遺品整理サービスに関する苦情の中で多いのが、料金に関するものです。具体的には、見積もりが口頭だけで書面をもらえない。加えて実際の請求金額が見積もりより大幅に大きくなっている、といった類のもです」(同)

料金トラブルを回避するために必要なのは、見積もり金額を書面で受け取り、オプションなどの費用の説明をしっかり聞くことだという。遺品整理に関わらず、どのような消費者サービスでも明確な料金システムは必要不可欠だが、遺品整理の依頼先を選ぶ際にも、これが基本となる。

その他にも、物品の廃棄が正しくなされず不法投棄された、依頼主の意思が正しく伝わらず必要なものまで廃棄されたなど、寄せられる苦情はさまざまだ。それらを防ぐにはどうすればいいのか。
「副業として参入している会社などもあり、遺品整理を手掛ける会社は多くあります。そのなかでも、専門性を重視して、しっかりした遺品整理会社と出合うことが必要です」(同)

専門性のチェックポイントは以下だ。

・市区町村に合わせた適切な処分を行ってくれるか
・買取査定をしてくれるか
・希望する場合にリユースに対応してくれるか

他にも、作業後の部屋が汚かったり、現金や金品を持ち逃げされるという問題も残念ながら起こっている。作業後に部屋をきちんと清掃してくれるか、作業時の立ち合いを拒否してこないかという点は確認しておきたい。
料金の説明をしっかり聞いたうえで、専門性を持った遺品整理会社を選ぶことができれば、プロに任せるメリットは大きいはずだ。

物品の廃棄にも専門的知識が不可欠物品の廃棄にも専門的知識が不可欠

重要性を増す遺品整理業界の発展に向けて

「この仕事は、スタッフ一人一人の力量が全体の質につながります。私たちは、研修や勉強会といった人材教育に力を入れています。そして認知度を高めて、業界全体の質を上げていくことが一番大切と考えています」(同)

業界に明確な仕事の基準はなく、事業者によって仕事の質がばらばらだという。
「この業界を所管する役所がなく、業界団体も資格もない。業界そのものが未成熟だといえます」(同)

ますます進む高齢化社会にあって、大切な人生の幕引きに関わるサービスは、その重要度も大きくなっていくと考えられる。遺族や消費者に選ばれるためにも、サービスの質とともに遺品整理業界が健全に発展することの社会的意義は大きい。

今回取材させていただいた株式会社スリーマインドは、お役立ちガイドブック「はじめての遺品整理」を発行している。遺品整理や生前整理を考えている人は参考にしてみてはいかがだろうか。


株式会社スリーマインド発行(無料)
お役立ちガイドブック「はじめての遺品整理」
請求先:https://3mind.jp/guidebook/

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