日本全体の空き家は820万戸、空き家率は過去最高の13.5%

平成25年の総務省住宅・土地統計調査(速報集計)によると、日本の総住宅数は6063万戸で5年前に比べ305万戸(5.3%)増加。一方、空き家は820万戸で5年前に比べて8.3%、63万戸増となり、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%で、これは過去最高。平成15年から20年の0.9%、平成10年から15年の0.7%と比べれば伸び率自体は微増だが、この間、リーマンショック後の着工数大幅減の時期があったことを考えると、それでもこれだけ増えてしまったと考えるべきだろう。

内訳を見ると、賃貸住宅の空き家が412万6800戸から429万2300戸と4%増だったのに対し、持ち家が中心となる「その他の住宅」の空き家が268万1100戸から19%増の318万3900戸となっており、持ち家が放置される例が急増していることが分かる。

別荘などの二次的住宅を除いた地域ごとの空き家率を見るともっとも高いのは山梨県(17.2%)で以下、四国4県が16%台後半で続く。逆に低いのは宮城県(9.1%)、沖縄県(9.8%)、山形県(10.1%)、埼玉県(10.6%)などとなっており、上位10自治体のうちに首都圏の一都三県、愛知県などが入っていることから、都市圏では比較的空き家率が低めであることが分かる。とはいえ、都会でも10軒に1軒が空き家という状況である。看過して良い話ではない。

また、建物の種別で見ると空き家のうちに共同住宅が占める割合が高いのは東京都で70%。ついで神奈川県、大阪府、福岡県、沖縄県が50%台で続いている。都市部ではマンション、アパートなどの空き家が多いのだ。

平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)に見る空き家の数と伸び率平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)に見る空き家の数と伸び率

空き家の活用を妨げる固定資産税と4つの問題

坂の多い街も空き家が生じやすく、横須賀市は坂の上の住宅を対象に空き家バンクを作った坂の多い街も空き家が生じやすく、横須賀市は坂の上の住宅を対象に空き家バンクを作った

さて、空き家問題を考えるにあたっては少し問題を整理したほうが良いように思われる。現状での空き家対策は除去か、活用の大きく2種類とされており、除去にあたっては過日大田区で行われたような行政代執行による強制的なもの、足立区のようにある程度の費用を自治体が負担することで除去を促す軟着陸的なものがある。

現在、自民党は強制的に除去できるような法整備を検討していると言われるが、除去の場合には強制的にやろうが、ソフトにやろうが、行政の負担は避けられず、除去一本槍で対処しようとするのは費用面で難しい。また、住宅が社会の資産であることを考えると、可能であれば活用という方途を探りたいところである。

しかし、その活用を妨げる要因も少なくない。建物自体が活用できないほど老朽化している、持ち主が活用したくないという場合を除き、ざっくり大きそうな要因を整理してみると以下の4つに分けられるのはないかと思う。

①立地的な問題
遠くて不便と敬遠される、そもそも人口が減少しており、住む人がいないなど。地方での空き家問題はこのケースが多く、空き家バンク、移住促進策などで新たに人を呼び込もうというやり方で対処しようとしている自治体が多い。都市近郊でも増えている。

②法的な問題
接道、住宅自体の適法性などに問題があるケース。立地としてはニーズがあっても活用できない例もあり、主に都市部に多い。

③費用的な問題
改装など何か手を打とうにもお金がない。

④情報面、市場の問題
中古住宅購入時の情報が少なく不安、空き家を活用したくても情報がない、空き家活用の方法が知られていないなど。

こうした要因で持ち主が活用に二の足を踏んでいるところに、固定資産税の優遇措置が甘い誘惑をかける。空き家のままにしておけば減免措置があるよ、解体費用をかけて更地にすると税金が高くなるよ。そこで持ち主は何もせず、空き家は空家のままで放置されるというわけだ。

法的、費用的な問題に関する解決策は続々登場

つまり、空き家の活用を促すためには物件によって異なるが、①②③④のいずれかの問題、あるいはそのうちのいくつかの問題を解消し、さらに固定資産税の負担をどうするかという点をクリアにする必要がある。①に関しては自治体の個別性が高いため、ここでは取り上げないが、②③に関しては現状、各種施策が出始めつつある。

たとえば、以前紹介した、豊島区が進める完成時の確認を受けていない建物の救済するための条例もそのひとつ。検査済証がない住宅の不備を補い、流通を促進しようというものだ。国も平成26年7月に「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を発表、指定確認検査機関を利用することで検査済証のない住宅の流通、活用を促そうとしている。

また、足立区は平成26年6月の区長定例記者会見で区内の無接道家屋の建替えを促進するため、建築基準法の43条但し書きにかわる新基準を独自に設定、条件を緩和することを発表している。足立区には建替えのできない無接道家屋が8000棟近くあり、そのうちの8割は43条但し書きで許容された幅員2.7m以上に照らしてみても建替え不能。建物倒壊危険度の高い地域が多い同区としては今回の条例で少しでも建替えを進め、地域の安全を確保したい考えだが、これは接道に難がある空き家を解消する手としても使えるはず。地域、期間限定で他自治体でも考えてみていただきたいところだ。ちなみに足立区の条例は平成27年10月までの時限立法。これによって建替えが可能になる住宅は5000棟近くに及ぶという。

豊島区が人口減少×空き家対策でDIY型賃貸を活用すると発表

利便性の高い場所であっても空き家として放置されているケースが増えている利便性の高い場所であっても空き家として放置されているケースが増えている

持ち主の費用的な問題に寄与しそうなのが、以前に紹介した国土交通省が「個人住宅の賃貸借や管理に関するガイドライン」で示したDIY型賃貸。持ち主ではなく、入居者が自分で改修することで、持ち主の費用負担を軽減、入居者には好みの住まいを手に入れてもらうという仕組みで、貸したくても改装費用のない持ち主でも空き家を貸せるようになることを意図している。

この仕組みに関しては豊島区が区内にこうした物件を増やすことで若い年代に住みやすい街としていくことを計画しており、住宅の持ち主に働きかけていくという。同区では2014年7月30日に空き家問題と人口減少対策の両面から若い女性、子育て世帯向けにリノベーション、シェアハウスを推進していくことを発表しており、うまく行けば面白いモデルケースになるのではなかろうか。

以上見てきたように、②③については様々な施策が出始めており、中にはこれまでにない施策も。また、今後も一戸建ての活用手段として有効なシェアハウス、グループホームに関する規制を緩和する建築基準法の改正が予定されるなど、今年は空き家対策元年と言えるほどだ。

「相続税対策でアパート建設」が空き家問題加速?

相続税対策として賃貸住宅の着工が増えているが、建てれば借りてもらえる時代ではない相続税対策として賃貸住宅の着工が増えているが、建てれば借りてもらえる時代ではない

今後の問題は④、そして固定資産税だが、後者については空き家率の発表後に動きがあった。2015年度税制改正での実現をめざし、周囲に迷惑をかける空家を軽減の対象から外す、自主的に除去したものについては一定期間軽減措置を続けるなどが検討されているそうだ。また、文京区が空き家取り壊しに最大200万円を助成、土地を区が10年間借り上げる制度を導入し、固定資産税を軽減をすることで空き家除去を促進しようとしている。もうひとつ、国の役割という意味では、新築建設をなんらかの形でコントロールすることが必要という考え方もある。

市場、情報面では中古住宅市場の整備が始まってはいるが、売るのではない場合にはどうするか、ここもほとんど手が付けられていない。また、空き家活用についてもごく一部の会社、人たちが手がけているだけのため、一般の人にはほとんど知られていないのが現状。もっと情報が流通するように考えていくと同時に、幅広い視点で空家活用を提案できる仕組み、人材を考えていくことも大事だろう。

また、そもそも空き家を作らないようにするという考えもある。尾道で空き家問題に取り組む人たちに聞いたのだが、尾道では誰の所有かが分からない空き家でもご近所の人がどこに親戚がいたはずなどと情報を提供してくれ、突き止められるケースが多いという。ところが都会ではこうした関係がなく、情報がない。それを防ぐためには、空き家になる以前、そこに人が住んでいる時点で周囲とある程度の人間関係を作っておくことも有用なのではないかと思う。特に今後、分譲マンションで空家、所有者不明が増えていくと、管理組合が機能しなくなる危険もある。

もうひとつ、今後の空き家問題に関係するだろうと思われる点を挙げておきたい。それは相続税対策としての賃貸経営である。これだけ空き家問題が騒がれ、賃貸住宅にも空室が出ているにも関わらず、平成25年度の新設住宅着工戸数でみると、賃貸物件は15.3%も増えており、約37万戸。2015年1月から相続税の基礎控除が引き下げられることをにらみ、土地で持っているより賃貸住宅を建てることで相続税の評価額を下げようという意図だが、それが裏目に出ることを考えて見て欲しい。今どき、他人に言われるままにどこにでもあるような賃貸住宅を建てて、それが満室経営につながることはほぼない。自分が空き家を抱える問題に巻き込まれないよう、土地を所有する人たちには賢くなっていただきたいものである。

■記事中の情報についてはこちら。
平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)  http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/

2014年 08月04日 11時48分